前回(1/3)に引き続き、太陽光パネルの義務化について詳しくご説明させていただきたいと思います。
前回は「誰に対する義務なのか」「どれくらいの義務なのか」を主なテーマとさせていただきました。
本日は、前回のテーマをおさらいさせていただき、そして話を少し進めて「違反したら罰則があるのか?」についてご説明させていただきます。
まずおさらいの部分ですが、「義務化=戸建住宅にはほとんどパネルがつく」というイメージは誤りであることを再確認させていただきたいと思います。
今回の制度は「2000㎡以上の建築物」と「2000㎡未満の建築物」で全く別の制度となっています。
前回のブログではどちらもご紹介させていただきましたが、今回はダイジェストということで、戸建住宅を含むという意味で注目されている「2000㎡未満の建築物」に限定させていただきます。
1棟100㎡の戸建住宅40棟、1棟200㎡の共同住宅5棟を建築したハウスメーカーがあったとします。(川崎市では年間供給が5000㎡を超えるハウスメーカーが義務化の対象候補となっています。)
このハウスメーカーに対する義務量は、棟数×基準量2kw(仮)×算定基準率80%(仮)となり、上図の場合は72kwとなります。
ここで共同住宅の屋根に比較的余裕があり、32kwをそちらで消化してしまえば、
戸建住宅では20棟のみ設置すれば良いことになるので、結果的に戸建住宅の設置率は50%となります。
今回、川崎市がマネをした東京都のルールでは、算定基準率というものが重要な係数になっていますが、その係数通りに、戸建住宅にパネルの設置が行われるわけではないことがわかります。
そういう意味では「義務化=戸建住宅にはほとんどパネルがつく」というイメージは誤りだといえます。
ちなみに前回もご紹介しましたが、東京都は都内を3つに区分して、この算定基準率を設定しています。
川崎市はこの算定基準率をまだ検討中としていますが、おそらく23区と同等程度になろうかと思います。
さて、おさらいが長くなってしまいましたが、次に罰則についてです。
義務化というからには、罰金のようなものがあるのかと想像される方も多いでしょうが、
実際には「達成状況の報告⇒未達成なら指導⇒未達成が継続なら事業者名を公表」という流れがイメージされています。
この流れでは、あまり実効性がないのではないかという議論もありましたが、
公表までいくと「行政による制裁(企業イメージの悪化)」の意味合いも持ちうるということで、公表を実行する際には訴訟リスクも視野に入れる必要があるようです。
企業によっては、すでに太陽光パネルの設置に取り組んでいるところもあれば、近年はほとんど実績がないというところもあります。
またおさらいでお示ししたように、共同住宅を多く受注しているハウスメーカーであれば、戸建住宅への設置は限定的になる可能性がありますが、
戸建住宅のみを取り扱っているハウスメーカーであれば、この算定基準率通りに戸建住宅への設置を進める必要があります。
この点については、100%の公平性というものが存在しないにしても、企業間の公平性については改善の余地があるように感じています。
そもそも現時点では戸建住宅への設置は約15%程度といわれていますので、いきなり70%や80%を求めることが妥当なのかどうか。
また、急激に設置を進めることで、相対的に発電効率の悪いところにも設置が促進されてしまうのではないかといった点については、今後議論していく必要があると感じています。
次回は連載最後の(3/3)です。上記のような疑問点などについて議会で議論した内容を含めて、私の考え方をご説明させていただきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。