やろうと決めたことをいつも心がける
   このことの大切さについては、岡田氏が「安定性を保証すること」として、「相手の求めに応じたり応じなかったりと、その場の気分や都合で対応が変わるのではなく、できるだけ一貫した対応をとること」と述べています。
   先に述べたように、適切な愛着の形成には、岡田氏の言う「安定性」、つまり、親の気分や都合で養育の仕方が変わることなく一貫した養育態度が望まれます。よく世話をしてくれる時もあれば、無関心な時もある、そういう環境に置かれた子どもは、世話をしてもらえない時がいつやってくるか?」という不安が大きいため、過度親の愛を求め大人になった時にも、いつまた愛を失うだろうと常に他人の顔色をうかがいながら生活するようになってしまいます。そのため、いつも一貫した養育を心がける必要があります。
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   例えば、赤ちゃんを抱っこしている時に、その時放送されていたテレビの内容が気になって、視線をそちらの方に向けると、赤ちゃんは、お母さんの“自分への関心”という愛情を受ける事ができません。スマホを片手に持っての抱っこももちろんです。
   また、忙しい時に赤ちゃんが泣くと、マインド・マインディドネス(心に関心を向ける)」が疎かになり、赤ちゃんが何に困って泣いているのかを考えずに、つい“泣き止ませグッズ”に頼ってしまう事も、赤ちゃんのストレスと不安感を増してしまう事に繋がるかも知れません。
   赤ちゃんの養育は本当に大変な仕事です。「愛着7」のどの愛情行為にしても、「続けよう」とするためには、“意図的な努力”が必要になります。しかし、子供の一生の人格形成に影響を与える愛着形成は、特に1歳半を過ぎるとスムーズにはいかなくなるそうです。精神科医の岡田氏少なくともその時期だけでも、子どもに没頭して関わることがとても大切」と指摘しています。その時期は特に、努めて赤ちゃんの近くにいて世話に当たりたいものです。

   ただし、最初から①から⑥のことを全て行う必要はありません。支援項目は優先度が高いものから順に記載していますから、「始めは、①と②を実践しよう」と決めたものをいつも心がければよいと思います。

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   いかがでしたか。これまでNo.63〜No.75の13回に渡って「愛着7」の7つの愛情行為について一つ一つその意義をご紹介して来ましたが、この13回分がこの「愛着の話」全体の心臓部となります。
   この「愛着7」で子どもに接すると、子どもの行動は自然と落ち着きます。想像してみてください。例えば母親が、子どもを優しいまなざしで見て、穏やかに話しかけ、小さなことでも褒めるのです、そこには、子どもを“見張る”ような張りつめた空気は一切ありません。子どものありのままの姿を「そう、それでいいんだよ。」と肯定的に暖かく“見守る”母親の愛が子どもを包んでいるのです。その空気に包まれた子どもは、それまでの余計な緊張や不安から全て解放され、最高の「安全基地」を手に入れるのです。