外国人の日本語学習者で多くみられるのは、「アニメや漫画で日本に興味を持ち、なおかつそれで日本語まで勉強している」と言うのがある。海外ではあくまでJoshua Wongがリーダー的存在として見られているのに、日本語が堪能かつ容姿端麗と言う理由で日本においてのみ「革命の女神」などと言うガラパゴスな名称を付けられ、アイコン的な存在とみなされているAgnes Chowこと周庭もあてはまる。前述のJoshuaもガンプラヲタであり、日本のサブカルに造詣が深いのだが、日本語は話せない。
私の知り合いの香港人も、アメリカ在米中に日本語のテレビやアニメを見ていたら自然と日本語を覚えたそうであるが、その理屈で言えば基本字幕で洋画を見る日本人であれば、すでにほとんどの人間が英語を話せているはずである。しかし、もちろん現実はそうではない。それは字幕を追いかけるだけでは、英語をBGMの一種としてとらえてしまっているからである。よって、日本人がドラマや映画で英語を学ぶためには、それまでにある程度のリスニングと文法の能力を鍛えておかなければならない訳で、現実はそんなに甘くはない。
しかし、それでもやはり自分が興味のある分野を通じて外国語を学べる、と言うのは大きなアドバンテージである。しかし、あいにく私は映画やアニメ鑑賞は趣味と言えるレベルではない。もちろん、ブルース・リーを始めとする香港映画や、特にファンでもないけどそのぐらいしかアニメの選択肢はないので仕方なく見ているレベルのスタジオジブリの映画なども、英語吹き替えで見ている。特に、もののけ以降の芸能人声優起用路線は嫌悪感しかないので、なおさらだ。
それでも、前者はもちろん字幕なくとも理解出来るとは言え、大抵のメディアには英語字幕が未収録なので完全な形では理解できないし、後者はそもそもそんな気持ちで見ている以上何度も見る気にはならないので、正直これまであまり役には立っていない。漫画に関しては、数年前新宿のブックオフで北米版のドラゴンボールのフリーザ編が何冊かあったのでまとめ買いしたのだが、さすがにドラゴンボールからは学べるほどのボキャブラリーはないし、またほとんどのシーンが戦闘なのですぐに飽きてしまった。
そういう意味では私にはそのやり方はあまり有効的ではなかったのであるが、ここに来てようやく真剣に英語で向き合える作品に出会えた。いうまでもなく、鬼滅の刃である。今では日本のAmazonからでも英語コンテンツの入手は容易であり、もちろんKindle版も発売中なので、試しに数巻買ってみた。
理由は不明だが、まずアメリカのコミックスに共通するのは何故かすべて大文字である事だ。一般的な本に関しては全て小文字なので、若干読みづらい、特に固有名詞との違いが分り辛くなるのが難点である。それ以外は、やはり漫画、特に欧米では漫画は子供向けのイメージが未だに強いので、ほとんどが高校生レベルの単語で構成されている文章であるという事だ。なので、TOEICなどにはまるで使えないが、それでも元の文章を知っていると「こうやって表現するんだ」と思う部分がかなりあるので、実用性はそれなりに高いと思う。
ドラゴンボールのような架空の世界ならともかく、日本を舞台にしている作品で英語と言うのは「それでいいのか?」と言う違和感は消えない。しかし、前述のように興味のある分野を通じて英語学習出来るのは何よりも効率が良いし、また鬼滅の刃に関しては、技名もどのようにして訳しているのか、と言う興味も沸く。少なくとも、一般名詞からくる技は全て英訳である。なので、日本語版よりも割高なのが残念だが、興味のある人は是非とも一読してほしいものだ。