【今回の記事】

「伸びる子の親の共通点『待ち上手』とは」
①子どもは本来、何もしなくても自分で成長する力を持っています。月日と共に身長も伸びるし、語彙(ごい)も増えますよね。それを待てずに「ああしなさい」「こうしなさい」と言っていたらどうなるでしょうか?(中略)「教えよう」という指導から脱却し、子どもをよく見て、待って、寄り添い続けて、味方だよと言い続けることが大切。それが、生き抜く力を付けていくことになります。
②「待ち上手」な保護者が、ポジティブな解釈ができるのはなぜでしょうか。それは、自分の状態がいいからです。睡眠や食事をきちんととれて、趣味を楽しむ時間もある。だから、豊かさを感じる心が整い、子どもの行動のよい面に気付けるのです。

【感想】
 本記事内容を、私の「まとめプレゼンテーション」(下記記事以降、全16回シリーズ)と関連付けて整理してみたいと思います。


《記事①について》
 先ず一般的なおさらいから。
 安心感が不足して問題を抱える「不安場面」にいる子供に対して、「安心7支援」(下記「→」参照)で子供を受容する母性を働きかけることによって、子供は「自力回復力」を発揮して、前向きな活動ができる「活動場面」に移動します(下記スライド「子育て三場面表」参照)。その後は子供に社会的自立を促す父性を働きかけますが、その方法は「見守り4支援」(下記「→」参照)です。…
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…さて本記事は、この中の「活動場面」での話になりますが、子供が特に問題を抱えてもいないのに「ああしなさい」「こうしなさい」と言ってしまい、「待つ」つまり「見守る」が出来ないと、いわゆる親による過干渉になり、子供は愛情過多による「不安型」愛着不全(下記スライド「『不安型』愛着不全タイプに関わること」参照)に陥りやすくなります。…

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→上記スライドは下記記事の3枚目のスライド
…本記事で言う「生き抜く力」とは、この不全状態に陥ることなく安定型の愛着タイプの大人に成長することを意味します。

 一方で、「活動場面」に向かう以前に、母性による受容の働きが少なくなると、子供に安心感が不足して「不安場面」から抜け出せなくなります。すると子供は「回避型」愛着不全に陥って他者との絆を避けがちになり、将来結婚や出産をする意欲さえも持ちにくくなってしまいます(下記スライド「『回避型』愛着不全タイプに関わること」参照)。これが今盛んに話題になっている少子化問題の最大の要因であると精神科医の岡田尊司さんは指摘しています(特に乳幼児期の母性が重要)。

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《記事②について》
 本記事のような余裕を持ち、精神的に安定した親に育てられた子供は、将来安定型愛着スタイルを持った大人になり、当たり前のように結婚・出産への意欲を持ちます。
 岡田尊司さんによれば、今問題になっている少子化のそもそもの始まりは、戦後高度経済成長期の工業化と核家族化の下で、父親が仕事で家を留守にし母親がワンオペ育児をさせられたことだそうです(下記スライド「愛着不全が生まれた歴史的背景」参照)。
 しかし、今現在もワンオペ育児は当たり前のように続いているので、このままだと、少子化も「8050問題」も続くと思います。…

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…だからこそ国は、子育て支援費を子供のオモチャや習い事等に使わせるよりも、母親が精神的に安定した育児環境にいれるようにするために充てるべきです。母親が忙しいままでいると「待ち上手」どころか逆に「早くしなさい!」等と子供を急かしてしまいます。そのためにご機嫌斜めになった子供の機嫌を直そうとオモチャや習い事に費やすのは本末転倒です。子供が真に望んでいるのは、オモチャ等による偽物の安心感ではなく、母親の笑顔によって湧き出る本物の安心感なのです。

…また、乳幼児期に形成される安定的な愛着によって人間関係能力もストレス耐性も知能も向上する(下記スライド「『愛着』の意味」参照)ことから、自ずと十分な学歴を獲得することができるはずです。そうなれば、国が心配している“子育てするための経済力”も蓄えることができるでしょう。…

…なお、これまでも現実に約80〜85%の家庭(=約15〜20%存在する「回避型」愛着不全に陥らない家庭)では、我が子を当たり前のように結婚や出産に至る大人に育ててきたのですから、その育児情報を皆で共有しさえすれば今の少子化問題は改善できるはずです。
 以前もお知らせしましたが、私はその「共有」の仕方として、妊婦健診で正しい育児情報を提供するプレゼン視聴を実施する以下のような事業化案を考えました(かかるコストは、当日妊婦さん方渡す冊子資料代のみで、効果は、少子化だけではなく、いじめ、引きこもり、犯罪、虐待など様々)。


 親が余裕を持って子供を「待つ」「見守る」ことができる育児環境の実現は急務です!