昨夜のTBSバラエティーニュース・キミハブレイク
で、元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎vsサーカイ・ジョッキージム(タイ)戦が放映された。しかし、辰吉選手の動きは目を覆うばかり。正直、ファーストラウンドでストップされてもおかしくない試合内容。
辰吉選手のボクシングに賭ける情熱、その毎日を追うカメラには大変感動させられた。だが、試合でパンチをもらう姿からは危険という言葉しか見つからない。パンチに対する反応がまるでない。
91年プロ8戦目で世界王座を掌中に納めた男は、激戦を演じ続けた。97年シリモンコン・シンワンチャー(タイ)に
得意の左ボディを炸裂させ奇跡の王座奪還劇。日本中が狂喜した。ウィラポン挑戦王座奪還の夢かなわなかった時は、大勢のファンが泣いた。
70年代世界王座2度の奇跡の返り咲きを果たした輪島功一(三迫)選手は、3度目の王座奪還を狙い、77年(昭和52年)6月7日WBA世界Sウェルター級王者エディ・ガソ(ニカラグア)に挑戦した。
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2ヶ月前、同じように世界王座返り咲きを目指したガッツ石松(ヨネクラ)選手は、王者センサク・ムアンスリン(タイ)のボディブローに悶絶。その姿は世間の集中砲火を浴びたばかり。
「あんな試合はしない」
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日本武道館。恐ろしく気合の入った表情で登場した輪島選手。今日もやってくれるぞ。ガソの評判は世界チャンピオンとしては恐ろしく悪い。十分に勝算はある。2階席から固唾を呑んで試合開始のゴングを待った。
だが、試合が始まった瞬間、驚いた。輪島選手の動きがおかしい。まるで動けないというか、体に切れがない。恐ろしくスピードのない緩慢な姿。作戦か?いや、違う。繰り出されるパンチまでもが弱々しい。さしたるパンチをもらったわけでもないのに、序盤から足がふらつく輪島選手。
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試合は一向に盛り上がらない。7回終了時、リングサイドで観客同士の喧嘩が始まった。試合そっちのけで、盛り上がる客席ファイト。闘将輪島選手も34歳。25歳でデビューという、当時のボクサーとしては遅いスタートであったが、すでにキャリア9年。調子がいいとか悪いとか言う以前の衰えが忍び寄っていた。
3万円のリングサイド席からは、帰る人も出だした。まるで夢遊病者の輪島選手は何も出来ない。何かを期待できる動きではないのだ。しかし、王者ガソももたついた。
ついに、10回終了時に放たれた王者のパンチで輪島選手ダウン。カウントをためらうレフェリーの隙をついて、三迫会長がぼろ雑巾のような輪島選手をコーナーに連れ帰る。
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しかし、もう試合が出来る状態ではない。11回、ただ立っているだけが精一杯に見える輪島選手。襲い掛かるチャンピオン。ついにバッタリとリングに落ちた炎の男。しかし、立ち上がる。レフェリーは止める気配を見せない。
ここで元ボクサーの吉田コミッションドクターが試合ストップを要請。時を同じくして青コーナーの三迫会長からはタオルが投げ込まれていた。最後の炎は燃え尽きた。燃えカスも残らない最後。輪島選手は現実を潔く認め引退した。
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サーカイ戦の辰吉選手の動きは、コンディション以前のものであると思う。JBC、WBCが提案する辰吉選手はリングに上がるべきでないという事は、ハッキリ認識させられた。
辰吉選手の頭からは試合の記憶が飛んでいた。
「何回で負けたん。KOされた?」
痛烈なパンチをもらうと記憶が飛ぶケースは間々ある。覚えていないのだから自覚がない。したがって、「もう一度」という考えにつながってしまう。しかし、これは危険だ。
陣営の投じたタオルの意味は、先につなげる為に救うといった性質のものではない。まさに我慢に我慢を重ねた挙句に救い出だしたという感じ。
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いくら頑張っても頭部にパンチをもらえば、脳へのダメージは免れない。計り知れない努力で、命がけでリングに上がるコンディションを整えてきた事には頭が下がる思いです。だが、戦いの場はファイターから違うポジションに変えるべき。
『精神が肉体を超えて行く』
輪島選手最後のリングパンフレットに、著名登山家のこの言葉が引用されていた。しかし、脳へのダメージだけは越えられない。
辰吉丈一郎。好きなボクサーです。偉大な選手であります。ファンはみんな知っている。新しい道を見つけ出してほしいと願います。
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