マカオの旅行記は綴った事があるものの、マカオそのものに関して詳しく触れた事はなかったので、あえて今回ここで触れてみようかと思う。
まずマカオへの行き方だが、正直これだけ手段がある国や地域は珍しいかと思うぐらいに多数存在するものの、やはり余程のマニアでもない限り、最もオーソドックスな入境手段は、香港からのフェリーだと思う。しかし、そのフェリーですらも大きく分けて3ヵ所から出港しており、最もメジャーな上環のマカオ・香港フェリーターミナル、九龍側・尖沙咀のチャイナ・香港・フェリーターミナル、そして香港の入国審査を通らずに乗船できる、国際空港からの計3つだ。
さすがに香港マニアの私が、香港を素通りしていきなりマカオに行く事などありえないので、おそらく空港側からは一生使う事はないだろう。しかし、その他2つに関してはもちろん乗船済みであり、個人的に思った事などを詳しく書いていこうかと思う。
すでに何度も触れたよう、私の香港における滞在先は常に重慶大廈内のゲストハウス、そこに泊まる勇気がなかった頃も、宿は常に九龍側だったので、そこから徒歩圏内で行けるCHターミナルを最も良く利用していた。
場所は地図を見なくとも、広東道を北上していけば、金色のド派手なビルディングが見えるので、そこが入り口となる。しかし、私が最初に足を運んだ時、いわゆる典型的な港をイメージしていたため、まさかこんな近代的なビルがフェリーターミナルだとは思いもよらず、しばらく彷徨ってしまった記憶がある。
中はさすがに広大だが、案内自体はしっかりされているので、中に一歩入ってしまえば迷う事なくフェリーチケット売り場までたどり着けるとは思う。尖沙咀中心まで徒歩で行ける場所に宿を確保していれば、まずこの場所が最も辿り着きやすいだろうし、また尖沙咀の駅からも、地下道を使って広東道に出ればそんなに遠くもないので、駅からも十分徒歩圏内と言える。
話は戻り、エレベーターで出ればすぐにチケット売り場は目に付く位置にあるし、出鏡ゲートも同じフロアあるし常に人でごった返しているので、難しい事は何もない。しかし、私の経験上、平日の午前10時ぐらいに行くと、午後2時ぐらいまでのチケットはすでに売り切れていたので、チケット売り場から買うとなるとひたすら待たなければならない必要があった。
そこで悩んでいたのだけれども、実はどういった事情かは謎だが、現地の旅行者がすでにある程度チケットを確保しており、その売人が常にエレベーター近くで売っている。一見ダフ屋に見えるが、何故か正規にチケットを買うよりいくらか安く、往復だと330HKDぐらいなので、夜にマカオから出鏡する場合に比べると20HKDぐらいトータルで安くなっている。
と、言う訳で安いに越した事はないし、もちろん正規のチケットだし買った所で注意される事もない。だって、白昼堂々とチケットカウンターの目の前で行っているんだから。はっきり言って謎な存在ではあるが、やはりお得に違いはないし、出鏡手続きする時間さえあれば20分ぐらい前でも十分間に合うので、常に私はこちらで購入していた。
続いて上環。正確には信德中心、英語名でShun Tak Centreと言う建物内にフェリーターミナルは居を構えている。こちらは同名の駅直結なので、香港島サイドから乗るとなるとこちら1択だ。九龍側からもMTRで行けるが、中環での港島線への乗り換えが若干面倒なので、ビクトリアハーバーを超えるとなるとここに来るまでに大分時間を要してしまうだろう。さらに、駅直結とは言っても、プラットフォームからは大分歩かされるし、延々エスカレーターを上る事となるため、列車を降りてから10分ぐらいはかかってしまうかも知れない。
両者に訪れた感想としては、常に重慶大廈から、と言う注釈こそ付くものの、アクセス自体は九龍側の方が楽だろう。香港島側は確かに駅直結とは言え、港島線沿線住民以外がそこにたどり着くのは乗り換えの問題もあり大分面倒に感じるのは確かだ。
こうしてみると九龍側の方がいいのかな?と言う感じであるが、そんな猥雑さがある分、それ以外で上環を使うメリットは実はかなりある。まず、この建物自体がショッピングセンターみたいなものであり、買い物や食事に困らない事。もちろん、九龍側にもそれは存在するが、数質共に香港島側に分があるとまず言っていい。まあ、フェリーに乗る直前にご飯を食べる勇気はなかったし、帰りも下船後すぐに取ろうとは思わなかったので、余程船酔いしない自信がない限り、これに関するメリットはあまり大きくはないのかも知れないのだけど。
もっとも、それでも、それ以外にもShun Takを使うメリットはまだまだある。最大のメリットは、旅行会社の豊富さだろう。まあ、見た感じ大陸中国人向け中心の商売にも思えるので、あまり日本人が用があるとは思えないのだけれども、かのカジノと並ぶマカオの巨大産業、サウナのクーポンが売られている事はShun Tak最大の売りと言っていいだろう。
これを取り扱う旅行社はここしかなく、九龍側には一切存在しないため、これを目当てだけにShun Takから向かうアジアの旅行者は決して少なくないと思う。フェリー代込みのクーポンは、別々に買うよりも200HKD、大体2700円前後お得と言う事もあり、多くのサイトで買い方が紹介されている。ただ、私は買った事はないとは言え、もちろんクーポンは指定されたお店のみ、でしか使えないので、買ったら必ずそのお店で遊んで帰る、と言う確信がない限り、日本円で2万円以上あるクーポンにはなかなか手が出ないとも思うんだけども。当然取材などはしてるはずもないので、一日にどのぐらいのお客さんが買っていくのかは不明。ただ、私の見た感じではさほど客は付いていなかった、ようにも見えたのだけど、まあ中国の連休や週末などでまた変わっていくのだろう。
そして、九龍は常に30分おきだったのに対し、上環は日中15分おき、と言うのも欠かせないメリットだ。もちろん、チケット売り場の目の前にはダフ屋?が常にうろついているので、ここまで来ることに時間を要しても、実際にそこからフェリーに乗るまでは時間はかからないだろう。また、外装は似ていても、何故か船内の作りやシートはお互いで異なっており、印象としては香港側の方が綺麗に思えた。
九龍側は、香港島から離島へのフェリーの船内のイメージに近いので、どうにもボロい感じがして嫌だったが、香港島側では多少リッチな気分を味わえるぐらい綺麗なので、よって今回は行きも帰りも上環側を利用していった。なので、トータルで言えばShun Takの方が色々メリットがある気がするので、とりあえず余程アクセスに問題がない限りは、香港島側を利用していただくのをお勧めする。
出境審査は、空港のそれと全く一緒であり、もちろんDeparture Cardに個人情報を記す必要がある。つまり、香港は1997年、マカオは1999年に一応中国に返還されてはいるにも関わらず、大陸とはもちろん、香港・マカオ間の移動ですら外国人は必ずパスポートコントロールを通過する必要がある。香港ID保持者は、自動改札のようなゲートを通るだけで済むものの、ボーダーを通らなければならない事に変わりはない。よって、昔はふたつを行き来するだけで一気にスタンプが増えたものだけれども、2013年ぐらいから、印刷された紙が出るようになったので、そういう事はなくなった。
まあそれはそれでいい方法ではあるなとは思うけども、スタンプが段々埋まっていくのも楽しみのひとつではあると思うので、そのシステムで初めて受けた時は若干残念に思えたものだった。また、マカオも日本人であればビザ不要で90日間までの滞在が許可されているので、入境審査はとにかく早い。また、シンセンのボーダーよりもゲートは多いので、数十分も待たされた経験はなかった。
到着先は、余程妙な旅程を組んでいない限り、ほぼマカオ外港フェリーターミナルになるので、そこがマカオの実質的スタート地点となる。しかし、中心街からは大分離れているので、まずはそこまで移動しなければならないのだけれども、マカオには鉄道が存在せず、旅行者にとっての足はほぼバスかタクシーに限られてしまう。後者の方がやはり手軽ではあるとは思うのだけれども、外国人、特に言葉の分からない日本人が大分被害を受けているので、個人的には避けた方が無難。
そうなると、ほぼバスしか選択肢がないのだけれども、運賃が3.2パタカなど、安いのは良いのだけれどもとにかく小銭を用意しないとどうにもならない。しかし、日本のようにご丁寧に両替機など車内に存在しないため、現金のみでは非常に使い辛い。そこでおすすめなのがマカオパス。世界貿易中心の入り口付近で買えるのだが、香港のオクトパス同様非常に使い勝手の良いカードであり、マカオをしばし探索したいのであれば必需品だ。
1日じゃとても使い切る事はないので、必ずかなりのパタカが余るだろうけども、やはりマカオを探索するにはバスしかないので、重点的に周りたいのであればやはり買っておいて損はないだろう。バスのルートマップは外港でただで貰えるし、それとにらめっこしていけば決して難しくはない、たとえ乗り間違えても狭いマカオであればいずれは外港まで戻れるので、繰り返しになるがマカオを思いっきり探索してみたければ、是非マカオパスの購入をお勧めしたい。