■嫉妬
- 矢沢 雪
- 嫉妬
■2004年9月25日発行
■新風舎・刊 ■定価: 1260円
■面白度: ★★
「嫉妬」
自分の愛している人が他へ愛情を移すのを、恨めしく思う気持ち。やきもち。
(学研現代新国語辞典)
本書の中には嫉妬した女性が主人公の「満月に咲く花」、男性が主人公の「隣の芝生は青すぎて」の短編2作品が収められています。
著者は、登場人物に「自分の幸せは、自分にしかわからないのよ。幸せの価値感は、人によって違うんだからね」(123頁)と、語らせている。
本当に、私も、そう思います。
装丁・装画が素晴らしい書籍です。
■読書週間
■時空を越えた対話を可能にする書物はタイムマシンに似ている。
読書週間が始まった。
初日の今日27日は今年から「文字・活字文化の日」になった。
錆の少々目立つマシンに油をさし、その面白さ、ありがたさ心を寄せる日である。
ネットの時代、本なんて面倒なものを読まなくても困りはしないさ。
そう語る若い人もいる。
困りはしないはずの後ろ姿が傍目には、何とも危なげで心もとないことに気づいていないのかもしれない。
山本周五郎の長編「さぶ」に、才走った若者を年配者が穏やかに論す場面があった。
「どんなに賢くっても、人間自分の背中を見ることはできないんだからね」
タイムマシンに乗らなければ聞くことの出来ない言葉もある。
(10月27日付読売新聞朝刊「編集手帳」より)
■きみの友だち
- 重松 清
- きみの友だち
■2005年10月20日発行
■新潮社・刊 定価: 1680円
■面白度: ★★★★★
発売されてすぐに買って、すぐに読みました。
重松さん、円熟の境地に入った一作です。
読み切るのがもったいないような、作風。
最後の章の意外な展開に心からの拍手