【演技教師?それとも演技評論家?】
演技教師とは誰か?
残念ながら、演技を教えているだけでその人を「演技教師」とは呼べない…
例えば「自分が教えていること」を実は「自分はできない」という場合。
お手本を見せてあげられない。理屈ばかりが多くなり「で、具体的にどうすれば良いのですか…」と長い話を聞きながら生徒は感じている。
これは演技教師というよりは演技評論家と呼んだ方が良いだろう。
【演技教師?それとも俳優?】
あるいは逆に「自分はできる」が、なぜ自分ができるのかが自分でも分かっていないので「教えられない」という人も居る。
いわゆる天才なのかもしれないがお手本だけ見せてくれても「で、どうすればそれができるようになるのですか?」と生徒はもどかしく感じている。
これは演技教師というよりは「俳優さん、あるいは元俳優さん」と呼んだ方が良いだろう。
【演技教師育成のスタンダードが日本にはない】
しかし、これらの現象は日本では仕方がないことだと思う。
そもそも、俳優育成のスタンダードが存在しないので、教師育成のスタンダードもないのだ。
それでも、多くの先生は自分の感性や経験を頼りになんとか頑張っていらっしゃる。
自分の指導力にもどかしさを感じながら日々勉強、研究されている方も沢山知っている。
しかし、悲しいかな、「自分の演技教師が信用できずに悩んでいる」旨の相談を最近立て続けに頂いた。
【質問を拒否する演技教師】
例えば、ある方は訓練の意図が分からず、あるいはコメント(いわゆるダメ出し)の真意が伝わってこないのでその先生に質問したところ、質問をしたことそのものが受け入れられなかったらしい。
その先生曰く…
「自分で考えましょう。私も自分で考えることで今のような自分になれたのだから」
らしい…・
一体なんのためにその教師はそこに居るのか?
仮にその生徒さんがその先生に憧れているならまだしも…
あまり信用できていない演技教師ごときの実力を身につけるために、意味の分からない訓練にとりあえずは没頭し、良く分からないダメ出しの言いなりになり、いつかピンと来るかもしれないのをただじっと待たなければならないのか?
そんな屈辱的なことがあるだろうか?そんな環境で自分をさらしたり、感情の赴くままに自由を感じたり、想像の世界に集中出来たりするだろうか?
【安心があってこその成長】
俳優は自分の心や身体を最大限に晒して演技したいと望んでいる。
心も身体も安全で安心できる環境を実感できなければ思うように演技できないだろうし、学べるものも限定的になるだろう。
ただ単に演技力が向上しないだけならまだましなほうで…
演技教師のせいで演劇が嫌いになったり、
演技することに恐怖を覚えるようになったり、
心の専門家のお世話になってしまった人も私は数人知っている。
【良い演技教師の条件とは?】
あなたの演技教師は少なくとも以下の要件を満たしているでしょうか?
- 意味や意図の分からない訓練を強要しないか?
- 訓練の意図を説明してくれるか?
- その説明にあなたは心から納得しているか?
- あなたに敬意を払っているか?
- 無遠慮にプライバシーについて尋ねてこないか?
- 見本を見せてくれるか?
- 望む結果を得るための原因にアプローチしてくれるか?
- 指示が具体的か?
- あなたの成長を本当に願っているか?
【手本を見せるのは主体性や創造性を奪うのか?】
お手本を見せない先生の言い訳として「手本を見せるとそれを猿真似して創造性を奪いかねない」
あるいは「自分で考える力を養えない」という。
しかし、例えば高い技術力だけではなく、芸術性、独創性を持った世界で通用するピアニストを養成するピアノ教師の条件は
ちゃんと技術を持っているか?
素晴らしい演奏ができるか?
手本を聴かせてくれるか?
どうすればそんな音色が出せるのか具体的に教えられるか?
とはっきりしている。
実際、世界を舞台に活躍する超一流と呼ばれるピアノ教師の先生方のレッスンに触れる機会に数回恵まれたが、皆さん一様に、手本を弾いて聴かせてくれるし、指使いを見せてくれる。教え方は超がつくほど具体的で細かく、レッスンのムードは非常に楽しくテンションが高い。
【なぜ、教師をしているのか?】
優れたピアノの先生達に共通しているのはその教師哲学の根底に「自分を超えて欲しい」という想いがあるのがヒシヒシと伝わってくることだ。
難しいことをやさしく語り、
やさしいことを自ら楽しくやって見せ、
楽しいことを深くやらせてあげられる。
いくら、分かりやすく説明しても、どれほど手本を見せたとしても、なお俳優自身が「自分で考えなければならないこと」
「自分で気づかなければならないこと」は無限にある。
また、それなしに本質的な成長はもちろんありえない。
教師が知識や知恵を出し惜しみしながら「自分で考えろ」というのはその生徒が自分以上に成長するのを望んだいないからなのだろうか?
実は自分ではできないから、「自分で考えろ」というのだろうか?
教えられないから「自分で考えろ」というのだろうか?
演技教師は「演技について自分で考える」とは「何について、どう考えること」なのかという原理原則を生徒が習得するまで根気よく教えなければならない。
そうした型を身につけて初めて俳優は自分という楽器を扱うための自分なりの法則を見つけ、創造していけるのだ。
型やフォームが身についたからこそ、本当の主体性や自由や創造性が発揮できるのだ。
演技教師とは「演技について考える」とは「何について、どうやって、どこまで考えることなのか」というある種の「型」を継承していかなければならない。
欧米に演技教育が根付いているのはやはり根底にスタニスラフスキーシステムという普遍の型が存在するからなのだと思う。
あなたの演技教師は半端な知識と経験で自分ができもしないことを無理強いしたり、自分ができるからと言って偉そうにしたり、生徒の演技力が自分以下であることに責任を感じていないような教師で無いことを祈ります。
【あなたが学ぶべき教師かどうかは一目瞭然】
さて、色々と偉そうなことを述べさせていただいたが、良いピアノ教師かどうか(少なくとも自分にとって)判断するには、その発表会を聴きに行けば良いらしい。
その教師の実力が否応なくそこに反映されているのだから。
お陰様でStudioActorsArtのこれまでの公演は概ね絶賛を頂いてきた。
スタニスラフスキー・システムに基づき新境地を開拓する生徒たち
今回はどうだろうか?
もちろん、今回の作品も私は自信を持ってお届けします。
もし、この公演がつまらなければ全て演技教師の私の責任です。
もし、この公演が価値有るものならば、私の教えを咀嚼し、吸収し、主体性と創造力を発揮した生徒たちのお陰です。
先日行われたプレビュー公演の感想を一部掲載します。
そして、もし、よろしければその目で確かめて頂ければ幸いです。
【プレビュー公演感想】
【学ぶことの多い公演 大学准教授 】
公演は、われを忘れて食い入るように見ていたので、
時間も忘れておりました。
先生にお声掛けいただいて、はっとしたほどです。
内容は、これがプレビューかと思うほど、
完成度が高いので、
これ以上の質を高めることができるのか、
むしろ、今の集中力とモティベーションを
本公演まで維持するほうが大変ではと思いました。
女優か女優を演じるという複雑な構成のおもしろさ、
それを自分のものとして演じきれる俳優の技量
スタニラフスキーシステムの用語解説と
スタニラフスキーを通じて人生を生きることの意味、
今回の公演で学ぶことは多いです。
本公演でさらにブラッシュアップするとしたら、
どんなところなのか、わくわくしています。
スタニスラフスキー・システムで急成長する生徒達
以下、次回公演の案内など前回の内容と同じです。
お陰様で「見よ、飛行機の高く飛べるを」を盛況と好評のうちに終えることができました。
また、アクティングコーチとして個人的に関わらせて頂いたTBSドラマ「コウノドリ」におきましても、その迫真の演技力が何度もニュース等で取り上げられるなどの反響を頂き、演技指導者冥利に尽きる年でした。
本当にありがとうございましたm(__)m
そして、「翼」がらみの昨年に続き、今年は「かもめ」の「翼」を借りて更なる飛翔を目指したいと思っております。
謹んで次回公演についてご案内させて頂きます。
ご都合などつくようでしたら是非劇場まで足をお運びください。
これまでのスタジオアクターズアートの演目とはかなり毛色の違う、ちょっと不思議な世界をご覧頂けるはずです。
想像の世界で自由にしかし誠実に行動する生徒達
第4期プロジェクトクラス公演 2018年3月23日~26日
かもめの楽屋とスタニスラフスキー
~ 清水邦夫作 楽屋 に捧げるアンソロジー ~
【あらすじ】
とある劇場の楽屋。舞台ではチェーホフの名作「かもめ」を上演中。
楽屋ではニーナの出番を待つ主演女優にギリギリまで演技指導する演出家らしき男。
その傍らには黙々とメイクにいそしむ別の女優二人。
しかし、間もなく明らかになる彼らの本当の姿…。
公演が終わり、ニーナを演じた女優が楽屋に戻ると、かつて彼女のプロンプターだった女が現れる。
入院していたはずの彼女はあろうことか「健康になったのでニーナの役を返してほしい」と主演女優に執拗に迫りとんでもない騒動がまきおこる。
表舞台と舞台裏。
役にありつくものとそうでないもの。
「役」を演じるのか、「役」を生きるのか?
女優4人だけで繰り広げられる清水邦夫氏の名作「楽屋」の世界に「スタニスラフスキーかぶれの演出助手」が一人紛れ込み、つまびらかになる女優、演技、人生の光と影。
【配役】
各組先頭より女優A、女優B、女優C、女優D、助手
ルージュ組 目崎愛子、豊村真衣、荒木有紀、野々村紗香、上岡幹典
パフューム組 高木由起、小倉千裕、細川聖加、村上香織、上岡幹典
ジュエル組 二宮洋美、槇岡寛子、伊藤友美、片岡亜紀、上岡幹典
【日程】
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金 |
土 |
日 |
月 |
13:00 |
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ルージュ |
ジュエル |
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16:00 |
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ジュエル |
パフューム |
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18:00 |
パフューム |
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19:00 |
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パフューム |
ルージュ |
ルージュ |
20 :30 |
ジュエル |
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【劇場】
綺羅星ホール
大阪市西区西本町1丁目15-6 西本町ビルB1F
(西本町郵便局の地下1階)
【交通】
地下鉄御堂筋線・中央線・四つ橋線「本町」駅
24番出口より中央大通り沿いを西へ徒歩3分
【チケット】
各公演の24時間前まで下記申込みフォームにて受付中です。
前売り
シングル 2500円(公演一つ)
ダブル 3500円(公演二つ)
トリプル 4000円(公演三つ)
当日 3000円(公演一つ)
※ダブル・トリプルは1名のお客様が複数回の公演をお得にご覧頂ける特別チケットです。
- 事前にそれぞれ日時をご予約のうえご利用下さい。
- 同じ日の公演に限る必要はありません。
- お二人様等で利用されるペアチケット等ではございませんのでご注意ください。
また、ペアチケット等の団体割引も今公演には扱いがございませんのでご了承ください。
【ダブル、トリプルをご希望のお客様へ ご確認頂きたい重要事項】
☆ ダブル・トリプルの料金は初回ご観覧の際にお支払いください☆
ご予約頂いた2回目以降の公演をお客様のご都合でご観劇頂けなかった場合、差額の払戻し等は致しかねますのでご了承の上でのご利用をお願いいたします。
☆ 予約フォームは公演毎に予約をして頂く必要がございます ☆
- 大変お手数ですが、お客様のお席の確保のため、ご希望の公演毎にご予約をお済ませくださいますようお願いいたします。(ダブルの方は2回、トリプルの方は3回予約手続きをお願いすることになりますm(__)m )
- 通常のシングルチケットで観劇後に追加でご覧頂ける場合、2回目は2000円、3回目以降は1000円でご観覧頂けます。ただし、満席の場合はその限りではございませんのでご了承ください。
チケット予約は下記お申込みフォームよりお願いいたします !各公演の24時間前まで下記申込みフォームにて受付中です。
http://www.quartet-online.net/ticket/zc7e63r