夫のがんの闘病生活をボクシングの試合に例えたんですが、診察が無事に終わってホッとして、ふと思ったことがありました。

 

夫よ、戦う相手を間違えていないかい???

 

戦う相手はドクターEではなくて、がん細胞なんじゃないかい???

 

ドクターEは攻撃する相手じゃなくて、伴走者でもあり、専門知識を持ったコンサルタントなんだから、喧嘩して勝ち目はないのに、敵にしてどうするよ?

 

昔、太極拳のセミナーで出た時に、大雑把ですけど「力づくで何とかしたい派」と「力を使いたくない派」に分かれるんだと発見しました。私はもちろん「力を使いたくない派」ですが、夫は「力づくで何とかしたい派」なんでしょう。だから何かを敵にしておけば、誰かを悪者にしておけば、攻撃できる相手がいるんだから楽なんでしょうね。

 

それが他人に向かっていればいいけれど、私に向かうと大変なことになります。

今朝は売られた喧嘩をしっかり買いましたよ。← 超ムカつくムキー

セコンドだって人間ですから、打たれっぱなしにはさせませんよ。防御もするし、反撃にだって出るんです。余命宣告受けてるからって何でも言っていいということではないでしょう。後で大声出したことは謝りましたけどね。←出来た嫁だと誰か褒めて〜

 

この喧嘩には後日談があって、夫は私のことを夫の家族に言いつけたんですよね、味方してもらえるんだと思ったんでしょうけど、逆に怒られてました。そんな酷いこと言って、私が怒るのは当然だってニヤリ

 

話を戻します。

フライ級の夫が、ヘビー級の相手に効かないパンチをくり出しているようなもんです。勝ち目はないので、だったら逃げないととタオルを投げ入れた私と喧嘩している状況です。

ま、それだけ元気だってことなので、良しとしますけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

セコンドに徹すると決心して診察へ行きました。

 

そこでは予想通り、積極的に増薬したい夫と様子を見ながら抗がん剤を増やしたいドクターEとの熾烈な戦いがありました。

当然ですが、ドクターEの圧勝です。患者の言いなりになってては医者は務まりませんもんね。夫は苦々しくもこの現実を受け入れています。

が、次回の分子標的治療は全量(前回は半量)、抗がん剤は一日4錠に増薬する予定になりました。

 

今回、セコンドの出番はありませんでした。

と言うのも、ドクターEは、パンチをどんどん打ち出す夫に対して(こういうのを無駄打ちと言うのだよ、と思って見てましたが)感情的にならず、「ちょっと待って」「一つ前の質問に戻りましょう」のフレーズを繰り返し使いながら、抗がん剤はがん細胞を殺すけれど、正常な細胞も殺すし、副作用も強いし、急に増薬すると副作用が酷いけれど、徐々に増やして行けば、体が慣れて耐えられることが多いのです、と説明してくれました。

 

そして、がん治療は標準治療がエビデンスに基づいて確立されているので、どこで治療を受けても同じ治療なんですよ、つまりメイヨークリニックがなんぼものもんじゃいとは流石に言われませんでしたけど、メイヨークリニックが言ってるからと、目の前の患者の状態を無視して増薬することは私はしませんよ、それが私の方針ですと宣言されました。

 

いやいや、私はこの神対応に惚れましたよ。私の治療方針に不満があるなら他の腫瘍内科医のところに行ってしまえー、メイヨーでも冥土でもどこでも好きなところに行ってしまえー、と私だったらキレてたかも。夫を見捨てずに、夫のQOLに配慮してくれて本当に有り難いです。

 

 

 

 

セカンドオピニオン診察のあと、初めての地元のがんセンターでの診察がありました。

 

 

メイヨークリニックのドクターWがあまりに素晴らしかったので、夫は、すべてをドクター Wの言う通りにしたい、と言い出しました。

このあたりから嫌な予感がしたんですけどね、これから先の道のりは平坦ではないなって。まあ治療を受けるのも、その治療を決めるのも夫なので、気が済むようにさせないと納得しないだろうなあ、と思っていました。

 

ドクターW と地元の腫瘍内科医 ドクターEのプランは基本的に同じなのですが、ドクターWは抗がん剤を増やしたい派で、ただし副作用がひどくなければ(←ここ大事です)。

一方で、ドクターEは夫のQOLに配慮して、抗がん剤も標準標的治療も少量から導入して副作用の様子を観察しながら徐々に量を全量にまで持っていきたい派です。

 

夫としては、天下のメイヨークリニックのドクターの指示に全面的に従いたいのです。抗がん剤を休薬しても疲労感はとても強いので、これ以上悪くなることはないだろう、だったらがんを徹底的に攻撃しちゃいたい!と思っているんですね。

 

しかも、ものすごくせっかちな性格で、ゆったり待つとか、様子を見ながらさじ加減を変えていくとか、とっても苦手なんです。そこへ持ってきて地元の医療システムへの不信感もあり、元々疑り深い性格でもあり、天下のメイヨークリニックが素晴らしくて正しいんだ!という妄想に取り憑かれてしまっています。そうすると副作用がひどくなければ、というドクターWのコメントは存在しなかったことになってます。

 

このせっかちな夫と慎重に抗がん剤を導入したいドクターEとの間でどんなバトルとなるのか、ハラハラしながら診察に行きました。自分の時だってこんなにナーバスになったことないのに!夫の診察のたびに、今のところ毎週がんセンターに通っているのでこんなにナーバスになっていては、私の身が持ちません。

 

だったら、私はボクシングの試合でいえばセコンドに徹すれば、と思いつきました。リングで戦うのは夫、これは私の試合ではないんですね。セコンドとしてできることは水分補給、怪我の処置、試合のアドバイス、そして危険になったらタオルを投げ入れることなのかな。

だから、夫とドクターとの間に入って根回し(うー発想が日本人すぎガーン)とか、意見を代弁するとか、そうやって間に入って両者のパンチ合戦の板挟みになることはセコンドの役割ではないので止めよう。

しかし、試合のアドバイスはできるので、戦う夫に役に立つように、こういうパンチは効果があるよ、つまりこんな質問をしてみようと言うことはできるかな、と思いました。

でもチアリーダーにはなりません。両手放しでキラキラのポンポンを振り回して、ミニスカートはいて応援できるキャラでもないし。こういうパンチが来たら、こう動いたらいいよ、と言える時は言うのがセコンドです。

 

夫の脳内は芸術家脳なので、AとBについて話している時に、いきなりPの話を持ってきたと思えばそれがZに飛び、Ωに終わるみたいなことがよくあるんです。ま、こういう時にはタオルを投げて試合を止めて、AとBに話を戻すことができればいいのかな。

 

こう考えられると、自分の役割がハッキリして、すべきことが見えてきます。戦うのは夫ですから、私はセコンドに徹しましょう。これで気分も楽になりました。

 

なんか長くなっちゃったので、診察については乞うご期待!第一ラウンドのゴングが鳴りましたボクシング