(前回の続きです)


「この間の男の子はいつまでも泣いていたのに、もっと幼いこの子どもはもう泣き止んでいる。どうしてだろう?」
この2人の違いは何だったのでしょうか?


   私の中に、その答えの一つとなるある考えが浮かびました。そのきっかけとなったのは、その二人のお母さんの表情でした。先日の男の子に対するお母さんの表情は、とても厳しかったのですが、この日のお母さんは、「そんなの買ってもどうしようもないでしょ」とな言いながらも実は微笑んでいました。つまり、怒っていたのではなく、どこか呆れ気味に「泣いてもどうにもならないでしょ。この子ったら、しかたないわねぇ…😅」という雰囲気だったのです。(イメージできるでしょうか?)

   先日の男の子の場合は、“独り歩き”した末にやってしまった“コロッケを落とすという失敗”で、「お母さんから怒られるかもしれない」とドキドキしていたところに、更に母親から厳しい注意を受けました。そのために、男の子の不安定になっていた感情が更に刺激されて爆発し、その後お母さんから更なる“罰”が下された、いわゆる“二次被害”的なケースだったように思うのです。一方で、この日のお母さんは、泣いている子どもを更に不安定にするような刺激を与えることはありませんでした。そのために、その子は間もなく泣き止むことができたのだと思います。(結局、先日のお母さんの「どうして自分勝手にどこかに行っちゃうの?!この間もだったでしょ!」と、今回のお母さんの「そんなの買ってもどうしようもないでしょ」との「!」の有り無しがその違いを表す“ヒント”でした。ちょっと微妙過ぎました?すみません)


   親が子どもを叱る時は、子どもが「あれ買って〜!」等と泣き叫んだり、子どもが何かしらの失敗をしたりしている時、つまり子どもが精神的に不安定になっている時です。そこに“親の叱責”という更に強い刺激を加えることによって、その後子どもは、親からの「どうしてそんなことしたの?!」との問いにモゴモゴしたり、フリーズしたり、更に激しく子どもが泣き叫んだりしてしまうこともあります。結果として、親はそんな子どもに対して更にカミナリを落とすことになる、と言う悪循環に陥りかねません。


   ところで、先の「お母さんは『そんなの買っても仕方ないでしょ』と言っていました」という記述から、もしかしたらお母さんの怒っている表情を連想された方がいたもしれません。それは、私達のイメージには、「注意する=怒る」という先入観があるからだと思います。ちなみに、このことに関わって、私は過去のブログで、「【問題】このお母さんは何と言っている?~注意する時の表情は?~」という、ある食品会社のCMを題材にした記事を投稿しています。御参照ください。



   また、子どもと愛着(愛の絆)を形成するための支援である「安心7支援」の中には、「④子どもに指示や注意をする時には、穏やかな口調で話しかける」という行為があります。更に「注意猶予”による段階的指導」についても本ブログで紹介しています。つまり、初めは叱らずに「微笑んで諭す」、それでも直らない時には「真剣な表情で叱る(怒鳴る必要はない)」という段階を踏んだ指導をする方が、子どもの問題行動を改善するうえでは効果的ですし、何よりも、親子間の愛着(愛の絆)を守るうえで必要なのです。


   なお、スーパーの中にいると、欲しいものがあってぐずる子どもさんはよく見かけます。

こういうことが度々ある子どもさんについては、「公共の場で走る、騒ぐ子ども~外出先での指導の仕方~」という記事も投稿していますので、ご参照ください。