【今回の記事】

【記事の概要】
   外で子どもをしかるとき、他人の目が気になりますよね。また、ママやパパが急いでいるときに、子どものイヤイヤに対して、どんなふうにしかっていいのかわかないことも…。とくに1歳・2歳は、まだ言葉で十分に意思疎通ができません。
そんな子どもを外でしかるときはどうしたらいいのか、子どもの発達心理に詳しい井戸ゆかり先生に教えてもらいました。

“あるある”シーン別!しかり方のポイント
   1~2歳になると自己主張が激しくなり、あんよが上達して自分の行きたいところに移動できるように。けれど、言葉の理解力はまだ十分とはいえません。自制心も未発達です。そんな1~2歳の子どもを、外で叱らなきゃいけないシーンって、たくさんありますよね?公共の場で騒いだり、走ったり…。そんなよくあるシーン別に、子どものしかり方のポイントを紹介。年齢別の「上手なしかり方」もチェックしてね!

scene1 公共の場で走る
   1~2歳代は、人の迷惑になるということがまだ理解できないので、「もう知らない!」など突き放すように叱っても効果はありません。そのため店内では、走らないようにベビーカーやショッピングカートに乗せるのも一案。エスカレーターなど危険な場所では、必ず手をつないで。
【上手なしかり方】
1歳代/とくに動きたい気持ちが強い時期なので、飽きてきたら「帰ったら絵本を読もうか?」などと楽しいことが待っているとイメージできるような声かけを。ウロウロ歩き始めたら、カートに乗せたり、抱っこしたりして。
2歳代/「お店の中では走らないよ」と正しいふるまい方をわかりやすく教えましょう。またお店に入る前に「お店の中では人に迷惑になるので走らないようにしようね」などと約束しておくと、少しずつ守れるように。約束が守れたらたくさんほめてあげて。

scene2 公共の場で騒ぐ
   うれしくて興奮してはしゃいだり、飽きて騒いだりすることもありますが、「静かにしなさい!」と頭ごなしにしかっても1~2歳代には通じません。「まわりに迷惑だな…」と思ったら、電車やバスを降りたりして外に出ることも考えて。出かけるときは、万一に備えて時間に余裕を持ちましょう。
【上手なしかり方】
1歳代/我慢する時間をなるべく減らして。飽きてきたら、絵本や音の出ないおもちゃで遊ぶ、電車やバスの中なら、窓から外を見せるのもいいでしょう。その上で「ここではシーね」と短い言葉で伝えましょう。
2歳代事前に約束して守れなかったら「静かにするんだよね?」と伝えて思い出させて。「帰ったら、○○して遊ぼう」と、先の見通しがつく声かけをするのもおすすめです。

scene3 お店のものを触る
   ママやパパが「少しぐらいならしかたない」という対応をすると、子どもは「やっていい!」と受け取ります。また「お店の人に怒られるよ!」と脅すと、人の目を気にするようになる子も。対応策としては事前に「お店のものだから触っちゃダメだよ!」と注意するか、子どもから目を離さないようにしましょう。
【上手なしかり方】
1歳代/子どもが興味を示す売り場には、なるべく近づかないことがいちばん! どうしても触る場合は「お店のものだからダメだよ」と伝えて、抱っこでその場から離れましょう
2歳代/少しずつ約束が守れますが、まだ完璧ではありません。約束が守れず、お店のものを触ったら「約束したよね?」と思い出させてあげて。

scene4 公園から帰りたがらない
   1~2歳代は、欲求をコントロールするのは難しい時期。無理に帰ろうとしたり、「置いて行くよ!」と突き放すような言い方をしたりすると逆効果なので、子どもの気持ちを切り替える言葉かけを意識して。
【上手なしかり方】
1歳代/帰りたくないと泣き叫ぶときは、「遊びたいよね」と気持ちに寄り添いながらも、「でも今日は終わりね」と切り上げて。「帰ったら、おふろに入って遊ぼう」などと声をかけて、次のことに気持ちを向けさせましょう。
2歳代/「遊びたいよね。でもごはんだから帰ろうね」と先の見通しがつく声かけを。それでも帰らないときは、「あと○回、ブランコに乗ったら帰ろうね」など約束をして、少し欲求を満たしてあげて。

【感想】
  本記事では、いくつかの場面毎に親が気をつけるべきことが挙げられています。ここでは、それらの注意点をいくつかのグループに仲間分けしてみたいと思います。

事前に目標を与える
   今回の記事の中では、「お店に入る前に『お店の中では人に迷惑になるので走らないようにしようね』等と約束しておく」ことが指摘されています。何も約束をしないで店内に入らせれば、1〜2歳頃の子どもが騒いだり走ったりするのは当然です。そして親が「ダメだな」と感じた時に急に怒られると、子どもは親に対して萎縮し、母子間の「愛着」にも傷がつきます。
   そうならないためには、お店に入る直前に、どんなことに気をつければいいのかと言う目標を具体的に伝えておく必要があります。子どもはより良い行動の仕方を知ると、喜んでその通り行動するので、この支援は有効です。更に、できた時にたくさん褒めてあげることで、約束をきちんと守ることの良さを認識するでしょう。

親が責任を持って教える
   私もスーパーなどで買い物をしていると、小さい子どもが店内を騒いだり走ったりしている場面に遭遇することがあります。その時は「親は何をしているんだろう?」と残念な思いにかられます。
   本記事内でも、親が「少しぐらいならしかたない」とあきらめたり、お店の人に怒られるよ!」と他人の力をあてにしたりする事例が挙げられていますが、やはり、その子の行動はその子の親が責任を持って指導するべきだと思います。これは親の自覚次第です。

見通しを持たせる
   子供はなぜぐずりだすのでしょうか?それにはいくつか原因があるとは思いますが、その中の1つに、「あとどのくらいしたら 今の活動が終わるのか、“見通し”が立たない」ことが考えられます。特に、公共の場は子どもにとっては我慢の連続です。そのために、時計を見せて「こっちの長い方の針が◯のところに来たら終わりだよ」等と伝えることで子どもの気持ちも変わります。
   また、記事中にもあるように、「帰ったら、○○して遊ぼう」「帰ったら絵本を読もうか?」「あと○回、ブランコに乗ったら帰ろうね」と伝えることも、「これが終わったら◯◯が待っている」と先の“見通し”を伝えることになるのです。

誤学習をさせないために場所を変える
   記事中に「『まわりに迷惑だな…』と思ったら、電車やバスを降りたりして外に出る」と言う記述がありますが、子どもには迷惑をかける経験をできるだけさせないことが大切です。迷惑行為を繰り返す度に、その子どもの意識の中では“当たり前の行為”になっていくからです。
   また、少し大きくなると、約束を守らないときは楽しい場所に居られなくなる」と 自分にとっての不利益が待っていることを自覚させることもできます。
   場合によっては、その場所自体に、どうしても欲しいものがある、嫌な刺激がある等の“騒ぎたくなる要因”が存在することもあります。場所を変えることでそれらの要因を取り除くことができます。

子どもの気持ちに共感する
「『遊びたいよね』と気持ちに寄り添う」
この行為は、「安心7支援」の愛情行為の1つ「⑤子どもの話をうなずきながら聞く、共感する」です。この行為によって、親に対する反発心が和らぎます。詳しい意義については、以下の記事をご参照ください。

やり始めたらできるだけ早く褒める」「こまめに褒める」
   記事の中に、「事前に約束して守れなかったら」と言う記述があります。なぜ 事前に約束したことが守れなくなるのでしょうか?それは、子どもの短期記憶(その時その時に頭に浮かぶ記憶)が小さいうえに、大人が途中での“評価”をしないからです。特に「褒める」という評価はとても大切です。お店の中に入ったら、守れなくなる前に必ず褒めましょう。そしてその後もこまめに褒めましょう。お店の中に入って初めに受ける評価が「叱る」だと子どもの意欲は半減してしまいます。このことについては以下の記事をご参照ください。