好きなドラクエシリーズのアンケートはままあるが、11ものナンバリングが出ているにも関わらず、今もそしておそらく20年前の当時もナンバーワンはIIIである。私も当然散々(冒険の書が消えまくった事もあり)プレイしてきたので、その素晴らしさは非常に良く理解はしているのだが、ぶっちゃけ私個人としてはナンバーワンではない。それは全てのコンピューターRPGの根源とも言えるウィザードリィをプレイしてきたからである。
元々ドラゴンクエストと言うゲームは、原作者である堀井雄二氏や、その他スタッフらが当時AppleIIの英語版しかなかったウィザードリィの大ファンであり、同じくRPGの元祖であるウルティマも含めてそれらゲームの強大な影響を受けて作られた事に疑いはない。もちろん、単なるイミテーションではなく、素晴らしいゲームシステムとバランスの良さと言う裏付けがあってこその大ヒットであったが、それでも完全にオリジナルに近い状態で生まれた「ゼルダの伝説」と比べると、やはりドラクエは両者のオマージュである事は確かである。
特に、ドラクエIIIは転職のシステムが酷似しており、私自身ウィザードリィをプレイしてから、急激にIIIに対する魅力が薄まってきたのは事実である。そういう訳で、個人的には自由度が高くてもシステムをほぼ踏襲しているIIIよりも、リメイクが素晴らしかった事もあってストーリー重視、かつキャラクターの魅力にあふれるIVなどの方が好きだったりもするのだ。
そういう訳で、私はウィザードリィのファンである。もちろん、当時はPC版でプレイ出来る訳がないので、始まりは当然ファミコン版だ。とは言うものの、発売当時はまだそれをプレイ出来るほどの年齢でもなかったし、またドラクエIIIの発売も控えていたので、リアルタイムで買う事はなかった。しかし、当時すでにファミマガの熱心な読者であった私は、紹介記事などはそれなりに覚えている。
まあ詳しいことはWikipediaでも読んでいただけるとして、なにより私が驚いたのは日本語と英語の選択が可能、と言うシステムだった。当然、英語なんてまるで読めない頃であったとは言え、「英語=かっこいい」と言う訳でプレイする前からやたらと印象に残っていたのを覚えている。しかし、今思うとアメリカ生まれのゲームなんだから英語があるのは当然だし、なおかつビデオゲーム黎明期は国産のゲームですらアルファベットの羅列オンリーだったのだから、むしろ英語モードが存在するのはごく自然な事であったのだ。
そういう訳で、ファミコン史上初めて日本語メッセージが実用レベルで搭載された「ポートピア連続殺人事件」が登場した時は、それはそれは大変な衝撃を受けたものだった。それがドラクエに繋がっていったことは言うまでもない。
なので、ウィザードリィに英語モードが搭載されていた事は、前述のように当然の話であったのだが、すでにドラクエはもちろん、桃太郎伝説やディープダンジョンのように、日本語でプレイ出来るRPGの存在は当たり前となっていたので、英語に切り替えられる事の方が凄い、と言う半ば錯覚を起こしてしまっていたのだと思う。
しかし、当然当時の私では英語でプレイする必然性はないので、全て日本語でプレイしていた。慣れていくうちに、見栄えの良さからコマンドや呪文、そしてモンスターの名前などは全て英語に切り替えていったが、さすがに文章に関しては最後まで日本語のままであった。国産PC版のPC98版であれば、解像度が高く漢字ROMも存在していたので、日本語でも美しいのであるが、さすがに解像度が低くかつ漢字も使用出来ないファミコン版では、インターフェースやグラフィックは上回っていても、その点だけはどうしても国産PC版に及ばず、ずっとPC版でプレイする事に憧れを抱いていたのであった。
そんな家庭用ユーザーの願望が遂に叶えられたのが、1998年2月に発売された「ウィザードリィ・リルガミンサーガ」である。たまたまゲーム屋のチラシで存在を知った私は歓喜し、当然発売に購入した。インターフェースはファミコン版を踏襲しているが、シナリオは全て国産PC版を踏襲しているので、基本ゲームバランスは文章などはPC版そのままだ。もちろん、キャラクターの転生も容易であり、IとIIの移動も基本自由である。メモリーカードのシステム上、リアルタイムでのセーブが不可能となり、その点スリルが減り、かつリセット技も使用できなくなってしまったが、その点を除けばおそらく史上最高の初期ウィザードリィ3部作である事に間違いはない。もちろん文章も漢字まじりであり、キャラの名前も面倒だが漢字が使える。
翌年はIVとVがカップリングされた、ニューエイジオブリルガミンも発売された。こちらは待望のIV家庭用初移植であるが、オリジナルが異様な難易度だったためにアレンジ版も収録されている。こちらだけは英語文章は未収録である。VはほとんどSFC版と同じ感覚であるが、移動が遅すぎるためにプレイしていて非常にだるかったものだ。なので専らIVだけをプレイしていた。
VI以降大幅にシステムが変わってしまい、別ゲームと化してしまったので、古き良きウィザードリィは少なくともVで完結してしまった。のちに日本のメーカーが独自シリーズを発売したりもしているが、やはり個人的には偉大なる初期シリーズを最新のハードでもプレイしていきたいものである。しかし、著作者とメーカーでかなりのゴタゴタがあったようであり、現在初代シリーズを発売するのはリメイクでもほぼ不可能に近いという。20年ほど前、国産PC版のエミュレーターが「ウィザードリィ・コレクション」としてWindows用に発売されたが、あっという間に廃盤となってしまい、今現在かなりのプレミアムがついてしまっている。
PS版はかなりの量が流通し、廉価版も発売されたので入手は容易だとは思うが、PS3でプレイ可能とは言え元々が初代PSのゲームなだけに、解像度の低さもあいまって古さは否めない。ドラクエやFFが最新のハードでもプレイ出来るのとは対照的だが、どうにかして問題をクリアして再リリースしてほしいものだと切に願う。