内藤vs山口・”国民の期待”・石松vs柴田 | BOXING MASTER first 2006-2023

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

ようやく発表されたWBC世界フライ級王者内藤大助(宮田)選手4度目の防衛戦。12月23日、王座へ挑むのは山口真吾(渡嘉敷)選手。今年3月29日、WBA王者坂田健史(協栄)選手へ挑んだのに続く三度目の世界挑戦。

3人目の日本人挑戦者を迎える内藤陣営には、厳しい批判もあるようです。”国民の期待”に応えて来た内藤選手だけに、これはつらい。

内藤、山口と防衛戦…4度目 WBCフライ級(毎日新聞)

さて、タナボタ式にチャンスが廻って来た挑戦者であるが、こちらは背水の陣。坂田選手に敗れた直後、渡嘉敷会長は1年以内に再びチャンスを作る事を山口選手に約束。山口選手はすぐに再起、11月24日に予定されていた試合では、世界上位ランカーを招聘する考えがあったのは確か。強気が運を呼び込んだ。

山口「ラストの気持ち」内藤戦へ全力宣言(日刊スポーツ)

山口選手が挑戦者に選ばれた事は幸運だ。私の周りには、「吉田拳時(笹崎)選手と戦うよりもいいのでは」という見方もある。過去のスパーでは、内藤選手に見劣りしなかったという挑戦者。渡嘉敷会長と、内藤選手を指導する野木丈司トレーナーは、協栄ジムで同時期に汗を流した間柄だ。内藤vs山口戦は、国民の期待に応えられるのか。


ノーマークから世界挑戦権を勝ち取った渡嘉敷勝男選手。

世界挑戦のチャンスを掴む運は大変だ。具志堅用高(協栄)選手王座陥落後、金平正紀会長がタイトル奪回の一番手に選んだのは9戦無敗の多田浩幸選手。しかし、実績作りの日本王座挑戦に失敗。3週間後のOPBF王座挑戦にも敗れ、多田選手は脱落。最後に金平会長が選んだのが、渡嘉敷勝男選手。正直、それ程期待はしていなかったと聞く。

1973年10月17日、ハワイ・ホノルルでWBA世界Sフェザー級王座2度目の防衛戦を行った柴田国明(ヨネクラ)選手は、前王者ベン・ビラフロア(比)に痛烈な初回KO負けを喫し、タイトルを手離した。


左一発。僅か116秒で王座を手離した柴田国明選手。

4ヵ月後、柴田選手の再起戦はWBC世界Sフェザー級王座への挑戦だった。再起、即世界戦。しかも、初回KOで敗れたばかり。2階級王者はそれでも期待された。王者リカルド・アルレドンド(メキシコ)は、72年11月29日のノンタイトル戦で上原康恒(協栄)選手に判定負け。

だが、最初にアルレドンドとの対戦が決定と報じられたのは門田新一(三迫)選手。11月20日、日大講堂。郡司信夫氏は、「門田に期待」と予想されている。


大差判定勝ち。3度目の王座に就いた柴田国明選手。

アルレドンド挑戦は、上原選手が柴田選手に譲った形。金平=米倉会談では、勝者に上原選手が挑戦という事で話がついていたと言うが、それは実現しなかった。

同時期、門田選手にはWBC世界ライト級王者ロドルフォ・ゴンザレス(メキシコ)への挑戦話があり、アルレドンドは上原選手と戦う事になった。ゴンザレスのマネジャー、ジャッキー・マッコイと親しい、ハワイのサム・イチノセ氏からの話であったが、決定直前、挑戦者は変わる。


予定通り?10回でKO負けの鈴木石松選手。

1973年9月8日、パナマでWBA世界ライト級王者ロベルト・デュランへ挑戦。元気なく10回TKO負けしたばかりの鈴木石松(ヨネクラ)選手が、再び世界へ挑む事になった。こちらも再起、即世界挑戦。試合は1月17日、こちらも期間僅か4ヶ月である。

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しかし、試合9日前になって延期。その理由は、ゴンザレスが毒クモに刺されたという事であったが、実際は「目方落ちなかったのね」(スタンレー・イトウ先生)ゴンザレスは、天狗になっていたのだという。良いオプションの消化先として、日本が選ばれたようです。

2月、一試合はさむ事が出来た鈴木選手。「ミミズだって、体半分ちぎれても、コンチクショーって暴れるでしょ」(エディ・タウンゼント・トレーナー)「もっとガッツがあるところ見せてよ」という事で、”ガッツ・石松”が誕生した。


ガッツ石松、ゴンザレスをKO。

米倉会長が用意した世界戦発表パーティーの席に顔を見せたマスコミは僅かに5人。国民が期待していない世界挑戦であった事は間違いない。しかし、石松選手は目の覚めるようなKOで王座を奪取。「世界チャンピオンになったら、元の鈴木石松に戻す」は試合前の談話だったが、いまやガッツ石松は、国民のヒーローである。

思わぬタナボタから世界チャンピオンへ。勝負は何があるかわからない。いや、ずっと前からもう勝負は始まっている。運命の流れに、乗れるか山口選手。渡嘉敷会長の気合、上手く利用して、ボクシング人生の総決算、見せてほしいと思います。国民の期待には、好試合で応える他、ありませんね。

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