
WBA世界フェザー級タイトルマッチの前座には、加治木了太(協栄)選手が出場する。大晦日、指名挑戦者デンカオセーンとのV5戦を控えるWBA世界フライ級チャンピオン坂田健史(協栄)選手の練習を3時半スタートで終わらせ、ホールに向う。
日本ミニマム級王者黒木健孝(ヤマグチ土浦)選手とのスパーはこの日でラスト。連日、力のこもった良いスパーを展開した両選手。黒木選手のお陰でいい貯金が出来たチャンピオン。大晦日の試合に勝利する事、その為に毎日の練習メニューは組まれている。風邪や、少々のケガ等のアクシデントも考慮して。”1日休んだら、取り戻すのに3日掛かる”といわれるボクシング。
「勝ったらまた来いよ」(~~)
「ハイ!必ずまた来ます」
黒木選手も世界への挑戦権を賭けた大一番が待っている。
「今日は勝ってほしいですねェ」
「いや~、うちはもうやれるだけで・・・」(~~)
角海老宝石ボクシングジムの総帥・鈴木正雄氏も、やはり緊張の色は隠せない。世界王座を賭けた無敗対決。榎選手は10年の歳月を掛けてここまでやって来た。
「オ~ちゃんも、色々と大変だねェ~」(~~)

ハワイでの柴田vsビラフロア戦。柴田選手の左が鈴木氏。
「ボクシングの事は金さん」先代金平正紀会長とは盟友の鈴木オーナー。古くはコミッション役員を務めておられた。海外の世界戦は欠かさず応援に駆けつけるリングサイドの顔であった。鈴木氏の前では、大竹マネジャーもオ~ちゃん。「いくつになったのよ~」「古くなったねェ」(~~)

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世界戦の控え室は重い空気が立ち込める。二室を繋げた青コーナー控え室にも、世界戦独特の雰囲気が。加治木選手は2試合目。前日計量でウェートオーバー、この日はグローブハンデを背負っての試合。なんとも複雑である。
8回戦。際どい判定で勝利した加治木選手。試合後、赤コーナーに歩み深々と頭を下げた。勝ちはしたが、「最低です」涙が頬を伝う。
「加治木、萩原(先生)がどんな気持ちでこの二日間過ごしたか、よく考えろよ。お前より、つらかったんだぞ」
榎選手がバンテージを巻き始めている。木内先生も大変緊張気味。榎選手の表情も固い。

「木内先生、勝ってエディ賞もらってほしいなァ。榎君のミット10年持って来たんだろ」
激しくぶつかり合った事もあるという師弟コンビだが、決戦を前に何人も入り込めぬ二人の空間。今更誰も掛ける言葉等出て来ない。師弟の絆は強い。

国家を聞く。木内先生も感無量だ。(Sumio Yamada)
控え室前の長椅子には、クリス・ジョン取り巻き軍団が多数。陽気だ。小さな子供までいる。
手を洗う為に4Fトイレへ。チャンピオンが一人、用を足していた。目と目が合う。覚えているか、初防衛戦佐藤の時、バンテージチェックに行ったのは私だよ。英単語を並べたてた。ニコッと笑ったジョンは、手を差し出して来た。

クリス・ジョン。(Sumio Yamada)
あわてて手を拭く私。握手。相変わらずいいヤツだクリス・ジョン。その手はか細く、しなやか。が、待てよ。アイツ手を洗っていないぞ。手を洗い出したのは握手してから後の事。マッ、いいか。(~~)
榎選手が10年間追い続けた夢はかなわなかった。初の敗戦。今はゆっくり休むとしながらも、再起のニュアンスを漂わせている。夢へのチャレンジは再びスタートする事だろう。師弟にまたのチャンスがやってくる事を願います。
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