最近ようやくゲーム熱が下がってきたので、片道2時間の幕張メッセ、さらには某ウイルスの恐怖もあったので、昨年末にチケットを買ってしまったものの直前まで行くのを止めようと思っていたが、やはり1年に1回と言う事でせっかくだから、と言う事で行ってみた。
幕張メッセまで行くのは大昔のAOUショー以来なのだが、当然当時の記憶などほとんどなく、ほとんど初めて来るような感覚に近かった。所要時間も相変わらずだが、前回は早朝の出発に対して今回はお目当てのストVが午後4時半からの開催だったので、余裕を持って家を出た。
会場には午後2時過ぎぐらいに着いたのだが、決勝Tでチケットがないと入れないと言う事もあるのか、思ったよりも閑散としており、企業のブースもまばらだった。その中でのお目当ては、今春遂に日本で正式発売となるVictrixのアケコンだ。AmazonUSAで350ドル、輸入するとなるとさらに送料と関税が上乗せされるため47000を超えると言う、アケコンとしては天文学的価格とも言える商品のため、これまで触れる事も叶わなかった製品であったが、今回ようやく感触だけは味わう事が出来た。
天板がアルミ製のためか、フィーリング自体はオブシディアンに近い感じであり、ファイティングエッジよりは確実に好みだ。感覚やメンテナンス性は旧パンテラが上回るが、筐体がやや高く天板が平面なのは若干好みの部分もあるため、両者の長所をうまく研究した感がある。。3月末にまずはAmazonから発売されるが、個人輸入よりかは安いとは言えそれでも41100円という価格はまだまだ躊躇いがちとなってしまうほどの高価格だ。まあ、購入者のレビューなども軒並み高評価であり、それだけの価格の価値は間違いなくある、との事であるが、まだ現行で入手できるオブシディアンの作りも素晴らしいため、メンテや携帯性に拘りがなければそれでも十分だとは思う。
その隣にはヒットボックス社がデモを行っていた。スタッフがアメリカ人らしき人のみ、プレイヤーも英語話者オンリーのようだったので少し躊躇ってしまったが、勇気を出して英語で話しかけてみると快くプレイさせてくれた。ストVもいきなり英語かつ、OXボタンもアメリカ仕様だったためいきなり戸惑ってしまったが、それも含め新製品であるアケコンの操作を丁寧に教えてくれた。レバーとヒットボックスを組み合わせた仕様であり、筐体の剛性もしっかりしてはいるのだが、いかんせんこれまでにないボタン配置のために解説ありでもすぐには使いこなせなかった。
従来のヒットボックスもあったのだが、そちらは何故か鉄拳7オンリーだったため試す気にはならなかった。それでも、一応レバーレスでの操作を試していったのだが、確かにサマーも波動拳もそして昇龍拳すらも、慣れさえすれば最速で出すことができ、特にガイルなど溜めキャラへの相性は最高だろう。個人的にはレバーに拘りがあり、なおかつプロでもない自分にキャラを極めるためだけに買う気にはとてもならないが、パックランド以来味わったボタンのみの操作と言うのは新鮮だった。
その時点ではスマブラの決勝が行われていたのだが、全くプレイしたことのない私としては何をしているのかさっぱり意味不明だったため、後ろの空いている席の方でスマホを弄りながら休んでいた。それでも決勝戦だけはスクリーンを見ており、何がどうなのかよくわからないつつもそれなりには楽しんでは見ていた。そのまま表彰式、そしてスマブラの生みの親的存在の人も登場した時は大変盛り上がっていたのだが、任天堂と言えば故岩田聡氏や、マリオやゼルダの生みの親である宮本茂氏なので、申し訳ないが個人的には冷静に眺めていただけだった。
そこからインターバルだったのだが、それと同時に一気に人が移動して行った。休憩時間なのだから当然だろう、と思っていたが、何とストVが始まっても後ろの一般席はガラガラ、つまりは半分ぐらいはそれで帰ってしまった、と言う事だ。これはネットなどでもネタにされ、ストVの時はまだ開始間もなかったからだ、との言い訳もなされたが、目視で明らかに分かるぐらいにストVで客が一気に減ったのは紛れもない事実だ。
千葉県民以外にはアクセスが悪く、午後4時半開始でさらに日曜日、ともなればそれも仕方がないのかも知れないが、アメリカのEVOではUFCの如く大きな会場で大変な盛り上がりであるにも関わらず、ストリートファイターシリーズの母国である日本でこの閑散ぶりを目の当たりにしてしまうと、自分が思っていたよりも日本でストVって人気ないんだな、と実感させられてしまった。
そう言えば、12月に行われたストVの決勝でも、350人程度のキャパであるにも関わらず、チケットはずっと余っていた。かろうじて満員にはなったようではあるが、それ考えたら毎週後楽園ホールを埋められる新日本プロレスってまだまだ全然凄いのだな、と思ったものだ。格ゲーのトップがこれでは、そりゃアケコンの需要も少なくなり、値段も跳ね上がる、と言う訳だ。まだまだ三和電子はインテルや自転車のシマノ的な存在のため、潰れるような事はないだろうが、それでも確実にゲーセンや格ゲーの衰退などで需要は下がっているとは思うので、余計なお世話ながらこれからの先行きまで心配してしまう、と言うものだ。
それでも、日本では著名なゲーマーらの活躍、さらに自分にも馴染みの深いキャラを使用している人が多かった事もあり、対戦自体はかなりの盛り上がりを見せた。アメリカと韓国がそれぞれ一人ずつ参加していたが、やはりそれだと自然と日本人を応援してしまうし、会場の雰囲気もそれに近かった。プロレスではとうに過去のものとなった力道山時代のナショナリズムを、まさか格ゲーの大会で思い起こさせてくれるとは予想だにしなかったものだ。
大体1920分頃に決勝が終わったのだが、電車の時間を調べるととても表彰式まで見る余裕はなく、一目散に駅へと向かった。東京駅までですら30分ぐらいかかるのだが、さすがにガラガラだったため余裕で座る事ができ、その後もスムーズな接続ではあったがそれでも2時間強かかってしまった。前述のよう、アメリカのEVOのような規模と盛り上がりを期待していたので多少のがっかり感、そして会場への遠さと言うデメリットなどもあったが、ストVの内容自体はかなり楽しめた。ただ、当然リアルタイムで無料で世界中に配信されるので、次回格ゲー熱が下がっていたら無理に行かなくてもいいかな、と言うのが今回の感想だ。