最終日は土曜日だったので、事前にネットで知り合った現地での友人と会う事となった。しかし、どうしてもそれまでに行きたかった場所があるので、午前中にそこを訪れる事とした。その場所は猫空と言う、何とも可愛い地名であり、その山に行くまでに存在する猫空ロープウェイ(Maokong Gondola)にどうしても乗りたかったからだ。
基本、自分は高い場所が嫌いなんだけども、展望台などへ登る事は好きだ。ロープウェイと言う事は、そこから絶景が見える事は間違いない訳であり、まさに私にとっては絶好のロケーションだ。
生き方はMRTで台北動物園駅前に向かって、そこから乗るのだけれども、そのMRT自体まず「ゆりかもめ」みたいな新交通システムであり、自動運転なのでまずいきなりそこからワクワクさせられる。ロープウェイはローカルにも人気だけあり、混雑も必至らしいけども、幸い朝早かったためか順番待ちせず乗ることが出来た。
天候は小雨だったが、あいにく風はなく、ゴンドラが揺れる事はなかった。が、地上まで大変高く、正直しばらくの間怖くてたまらず、下を見る事が出来なかった。しばらくすると慣れ、無事山頂の猫空駅まで着いたが、特に目ぼしいお店もなく、日本語表記があった店でドリンクを飲んで帰った。ガイドブックによれば無数の茶屋があるらしいが、時間もないし歩くのも面倒だったので、寄ったのはそのお店だけだった。帰りは大分慣れたので、床が透明なクリスタルゴンドラに乗って帰った。
それからホテルで一休みして、待ち合わせ場所へと向かったが、何とこの日だけで2組の友人と会う事になっていた。週末はこの日だけだったので、それもやむなしだったが、時間を考えるとやはり1日1組で行きたかったのが本音だ。
1組目とは、MRTのホーム内で待ち合わせ、そのまま案内されるまで付いていった。最初は廃墟のような場所を活かしたアーティストのエキシビションに連れて行かれたが、正直その手のものを理解する感性に乏しい自分にとっては、あまり面白いと思える場所ではなかった。そこを終えると、今度はあの有名な蒋介石の記念堂へと向かった。ここは定番スポットだが、実は来るのは初めてだった。
蒋介石と言えば、言うまでもなく中華民国建国の最大の功労者の一人であり、歴史的な偉人でさらに日本とも関係が深い。しかし、その反面、国共内戦で大陸を追われ、台湾へ逃げた時の国民党の現地人に対する仕打ちがあまりにも酷いため、自分の中では微妙な存在だ。これまで実際に聞いた事はないから分からないけど、果たして台湾人、特に内省人の方たちはどう思っているのだろうか?今度機会があれば聞いてみたいものだ。
二人と別れた後は、今度はホテル最寄り駅へと向かい2組目と合流する。今回は割と直前にネットで知り合ったNinaと言う女性と、その友人であり、ネットで知り合った人、しかも男性と会うのは初めてとの事だった。ただ、現地に居る間はずっとスカイプでやりとりしていたので、警戒心などはなかったと思う。会う直前に電話で話したが、英語を勉強しているとは言え会話には若干ランゲージバリアーを感じた。
そこから小規模なナイトマーケットへと向かったが、そこで合流した2人を含め、ニーナ以外は誰もまともに英語を話せなかった。当然、私は無言にならざるを得ない。さらに、「肉は嫌い」とスカイプで言っていたのにも関わらず、肉料理中心のお店に案内されてしまった。翌日のフライトが早かったので、腹痛を恐れていた私は、どうしても嫌いな肉料理を受け入れる事が出来ず、大人げないことに若干機嫌を損ねてしまった。
その後は、1組のカップルとは別れ、ニーナとその友人だけに。幸い、それ以外の食べ物は美味しかったので、短い時間ながらも楽しむ事が出来た。しかし、写真を撮る機会を失ってしまい、一緒の写真は今でも残ってはいない。これは大きな後悔だった。その後、電車内でフェイスブックを登録しよう、と話して別れた。
翌日のフライトは午前7時半だったので、ホテルを朝4時に出発した。チェックアウトしようとしたら、台湾人スタッフの方が目を真っ赤にして外で煙草を吸っていた。夜勤と言うのは大変だ。バスターミナルは徒歩圏内なので、特に問題はなくたどり着いた。
ここまで書くのを忘れていたが、実はチャイナ・エアラインは未だにリコンファーム必須なエアラインだ。よって、個人旅行客は必ず自分で済ませておかなければならない。基本、到着後に空港の航空会社のカウンターへ向かえば、そこで行ってくれるのだが、この頃はまだそれを知らなかったので、市内の公衆電話から英語で済ませた。
バスターミナルは午前5時ぐらいに出発したと思うが、早朝だけあって40分ほどで着いてしまったので、余裕を持って乗ることが出来た。当然、香港には午前9時ぐらいに着いたので、1日丸々使える。ちょうどその日は中秋節。すぐに友人のひとりに連絡を入れると、Tai Po Marketまで来て、と言うので向かった。
結局、誕生日の週を台湾、香港と連続で過ごしたのはこの2012年が最後であり、台湾自体もこれ以降、トランジットのみで現地の旅行はしていない。はっきり言って楽しい思い出しかないし、快適そのものなんだけども、しかしその後香港の重慶大廈、そしてマカオとシンセンで味わった刺激に比べて、平和な分どうしても刺激と言う点で物足りなくなってしまったのは事実だった。
最近はバニラエアやスクートなどのLCCも出来てよりリーズナブルになったとは言え、香港エクスプレスに比べるとまだ割高で、さらに運行時間帯もあまり良くない、と言うのがあるので、そのあたりがもう少し改善されてくれれば、と言った感じだ。