芝さくらも満開に。札幌市、昨日は30度近い気温でした。
私の本業は事業再生コンサルタントです。端的に言えば、企業の「おカネの問題」をどう解決するか、にこの20年、心血を注いできました。
おカネの問題は会社、経営者(個人事業主も含む)個人の両方で起きます。
法人を経営されている方なら、法人のおカネが詰まる→個人(経営者)のおカネを投入する→個人(経営者)が借りて会社に投入する、というメカニズムで会社、個人(経営者)とも借入が増えていきます。
会社のために借りたお金であっても外形的にはカードの多重債務者と同じ見え方をしてしまいます。ここがツライところです。決して、「遊ぶ金」や「浪費」のために使ったものではないのに…
今日は、経営者、個人事業主、サラリーマン共通の、コロナ禍でも借入を増やさない、カード破たんしないためのポイントを集めました。
【その借入は利息がかかりますか】
まず、目を入れないといけないのは、借りようとしているもの、借りているものの利息です。
クレジットカードのキャッシング枠や消費者ローンは15-18%の利率が普通です。
銀行系のカードローンは借入枠の金額によりますが(枠が大きくなれば利率も低い)2-15%。50万円から100万円の枠だと13-15%でキャッシング枠や消費者ローンと大差ありません。(※実際に返済シュミュレーションをするとこの数%の差で返済額が大きく変わってくるのですが)
【リボ払い】
おカネがない、でもモノは買わないといけない、となればクレジットカードで買い物をして、という時もあるでしょう。支払時におカネがない、ととなれば「とりあえずリボ払いにして今月を乗り切る」、というアイディアがよぎりますがこのリボ払いにもキャッシングなどと同等の利息がかかります。つまり、ATMで消費者ローンカードでおカネを借り、それで米を買う、というのと何ら変わないのです。心理的な抵抗が少ないのでついついやってしまいがちですが…。
【年利18%を実感しよう】
キャッシングでも買い物のリボ払いでも良いのですが年利18%を払うというのはどれくらいの負担になるでしょうか。
100万円の18%だと年18万円。月15,000円の利息です。これが軽いか重いかというと…月2万円ずつ返済すると、最初の月は利息で15,000円とられ、残った5,000円が元金返済に充てられます。そのことで元金が少しだけ減り、発生する利息が減るので次の月には元金返済が少し増えて…という繰り返しになります。計算してみると100万円を返しきるのに94か月かかり、払う金額の合計は188万円。元金は100万円ですから差引88万円が利息、ということになります。月15,000円、というところとムリなく、合計2万円の返済でイケる、というところで判断がごまかされてしまうのです。ちなみに同条件で年利15%とすると完済まで79か月。支払利息は58万円となります。同じ年18%でも返済額を22,000円にすると完済まで77か月、支払利息54万円、と少しの差が大きな差を呼ぶのです。利息で50万とか80万とか書きましたが、値上がりして高くなったiPhone11の最上位機種でも18万円程度。大抵の家電が買えますしキッチンやトイレのリフォームもできそうです。
同様に元金が200万円だと月の利息は30,000円。月3万円の元利返済とするといつまでたっても利払いのみで元金が減りません。4万円払うと完済まで94か月、8年以上の時間がかかります。返済額総額は376万円。元金200万円ですから支払う利息は176万円。車が買えます。
【越えてはいけない金額とおカネの逆流】
収入によって月に返せる金額と月の支払利息が同じになってしまったり利息の方が多くなると借入は減らず、増える一方となります。しかも、買い物するわけでも新たな借入をするわけでもないのに…。上の例で言うと、100万円の元金のケースで月1万円しか返せないとなると利息のうち払いきれない金額が元金に上乗せされ、発生する利息が増え…というまずいサイクルに入り込みます。これはその人が月いくら返せるか、月に発生する利息がいくらか、のバランスの問題ですから人それぞれに金額は違ってきます。
おそろしいことに利息が増え元金が増え始めてもしばらくはおカネは回るのです。別の会社のカードを作り枠を増やすことでそれが可能になります。
その状況で会社や個人事業の立て直しをしていくのは一段と難しくなります。
別のカードも作れなくなると(消費者ローンについては総量規制あり)今度はカードの利息も払えなくなり、何とか払い続けようとすると苦しいはずの法人からおカネを抜かなければならなくなります。経営者→会社に流れていたおカネが逆流し始めるのです。
その状況にはまり込まないこと、はまっているとすれば早く脱却すること(後述)が重要になってきます。
【借りてはいけないおカネ】
年利18%でもこの計算となります。それ以上の金利のおカネ、給与ファクタリングや闇金でおカネを借りると返済するのは非常に難しくなります。(※給与ファクタリングとは、「給与を担保に給料日までおカネを融通します」というもので20万円の手取に対し、16万円などの金額で現金化してくれます。一見、親切な制度のように見えますが、元金20万円で利息が4万円、例えば期間2週間とすると年利換算で500%以上の金利になります)
【コロナ対策として】
おカネが不足した時、どのように組み立てを考えれば良いでしょうか。
1.公的な給付 今回打ち出しのあった、「持続化給付金
」など利用できるものを利用する。個人がもらえる「特別定額給付金」も同様です。もし、すでに金利のかかる借入が100万円あり、持続化給付金が100万円でたとします。とるべき行動は、「100万円はとりあえず返済。資金が足りない分を必要な分だけ再度借りていく」となります。これで支払う利息の額を多少なりとも抑えらえるはずです。100万円を一旦返済、月10万円ずつ借り増しして100万円を再度借りる、という条件で比べると完済までに支払う利息の額は10万円以上少なくなります。100万円を銀行に置いても利息はつきませんがこのようなやり方で出ていくおカネを抑えることができます。
2.公的な貸付 個人レベルで利用できるのが、公的な貸付である、「緊急小口資金/総合支援資金
」です。最大80万円借りることができます。返済まで据置期間を設けることができること、利息がかからないことが特徴です。これも受給できればとりあえず利息のかかるおカネを返す、または、カード借入を検討しているのなら、それをやめてこちらを使う、という形になります。
3.家賃補助 賃貸住宅に住んでいる方で収入が減った場合には、家賃の補助が受けられます。「住居確保給付金
」。
4.利息の安い借入の利用 「年金担保融資」(日本政策金融公庫取扱、年1.66%、年金受取口座のある金融機関取扱、2.8%)、「生命保険の契約者借入」 (保険会社による。3-7%程度。契約者借入ができない契約もあり)を使う。
5.金融機関借入 活用例 このブログでも紹介した、「コロナ対策特別貸付」(日本政策金融公庫)、「セーフティネット保証」「国準拠、道特別」などを利用し、法人が借入→経営者に資金を返済→経営者が借りている利息のかかる資金の返済へ。個人事業主でも事業規模に応じた金融機関借入が可能なので、金融機関借入をし、カード類の借入を整理することを検討。ただし、借入目的をそのまま「カード借入の整理」にしてしまうと「借換目的だと融資できません」という扱いになるので注意。
これらの項目について一通り記事を書いていますので受給方法などご参照ください。
【見通しを立てる】
コロナによる減収がいつまで続くか。足りない分をどうつなぐか、という対処は千差万別となります。
個人事業主で、3か月先にまとまった入金がある、という状況でしたら、今手持のキャッシング枠でとりあえずつなぎ、3か月後にキャッシングを返す、という組立もアリ、だと思います。
コロナ禍の中、「見通しを立てる」のはなかなか難しいのですが…
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