この日は日曜日で、翌日が仕事始めと言う事もあるのか午後3時試合開始。しかしダークマッチが午後2時開始だったので、午後1時半頃にはドームに到着した。
前日のように闘魂ショップを周り、その前にあるファミマで食料補給してドームへと向かったが、前日とは明らかに闘魂ショップの列の長さが違う。それはドームに着いてからも同じであり、一見して分かるぐらいに前日よりも人波は減っていた。割と時間ギリギリに着いたので、ファンクラブ限定の引き換えは試合後で良いかな、と思っていたのだが、こちらも前日とは比較にならないぐらいに空いており、ほとんど待たずに引き換える事が出来た。
前の記事にもあるよう、この日は待望のバルコニー席だった事もあり、かなり余裕を持って入場する事が出来た。人生初のバルコニーは快適そのもの、一般席とは完全に区切られており、専用の売店やトイレもすぐそばに存在するため、一度使ったら病みつきになりそうな感すらあった。自分の席へと向かうと、なんと1番前。隣の恰幅の良い女が自分の席に勝手に荷物を置いていたのにはムッときたが、無言の圧力をかけるとそそくさと片付けてくれた。いくらまだ来ていないとは言え、人の予約していた席に勝手に荷物を置くとはどういう神経しているのか。
見てくれや態度はお察し、としか言いようがないが、前日の客も含めて、プロレスファンには割と常識知らずと言うか、残念な輩が目に付いた。昨年足を運んだサザンのコンサートでもそのような輩は居たし、コアなファンが面倒なのは別にプロレスに限った訳でもないのだろうが、それでも周りの目を気にしない輩がやたらと目についたのには閉口した。ただでさえ世間から白眼視されてきたプロレス、だからこそファンもしっかりとしなければ行けないのに、このザマでは偏見に拍車がかかるだけだと言う事を肝に銘じてもらいたい。
まあそれはさておき、さすがに特製のバルコニーシートは、デブが横来ても一般席とは比較にならないほど快適そのものであった。もちろん、リングまでの距離はかなり遠いが、一番前で尚且つ角度も良かったせいか、肉眼でもかろうじて楽しめる位置でもあった。プロレスでこれなのだから、野球などではさらに快適に楽しめるのではないだろうか。1万円でこれなら安いものだった。
さて、肝心の試合であるが、前日とは異なり8人タッグマッチなどのいわゆる休憩、悪く言えばトイレタイム的な試合は少なく密度は濃かった印象なのだが、やはり客足自体は悪く前日の7割程度の入りに見えた。それでも暗黒時代を考えれば大健闘なのではあるが、2日目の方がメインな感じであるし、さらにオカダVS内藤と言う切り札的カードを投入してこの結果と言うのはいささか残念に思えた。まあ、ドームは見辛いし狭い、それでいて隣にうざい客が来たら、と言うデメリットを考えれば家で見た方が賢明、と言う考えもあるのだが、この辺りが現在の興行的な限界なのだろうか、と思ってしまった。
メイン以外で目玉と言えば、いずれもこの日のみの参戦となった棚橋VSジェリコだ。さすがに2年前に比べたらジェリコ参戦の衝撃は少ないが、やはり危険技を使わなくとも盛り上げる両者、特にいわば単なる逆エビがためを必殺技とするジェリコの試合巧者ぶりには唸らされたものだ。確かにカウント2.9の攻防には興奮はさせられるが、そうでなくとも十分客を沸かせられる事が出来るのだよ、と改めて示した試合であり、若手などには凄く勉強になるのではないかと思う。
メインはPVが内藤寄り、尚且つ前日とは異なるコスチュームだったのに対し、オカダは前日の前奏がなくかつ同じコスチューム、さらにこれまでの流れもあって内藤勝利を予感させたが、ここで予想を裏切る事もなくあっさりとその通りの結果となってしまった。まあ、会場全体も内藤寄りだったので、ハッピーエンドで終わるのは良い事だな、と思っていたが、結末はあの通りだ。
当然、会場は怒号の嵐、ブーイングのみならず帰れコールまで飛び出す始末となった。しかも、ここで誰かが助けに来てKENTAをボコボコにする期待の展開もなく、そのままの空気のまま「本日の試合は〜」のアナウンス。もちろんプロレスなのだから次に繋がるストーリーを構築するのは当然なのであるが、ドームのメインでこれをするか?実際に会場に行った連中からすれば、これは完全に「No」だ。IWGPやTPGに激怒した昭和時代であったら、ここで暴動が怒ってもおかしくない雰囲気であった。それが起こらなかったのも、プロレスの仕組みを理解している今のファンだからこそ、なのであるが、それでもこの展開を描いた人間の神経は疑わざるを得ない。
誰もが笑顔、大満足で家路についていた4日とは真逆、この日はあちらこちらから不満の声が聞こえたものだった。もちろんネット上でも不満が渦巻いていたが、面白いのは怒りの矛先がKENTAに向かっていた事だった。当然、彼の独断でそんな事が出来る訳もないし、全てはシナリオ通り、つまり真っ先に非難すべきなのは彼ではなくマッチメイカー〜現在では外道と言われているが〜だろう。つまり、未だに昭和時代のよう、怒りをまっすぐにヒールにぶつけるようなピュアなファンも居るのだな、と。これは新たな発見だった。
このよう、最後の最後でファンを裏切るような展開を描かれた事により、2日目は後味の悪い興行となってしまった訳だが、もはや当分ないであろう2日連続の東京ドーム大会、それを直に体験出来たのは良い思い出となったものだ。