■読書週間 | 田代 Yukio のカイロス便り

■読書週間

■時空を越えた対話を可能にする書物はタイムマシンに似ている。
読書週間が始まった。
初日の今日27日は今年から「文字・活字文化の日」になった。


錆の少々目立つマシンに油をさし、その面白さ、ありがたさ心を寄せる日である。


ネットの時代、本なんて面倒なものを読まなくても困りはしないさ。
そう語る若い人もいる。


困りはしないはずの後ろ姿が傍目には、何とも危なげで心もとないことに気づいていないのかもしれない。


山本周五郎の長編「さぶ」に、才走った若者を年配者が穏やかに論す場面があった。

「どんなに賢くっても、人間自分の背中を見ることはできないんだからね」


タイムマシンに乗らなければ聞くことの出来ない言葉もある。


(10月27日付読売新聞朝刊「編集手帳」より)