しみじみ美しいフェドセーエフの「くるみ割り人形」 | お気に入りの時間に

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12月12日(水)、N響12月定期公演Bプロに行ってまいりました。

チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
児童合唱:NHK東京児童合唱団

N響定期では久しぶりのサントリーホールです。
本日は1階最後列の席。
プログラムが発表された時から、とても楽しみに待っていた公演です。
「くるみ割り人形」全曲、それも12月に!

序曲はとても静かに始まりました。
数年前に見たバレエの雪の降り積もるシーンそのままです。
物語はどんどん進んでいきます。
クリスマスの舞踏会が終わり時計の鐘が12時を打つと、クララの体はどんどん小さくなる。
そして、ネズミの王様とくるみ割り人形の戦い。

フェドセーエフの奏でる「くるみ割り人形」はとてもゆっくりとしたテンポです。
メリハリを効かせるわけでもなく、やや間のびしている印象…?

でも、「松林で」で一気に印象が変わりました。
ゆっくりしたテンポで作りすぎない。
だからこそ「しみじみ美しい」のでした。

全体を通しても金管や木管のソロパートも、ここぞとばかりに歌っていなかったように感じました。
でも、静かに胸にせまりくる美しさがあるのです。
胸の奥の小さなロウソクに火を灯すような。
こんな「くるみ割り人形」は初めて。

そして、今日は一つ発見がありました。
ドラジェの女王と王子が踊る「パ・ド・ドゥー」はドラマチックで、このバレエの中で最も美しいシーンですが、なぜこんなに切ない調べなのか不思議に思っていました。
それはきっと、クララの夢がやがて覚めてしまうことを暗示しているのですね。
 
終曲を聴きながら、このまま終わらないで欲しい、夢が覚めないで欲しいと願っている自分がいました。