私は以前次のような記事を投稿しています。
この中で私は、こう話しています。
「子供達が母親に一番求めているもの、一番大好きなもの、それは母親の“笑顔”だと思いました。」
しかし、お母さんだって人間です。不満やストレスが溜まったり、精神的に不安定になったりする事も多いはずです。
そんな中でも、お母さん自身が“笑顔”になるためには、どうすればいいのでしょうか。
精神科医の岡田氏は自身の著書の中でこう述べています。
「(母親自身が自分の)親との不安定な関係を抱えていたり、夫の非協力的な態度に悩んでいたりなど、『安全基地』を持たない母親は、子育てと仕事の両方でせっぱ詰まっている。そのしわ寄せは、母親自身も子供にとっての『安全基地』となれないこととなって現れる。(母親が)『安全基地』を持たないことが、相手(子供)にとっても安全基地となれない事態を招き、状況をこじらせていく。」※( )内遠藤
つまり、母親自身が「安全基地」を持っているかどうかということは、母親が子供にとっての「安全基地」となれるかどうか、具体的には、子供が母親に対して最も強く求めている“笑顔”になれるかどうかに大きく影響する、ということです。それだけ母親自身が精神的に安定することは、子供にとって重要なことなのです。
さて、既にご存知の方も多いかと思いますが、子供との間に「愛着(愛の絆)」を形成し、母親が子供にとっての「安全基地」となるための方法は「愛着7」のような愛情行為です。それを母親自身に置き換えてみると、母親にとっての「安全基地」となれる相手は、母親自身の周囲にいる、無意識のうちに「愛着7」に近い言動をとっている人、端的に言えば、いつも笑顔でやさしく接してくれる知人ということになります。そういう人と話をすることは結果的に、母親が自分自身に「愛着7」の愛情行為を施すことになるのです。
更に岡田氏は、次のように述べています。
「自分にとっての『安全基地』となってくれるサポート役になかなか出会えない場合には、他の方法で『安全基地』の代わりを求めることも必要になる。そうしたものとして有用なものの1つは、日記や文章を書くことである。『安全基地』とは、自分が求めた時に、“ありのまま”に受け止めてくれる存在である。“書く”という行為は、黙って話を聞いてくれる話し相手に似ている。“ありのまま”の思いを表現し、自分の悩みを“ありのまま”に書き留め、吐き出すことで、心の緊張を解消することができる。」
岡田氏は、この「“ありのまま”の自分」を受け入れる、更に言えば「自分という許せない存在」を受け入れるという作業は、自分の「愛着」を安定なものにするうえで、とても大切な“修練”だと指摘しています。そして、“うまくいかない事”はイコール“悪いこと”と捉えるのではなく、「たまたま起きた不運な出来事だ」とか、「誰にでもありがちなことだ」と受け止めて自身を安心させてあげることで、自分の愛着を安定したものに近づけていく事ができるのだそうです。
このことは、子供に対する場合でも同様で、以前投稿した「愛着の話 No.100 〜子供のありのままの姿を認め「やる気スイッチ」を入れる方法〜 後編」という記事でお話ししたように、子供に完璧を求めすぎず、「本来子供は失敗する生き物だ」と捉えて、失敗も含めて“ありのまま”の子供の姿を受け止めることで、子供自身の迷いや緊張が解け、自らあるべき姿に向かおうとする、という中京大学鯨岡氏の「子どもの『ある』を受け止めれば、子どもは『なる』」の考え方に通じるものです。
子供も母親も、失敗もする生身の人間です。その“ありのまま”の姿を受け止めてもらう、または自身で受け止めることで、迷いや緊張が解けるのは、子供も大人も同じなのですね。