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朝、グラストンベリー・トーア(丘)を登る。寒い。犬の散歩をしている人しかいない。

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降りるとき、白い鳩がこちらめがけて飛んできて、塔のうえに昇って行った。

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朝食を食べてグラストンベリー修道院へ。英国一古い教会として、古くから巡礼の地となっていたことを確認。アーサー王の墓も修道僧が発見した。おかげで巡礼者の数はますます増え、お金も入っていった。英国教会の離脱あたりから衰退。現在残っている建物は、実際の三分の一しかない。そんなことを修道女のコスプレをしたガイドが説明してくれた。Starletsのブログ
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パワースポットと呼ばれる地域には色々なパターンがある。もともと宗教的な聖地だったものもあれば、もともとは宗教的な中心ではなかった場所もある。グラストンベリーは、前者である。また、自然の地理上の特徴が聖地のゆえんとなっている場合と、歴史的背景が聖地の由来となっている場合がある。グラストンベリーは、そこだけが突出した小高い丘と、泉が湧いているということが自然的要因で、キリスト教のセンターであるということが歴史的要因で、さらにそれがさまざまな伝説を引きつけ、神秘性を醸し出しているということになる。セドナのようなところは、歴史的要因より自然的要因が強いところといってよいだろう。

意外に長引いて、お昼をすぎてしまい、日本にいる家族との連絡ができない。お昼は自炊で、カレー風味のホワイトソースのスパゲティ。バターに、マッシュルーム、ズッキーニ、トマト、カレー粉、カイエン・ペッパー、ヨーグルト、小麦粉、牛乳の順に加えてゆく。肉類もニンニクも入っていないが十分においしい。スパゲティはディチェコを使った。

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夕方、こちらで調査をしている大学院生のホスト・マザーに招待されて出向く。娘さんが一人暮らししているあいだ空いている部屋にステイしているという話を聞いていたので、地元に暮らしている普通の人かと思ったら、ヒーラーさんだった。

彼女はもともと看護婦、また学校で看護の授業も教えていたという経歴の持ち主である。70年代ころにニューエイジに出会い、ヒーラーになった。今はとくに、サウンド・ヒーリングに興味がある。シンギング・ボウルというガラスのボールを、スティックでこすると共鳴のような音が出る。その他、各種の民族楽器を使って、音で癒すというやり方である。さっそくやってもらった。

横になって深呼吸をして、彼女の鳴らす音に耳を傾ける。手と足がとても暖かくなり、身体がぐったりと重くなり、深いリラックスの状態に入る。彼女からは、とても静かだが強いエネルギーの持ち主だと言われた。

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ついでに自分も音を出してみる。よい音が出ているとほめられた。

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彼女がグラストンベリーに来た理由は、もともと住んでいた場所が海で、非常に閉ざされ、孤独な環境だったので、娘さんの精神的健康のことを考えて越してきたというものである。ここにいて不思議な体験をしたことがあるか質問したような気がするが、忘れてしまった。まったくダメダメである。他のヒーラーについてどう思うかという話から、良いヒーラーと悪いヒーラーの見分け方の話になって、それはとても難しいと考え込まれてしまい、話をそらす。これだけヒーラーが集まっていると、あまりにも色々で誰が評判が良いというのもクリアでなくなってしまうのではないかと質問すると、その通りと答えられた。インチキっぽい人はたしかにいるが、それはすぐに分かると言われ、そういう人はここに長くいられないのではないかと質問すると、その通りと答えられた。ヒーラーどうしで、お互いにヒーリングしあうことはあるかという質問には、あると答えられた。

夕食はベジタリアン。湯葉を使った料理がおいしかった。

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知り合いの大学院生が、学会のときとまったく違うキャラなのでびっくりする。とても明るくて、活発なように見える。このフィールドはとにかく面白いので、学会発表や博士論文が良いものになることを、心の底から祈る。
自分で色々と朝食を作ってみる。今日からキッチンを自由に使えることになっている(お金を払って)。この宿はベッド&ブレックファストということになっているが、朝食はもはやセルフ・サービスになってきた。ヨーグルトにフルーツとシリアルを入れ、トーストとゆで卵、ブドウジュースに、コーヒーもどきの大麦ドリンクを飲む。ここできっちり元を取ろうと、しっかり食べた。

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洗濯をしたり、メールをチェックしたりすると、もうお昼である。

街に出かけ、昨日は開いていなかった女神寺院に出かける。実は、この女神寺院を中心に専門的に研究している大学院生がいる。ここでは実名を出すのは控えるが、その人からはグラストンベリーについては色々な情報をもらっていることを断っておく。

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そこにいた人と挨拶程度に女神について色々話をする。寺院と言っても狭い建物の2階である。写真などは撮らなかったが、中にはアヴァロンの女神が中心にいて、さらに季節ごとの女神が円陣を組んで並んでいる。季節といっても4つではなく、さらに細かく分かれている。それをその季節ごとに合わせて、中心となる女神の横に置く。今は春で緑。次は赤になるそうだ。女神は、細い木で組み上げて作られていて、とても原始的な感じがする。キリスト教とは明らかに異質な美的センスだ。オカルト的趣味ともまた違う。ケルト趣味というのが近いだろうか。「どう思う?」と聞かれて、「圧倒されます」、としか答えられなかった。

もともとここは先述の大学院生のフィールドなので、「荒す」ことは避けようと思っている。女神について、研究者としてではなく、一個人として素で会話した。日本の山で男体山と女体山のペアがある例について話したり、観音について話した。それと比較宗教学の見地から、自然と性のシンボリズムについて話した。暗に、女神だけに偏ることへの疑問を含ませた。

そこをあとにしてから、自分はここであと数日で何をできるんだろうかと考える。実は、大学の事務から、一つの出張の交通費には上限があってそれ以上は大学から出せないというメールが来ていたのである。給料は普通に出ていて、出張費も出ているので、最終的に足が出るかどうかは分からない。しかし、ただ外国に滞在して生活しているというだけにならないようにしなければと、気持ちが焦る。同時にいま迫っている発表の準備をすること、さらに日本から持ってきている論文の執筆をこなすこと、さらにアメリカでのスケジュールでまだ未定の部分を詰めること。だんだん、頭が痛くなってくる。

取りあえず、ここで何ができるか。これから先のフィンドホーン、アメリカでのセドナやハワイでの滞在も含めて、総合して何をテーマとして研究するか。初心に戻って考えてみると、外から訪れて来る人の「経験」に焦点を絞るべきだということが見えてきた。ニューエイジにとって「聖地」のような働きをしているセンターに、人々がどのように関わるかである。ある程度、場所の様子がつかめてきたので、残り少ない時間を何とかがんばろうと思う。

出会う人にどんな質問をするか。観光客だけでなく、住んでいるヒーラーやサイキックも対象として、次のような質問ができるだろう。

あなたは、なぜここに来たのか。
あなたにとって、ここはどのような場所か。
ここにいて、何か変わったことを経験したことがあるか。
もともと住んでいた場所との違いはあるか。
ここにいる、同じような傾向の人たちについてどう思うか。
それらの人とのつながりは感じるか。
地元にもともとから住んでいる人たちとの関係はどうか。
観光客についてどのような感想を抱くか。

後半の質問は、観光客的なビジターにはできないだろう。代わりにビジターには、連絡先を教えてもらって、帰ってからの感想をメールで聞きたい。先行研究によれば、観光と巡礼には同様の構造があり、元の生活に戻ってあらためて「聖地」の意味づけがはっきりとしてくる場合があるからだ。しかし、観光は「既知のものを確かめる行為」とも言われるように、あらかじめ期待していた通りのことを体験するという面もある。

そんなことを考えていたら、宿に新しいゲストがやってきた。日本から来たゲストだ。実は、ここグラストンベリーでは日本人は珍しく、それらしいと思って声をかけても中国人であったりすることが多い。だから、同宿は珍しいのである。とても感じのいい話しやすい人で、いつの間にかインタビューができてしまった。疲れているはずなのにありがたい。

グラストンベリーに来るまで、天使ミカエル(マイケル)にまつわる数々の偶然に導かれてきたことなど、興味深いエピソードを話してくれた。トーアでは発見できるといいことがあるらしいエッグ・ストーンを、長時間かけて探し当ててきたらしい。ネットですでに来たことのある人と連絡を取り、その人の経験を参照しながら、それを追体験しているような感じがある。海外旅行経験が豊富で、大学時代にも留学経験がある。聖地に来る人のプロフィールの一つの典型として興味深い。

翻って僕の旅も、色々な縁や偶然に支えられてここまで来ている。この日本人の方との出会いも、かなり確率の低い偶然の一致と言っていいだろう。場所にこだわるのではなく、場所にこだわる人にこだわれ。そういうことを教えられているような気がする。
4月13日
12日の日記を書くのに半日も潰してしまう。これでは何のために来たのかとも思うが、後回しにしたら、これらの記録を残すことはできないだろう。その上、ランカスターでの発表の準備もしなければならない。

日記をセーブしなければと思いつつ、書くのが止まらない日記を部屋で書いていると、宿の管理人からもっと快適な部屋に来ませんか、とヒーリングのための部屋を紹介された。

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見るとピラミッド型のフレームの中にベッドが置かれている。これはメタトロニック・セラピーのための装置だそうである。メタトロニック・セラピーは、水晶などを聖幾何学にもとづいて銅線で組み合わせた装置を握って、ピラミッドの中で横たわり、CDを聞きながら瞑想するということである。

CDは聞かなかったが、横になってみる。眠っているのかどうか分からない半覚醒の状態で明晰夢を見る。そのなかで白人の中高年男性が宿の玄関のところに立っているのが見えた。Yシャツの上にピンクのセーターを着て、金のメダルを手に持って、微笑んでいる。やや太っていて、やや禿げた頭。メガネをしていたかどうかは記憶が曖昧。管理人に聞いて見ると、「interesting」(興味深い)と言われた。英語をしゃべる人が、説明のつかないよく分からないことに対して、信じるも信じないもなく、判断を宙ぶらりんにするときに、よく使う言葉である。もちろん、そんな人は知らない、と言われた。

こういうのは、ただの夢でしかない。しかし、スピリチュアルな人だったら、まったく違った反応を示すであろう。そして、それもグラストンベリーの不思議な力のなせるわざということになるかもしれない。

昼ご飯を食べに、街に出かける。そのついでに、グラストンベリーのニューエイジ・ショップが集まっている「グラストンベリー・エクスペリエンス」に出かける。グラストンベリーのニューエイジについて書かれた研究書で目にはしていたが、おお、ここがそうか、とびっくりする。

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計画的に出かけたのではなく、ご飯を食べようと思っていたら行き当たったのである。各種のニューエイジショップだけでなく、図書室、集会所、グラストンベリー女神寺院もある。女神寺院は開いていなかったが、その下のスター・チャイルドというお店で、すごい女神を発見。子宮にアメジストがつまっている。お持ち帰りは重そうである。

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昼食はここのカフェで、ヴェジタリアン・バーガーを食べる。中身は普通のハンバーガーのように見えるし、食べてもハンバーガーのように見える。名前は忘れたが、肉に似せた肉ではない食材を使っているのだろう。似て非なるものである。しかし、けっこうおいしく食べられる。

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こんな研究をしているのに、僕はある種のニューエイジ・ショップが苦手である。行くと気持ちが悪くなってしまうことがある。すぴま(旧すぴこん)などもダメである。出るとすぐに治る。しっかりと心の準備をして出かけ、慣れると我慢できるようになる。この日は、まったく心の準備が出来ておらず、気分が悪くなってしまったので退散する。実は、ここにつく前にちょっとのぞいた魔女の店ですでにやられてしまっていたのである。

人々を観察していると、子ども連れの家族も多い。かと思うと、ゴス・ファッションに身を包んだカップルも訪れる。キリスト教関係の観光地はお年寄りが交じっているが、こういうところではあまりお年寄りは見かけない。日本では圧倒的に女性が多いが、ここでは男女の偏りは感じない。店員は女性が多いと思う。

帰りにスーパーマーケットで、夕食を買って(サラダとケーキ)、宿に着く。部屋を移動、部屋が離れになっていて、一つの建物で完全に独りきりになる。庭に隣接した牧場に、白と黒の馬がいる。

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完全に静かな環境だ。前にいたところは、宿に住んでいる子どもが音楽をかけていて、はっきり言ってうるさかった。輪廻転生に関する発表の原稿に着手する。