ビリー・コステロvs赤井英和 2500万円は還らず! | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

元WBC世界Sライト級王者ビリー・コステロ(米)氏が、29日ニューヨーク州キングストンの病院で肺ガンの為死去。享年は55歳。ヘナロ・エルナンデス氏に続く、元王者の若すぎる死。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


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コステロは1984年1月、テキサス州バーモントで時のWBC世界Sライト級王者ブルース・カリー(米)に挑戦。10回TKOで一方的にカリーを降し、世界タイトル獲得。


初防衛戦で1位ロニー・シールズ(米)とダウン応酬の末、大差の判定勝ち。王者の報酬は14万ドル(3500万円)。その後、代打挑戦者ソウル・マンビー(米)に楽勝でV2。85年2月16日には1位リロイ・ヘーリー(米)を文句なしの判定で降し3度目の防衛に成功


ドン・キング傘下の選手相手に防衛記録を伸ばしたコステロ。ヘーリー戦での報酬は16万5千ドル(4125万円)と、悪名高いキングだが、ファイトマネーはそれなりに支払っている。


次に挑戦の名乗りを上げていたのは、人気絶頂の”浪速のロッキー”赤井英和(グリーンツダ)選手。83年7月カリー挑戦に敗れた後、エディ・タウンゼント氏とコンビを組み、世界再挑戦を企てていた。


キングに渡りをつけた津田会長は、赤井挑戦の内諾を得る。その条件としてアドバンス(前払い金)10万ドル(2500万円)をキングに渡していた。



2月5日、赤井選手は世界前哨戦として大和田政春(角海老宝石)選手と対戦。しかし、この試合でまさかの敗北を喫すると共に、リング生活を断念せざるを得ないダメージを被り引退へと追い込まれてしまう。


赤井選手の世界戦はなくなった。津田会長はアドバンスを取り返すべく、タウンゼント氏と共に渡米する。しかし、海千山千のキングは返還に応じようとしない。あきらめるしかなかった。


「約束を果たせなかったのはお前らのほうだろう」


帰国後タウンゼント氏は、「会長、僕、選手と一緒でいいよ」と、ジム階上の合宿所での生活を申し出た。赤井選手に憧れ、中学生で入門してきたプロ志望の井岡少年。その動きは早くから津田会長の目に留まり、タウンゼント氏に世界王者に育ててほしいと頼み込む。


しかし、プロデビューを果たすのは、まだ1年も先のことだ。しかし、運命とはわからないものである。


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「10万ドルを失ったのは気の毒だ。誰か他に選手がいたらチャンスをあげよう」


この時のWBCスライマン会長の言葉が活きる時が来る。


プロデビュー1年半で日本ミニマム級王者となっていた井岡選手は、87年10月WBCが新設したミニマム級の世界王座決定戦出場資格を得る。そして、マイ・トンブリファーム(タイ)を文句なしの判定に破り、井岡選手は世界王座獲得。赤井選手の引退式に花を添えた。




赤井選手に賭けた2500万円という現金は無くなってしなったが、赤井選手に憧れ入門してきた井岡選手にチャンスは引き継がれ、井岡選手はその期待に見事応えた。なんとも因果な物語である。


そして、来日が幻となってしまったコステロは、8月、地元ニューヨーク・マジソン・マジソン・スクエア・ガーデンのリングに上がる。

「マジソンのリングに上がるのが夢だった」

チャンピオンの報酬は、当初40万ドル(1億円)が約束されていたが、プロモーター側の不備で結局30万ドル(7500万円)に落ち着く。これは凄い金額だ。挑戦者は無敗とはいえ、全く無名の9位ロニー・スミス(米・23才)=21勝(10KO)1分=。コロラド州デンバーの出身。トレーナーにはモハメド・アリのタイトルに挑戦者した事もある、元殺人犯ロン・ライル。

幼い頃からの夢の実現。この試合に勝てば、アルゲリョ、カマチョらの人気者との対戦が持ち上がっていた。そして、それは楽な仕事で終わるはずであった。コステロはまだ誰にも負けたことがないのだ。


計量で挑戦者はオーバーウェイト。スミスは猶予された2時間で正規のウェイトが作れなかった。困惑した関係者は協議の末、さらに40分の延長を認め、ようやくスミスはSライト級リミットを作ることが出来た。


チャンピオン楽勝。こんなケースでは誰もがそう思って当たり前。事実コステロは初回から挑戦者をキャンバスへ転がせた。だが、倒しに行ったコステロは、第2ラウンド逆に2度のダウンを喫してしまう。そして5回にも、また倒れた。



それでも地元判定が功を奏してか、7回が終わって65-64、66-64、63-67と2者がチャンピオンリード。そして迎えた第8ラウンド。コステロは、スミスの強烈な右アッパーを喰らいまたもやダウン。王者のダメージは深刻で、最後は前のめりに倒れ試合はストップ。


キングはなりふり構わずWBC世界Sライト級タイトル戦を自分の手中に収めようと画策する。1位にKO負けのコステロをランクさせることに成功。減量失敗の新王者スミスをめぐるビジネス合戦は熾烈を極める。


次のランキングはまた変動。不敗の5位ソウル・フリオ(コロンビア)を4回KOで破ったレネ・アルレドンド(メキシコ)が1位に躍進。その隙を突き、浜田剛史(帝拳)選手のスミス挑戦が具体化され発表寸前まで進んでいる。


コステロはアルゲリョとの対戦を決め、王座奪回は後回し。レネvsスミスの指名戦は延期に継ぐ延期。結果的にレネvsスミス戦の勝者が浜田選手の挑戦を受けること決まり、世界のベルトはレネ、そして浜田選手と移り行く。


コステロはアルゲリョには全く歯が立たず4回TKO負け。そして引退。6年の時間を置いてカムバック。連勝を続けたが、2度と世界戦のリングに立つことはなかった。

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