Xbox Series Xこそ無事に購入出来たものの、PS5に関しては未だ入手できないでいる。国内出荷台数が12万台程度であればそれも当然であるが、まあ個人的にはまだまだPS4Proでも十分な所もあるし、大作が出揃ってからでも遅くはないだろう。
さて、当然私は初代PSの発売時もリアルタイムで経験しているが、リアタイ世代なら当然の認識とは言え、元々プレイステーションという名称はスーパーファミコン用のCD-ROMユニット、もしくはその一体型ハードへ向けて用意されていたものだった。両社の間に何があったのかは当時触れられる事はなかったが、その数年後にまさかソニーが単独で家庭用ゲーム機市場に参戦、かつまさか幻に終わったハードに付けられる予定だった名称をひっさげてくるとは誰しもが予想だにしていなかった事だったので、その報を聞いた時はそれはそれは驚いたものだった。
発表自体は1994年の初めぐらいであったかと思うのだが、同時にセガとNECHEも新ハードを告知していた。まさにゲーム機市場の戦国時代といった感ではあったのだが、それ以上にその時点で既にソニーは数多くのサードパーティと契約、そしてその中には大手であるコナミやナムコもすでに含まれ、さらにローンチソフトとして当時大ヒットしていたアーケードゲームの名前がすでに発表されていたのだ。
具体的には極上パロディウスとリッジレーサーであったのだが、いずれも当時のゲームセンターにおいて大ヒットを記録したゲームだった。個人的にはシューティングゲームである前者の方が楽しみであったのだが、大衆向けのインパクトとしては当然当時最先端の3D基板を使用していたリッジレーサーである事に間違いはなかった。
それに対抗するかのように、セガはこれも当時看板タイトルであったバーチャファイターをぶつけてくるなど、当時の家庭用ハードの常識を遥かに超えた次世代機の記事を読むだけでも、毎月の楽しみのひとつであった。もちろん、PCEの後継機であるPC-FXの記事も楽しんではいたのだが、PCEに動画再生機能をつけただけかのようなそのスペックを見ただけで、これはもう失敗に終わるな、と誰もが予感しており、実際その通りとなってしまった。
さて、初代PSの発売日は1,2,3の通りに1994年12月3日の事であった。しかし、当時の自分はその半年前とは様相が大きく変化しており、その3ヶ月前にはアーケードゲーマーも卒業、家庭用ゲーム雑誌自体もほとんど読まなくなっていた。まだまだストIIシリーズ程度はプレイはしていたのだが、その頃購入した新品といえばファイヤープロレスリング程度であったかと思う。その後もゲーム熱は戻らないままだったので、実は初代PSが発売してから1年以上もの間、当時のゲーム業界の状況は良くわからないままだったのだ。
まだまだドラクエの神通力は通用していた頃だったので、運良く近所でドラクエVIを予約出来た私は発売日に購入出来たのであるが、まるで面白いと感じなかったドラクエ史上初、1週間でとっととクリアすると速攻売ってしまった。それ以外に興味のあったゲームと言えばやっぱりファイヤープロレスリング程度であったので、次世代機の購買欲はゼロに等しかった。
そんなゲームに冷めていた当時の私が、突然PSに興味を抱いたのが、偶然見たナムコミュージアム2のCMであった。前世代機よりも圧倒的な性能向上を果たした当時の32ビット機にとって、1990年代前半までのアーケードゲームの移植はもはや難しいものではなくなっていたのだ。当時は、X68000などの最新のPCを持ってしてでも不可能に近かったアーケードゲームの完全移植、それが1996年の当時ではもはや夢ではなくなっていたのだった。
これをきっかけとして専門誌を読み始めるようになっていった私は、まもなくしてあのグラディウスI・IIまでもが次世代機にて発売される事を知った。さすがにこれは買わずには居られなかったので、そのゲームが発売される数日前にとうとう初代PSを購入するに至ったのだった。すでにブックオフなどにもある程度PSの中古市場は形成されていたので、前述したローンチの目玉であった極上パロディウスと、かつてゲーセンで熱狂したナイトストライカーのソフトを同時購入した。正直、細かい部分などはアーケードそのものとはいかなかったが、かつてのSFC時代などとは比較にならないほどの再現性の高さにそれはそれは目を丸くしたものだった。
それから、これらの作品のヒットをきっかけとして、他社からも続々とアーケードの復刻ものが発売、そしてストリートファイターZEROシリーズや鉄拳2の大ヒット、さらには4月になると遂にあのFFVIIの発表と、家庭用ゲーム業界は百花繚乱の時代を迎えていくのだった。セガサターンを購入したのはこれから半年近く経った頃であったが、当時は自分の経験の中でも最も家庭用ゲーム機市場が盛り上がっていた頃だったかと思う。