ある日、私は近所のスーパーに買い物に行きました。すると、コロッケ売り場で、5歳くらいの男の子と大人の女性が何やら揉めています。初めは「親子?」と思ったのですが、どうやら違うようです。
 男の子は、売り場に置いてあるトングを手に持っていましたが、その足元にはコロッケが転がっていました。どうやらコロッケをつかもうとして落としてしまったようです。そこに偶然通りかかった女性が、落ちたコロッケを備え付けのビニール袋に入れて、その子に持たせてあげていたのでした。その後、その男の子は、そのコロッケが入った袋を持って、トコトコとどこかに歩いていきました。
 
 私はその後も買い物を続け、店内を歩いていました。
 すると、ある場所で、さっきの男の子がさっきの方とは別の女性と何やら話しています。その女性は、厳しい表情をしてその男の子に何か話しかけています。
「どうして自分勝手にどこかに行っちゃうの?!この間もだったでしょ!」
そんな声が聞こえてきました。どうやら男の子のお母さんのようです。そのお母さんの雰囲気からすると、コロッケ売り場でコロッケを取ろうとしていたのは、お母さんから頼まれたことではなさそうです。
    男の子は、お母さんの傍に立って涙目になりながらお母さんをじっと見上げています。お母さんも、厳しい表情を崩さず、男の子をにらみ続けています。私はいたたまれなくなり、その場を離れました。
 その後、いくつかの商品をとりレジに進もうとすると、どこからか子どもの泣き声が聞こえてきました。その方へ目をやると、さっきの男の子でした。あのお母さんも一緒です。しかし今度は、その男の子は、「痛い~!!」と言って泣いています。お母さんはさっき以上に厳しい表情です。お母さんからどこか叩かれたのでしょうか。

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   それから数日たったある日、同じスーパーで買い物をしていると、また男の子と思われる泣き声が聞こえてきました。
 声のする方に目をやると、先日のコロッケの男の子ではなく、更に幼い3歳くらいの男の子でした。一緒にいるのはお母さんのようです。男の子は、
「○○○がほしい~!」
と訴えながら泣いています。どうやら何か欲しいものがあってぐずっていたようです。お母さんは「そんなの買ってもどうしようもないでしょ」と言っていました。
 
 その後、私が買い物を続けていると、さっきの親子がまた目に入りました。ところが、その男の子はもう泣き止んでいました。私は、
「あれ?この間の男の子はいつまでも泣いていたのに、もっと幼いこの子どもはもう泣き止んでいる。どうしてだろう?」
と思いました。
 
 さて、この違いは何だったのでしょうか?ヒントが隠れています。それは“お母さん”です。
(長くなったので続きは明日、お伝えします)