この日の朝は、宿の奥さんに誘われて、テーゼ・シンギング(Taizé Singing)という聖歌を歌う集まりに出かけた。全部で15人くらい。女性がやや多い。男性と女性に別れて座り、さらにパートが分かれる。全部で四声になるようである。しかし、飛び入りも多いので、男性はベース、女性がベテランの人たちで2つに分かれてハモった。歌われる聖歌は、フランス語のものもあればスペイン語のものもあった。キリスト教のものが多いのだろうか。シンプルだが、グレゴリアンとはまた違うのだが、不思議なメロディで、美しい。レコーダーを持参しなかったことを後悔した。

場所は、ネイチャー・サンクチュアリーである。

この集いの主催者が建設を提案したそうである。窓枠が曲がっているが、これはウィスキーの樽の再利用だそうである。椅子も再利用。石は地元の石切り場から。人間と自然の調和を表現しているそうである。室内中央の床にもなっている石は聖地アイオナ島(スコットランド最初のキリスト教会が建てられたと言われていて、フィンドホーンの聖地ともなっている)。テーゼはフランスのテーゼ・コミュニティに由来しているそうである。
そして、メイン・サンクチュアリーに出かけ、朝の瞑想をおこなう。
それからビジターセンターで午前中のワークショップを確認し、シュタイナーのプレイ・グループに参加、のつもりだったが、出かけてみると、子ども用だった。では、ショートタームゲストのためのプログラムとは、これのことではなかったのか。しかし、オフィスはまだ開いていない。どうも午前中は何もできなさそうである。
あとでオフィスに確認し、午後も何かできないか聞いてみた。あるけれど、2時から5時までだという。僕は3時に出なければならない。あきらめた。
どんな内容か聞いてみると、ガーデンかキッチンで働くのだそうである。ヴォランティアでもいいけどどうする?と聞かれたが、午後に1時間だけというのも、ちょっとと思い、引き下がる。いつ来たのかと聞かれ、金曜の夕方でオフィスが閉まっていて、土日もしまっていたので登録ができなかったというと、
「ツアーが始まるときには開いていただろう。今後の教訓のためによく覚えておくんだな。園内を歩き回るといい。写真を撮るのは自由だし。」
と言われた。どちらにしても入念な下調べと準備が不足していたのである。実はメールで問い合わせはしていた。すると、予約は受け付けておらず、直前の登録しか受け付けていないと言われた。しかし、土日と重なって、オフィスが開いていなかった。そして、日時と場所を例の子ども用のワークショップと勘違いしていて、登録できなくてもそこに行けば何とかなるだろうと勘違いしていたのだ。
体験週間以外でショート・ターム・ゲストで訪れる人のための教訓として書き残しておくが、とにかく、土日は避けること。オフィスは早く閉まるので、日中なるべく早く到着して、次の日の作業に登録すること。しかし、ある研究者に、
「行ってもただ単純作業するだけだよ。トイレ掃除とかね。」
と言われたのを思い出す。今回のように、場所を訪れて、人に話を聞くのが中心でもいいのではないかと言い聞かせる。が、コミュニティ側からしたら、その自然と触れ合う単純作業の体験(ラブ・イン・アクション)を通してしか、フィンドホーンを知ることはできないということになるだろう。
フィンドホーンは、行く前には何があるのかさっぱり分からない。隠しているのかと思うくらいである。今回のぼくの訪問は不注意に不注意が重なり、不運も覆いかぶさっていると言えるが、何か見えない力から丁重に遠ざけられているように思うくらいであった。今後、また訪れるかと聞かれたら、半々である。
もっと文献で分かることがあると思うし、フィンドホーンを体験した日本人から話を聞くほうが、僕の研究にとっては有意義だろう。
宿の主人とも話をした。体験週間の内容は、やはり主に作業と瞑想だと言う。エンカウンター・グループのようなものはあるかと聞いたら、そういうのもあるだろう。内容はそのときどきによって変わるから、と言われた。
その宿の主人は、もともと信仰は持っていない。自動的に英国教会に入れられたが、信じていたわけではない。
これまで、日本人のゲストは7~8人いたが、一人を除いて全員女性だという。なぜ女性だけなのだろうと聞くと、分からないと言われる。多分、誰にも分からないだろう、という話になる。イギリス人だと、やはり女性は多いがそこまでの偏りではない。
コミュニティ内で子どもをよく見かけるが、あれはビジターの子どもが多い。スタッフの子どももいることはいる。彼らはフォレスのシュタイナー学校に通っているが、全員ではない。なぜならシュタイナー学校は私立なのでお金がかかるからだ。地元の学校に通っている子どももいる。
そんな話を聞いて、フォレスのバス停まで送ってもらった。
それからインヴァネスへバスで1時間。
インヴァネスからエディンバラへ4時間程度。その間、車窓にカメラを押し当てて、わざとシャッタースピードを遅くして、風景を撮ってみた。幻想的で絵画的な写真が撮れた。









そしてエディンバラからロンドンへ寝台特急。


二人部屋だったが、幸いなことに相方の客は現れなかった。というか、すいているようである。

座ると頭が上のベッドに当たるので、寝るしかなかった。トイレは水が出なかった。
何とか歯を磨いて、一口分のうがい用の水でうがいし、それでも流し足りない分は、ミネラル・ウォーターを「ぐじゅぐじゅごっくん」した。

もはや、新型インフルエンザ予防などといっている環境ではない。
翌日は6時にたたき起こされ、朝食を渡される。ぎりぎりまで寝ていようと思い寝ていると、7時半すぎに、後5分で出て行けと起こされる。しょうがないので、外にでて待合室で朝食を食べる。足りない。
