協栄ジム・大竹マネジャーはピンチヒッターの話を良く受ける。選手には、常に試合に出場する為の練習をさせている。
「何の為に練習やってるの。チャンス来たらやらないと」
「1年したら、一つ齢、取っちゃうんだよ。相手の事、考えてばっかりいたら、その内おじいちゃんになっちゃうぞ」(~~)
佐藤洋太(協栄)選手。これまで13勝(6KO)2敗。デビューは04年2月、24才。長身171センチから放つ右ストレートは速く、強烈だ。ゆえに、なかなか日本ランカーと相間見えるチャンスは巡って来なかった。
「ピンチヒッターで必ずチャンス来るから、いつでもやれる用意しておけよ」
その予言は見事に当たる。昨夜の後楽園ホール。草加有沢ジム主催のセミファイナル8回戦。日本Sフライ級9位原口清一(草加有沢)選手との対戦話は突然やって来た。キャリア8年目の25才。15勝(7KO)5敗2分
即座にOK。ピンチヒッターと言う事で、条件もすこぶるいい。
「ランカーとやれるんだから、しっかりやれよ」

ガッツ石松(ヨネクラ)選手は、ピンチヒッターで一度ストップされている門田新一(三迫)選手から東洋王座を奪う。世界王者への道を切り開いた大きな一勝となった。
後楽園ホール。大手ジムの会長さんが言う。
「いや~、良く佐藤君選んだねェ。俺はやめとけって言ったんだけどなァ」(~~)
「そんなにたいした事ないですよ。自信持ってるんじゃないですか」(~~)
日本ランカーの誇りと自信を持ってリング登場の原口選手。佐藤選手も気合十分。ワン・チャンスに賭ける意気込みは熱い。集中している。
「スピードだよ。スピード!」
試合開始からジャブ、ワン・ツーがいい佐藤選手。右アッパーも好打した。原口選手は距離を詰めに掛かる。そして2回。ロープ際に追った佐藤選手の右アッパーが、やや前かがみになった原口選手の右目にヒット。一瞬、驚愕の表情を見せた原口選手に襲い掛かる佐藤選手。
ダウンはパンチが効いたというよりも、アクシデントによる痛み。レフェリーも原口選手の異常を即座に見て取り、試合はストップ。佐藤選手のKO勝ち。赤コーナーにはリングドクターが上がった。
「良かった、良かった」
原口選手には不運だったが、これはルール内のアクシデントで仕方ない。ケガを直しての再起に期待したい。
「いつも勉強させて貰ってますよ。これからもボクシング界の為に、お願いしますよ」
前中日本協会長でもある 緑 ジム松尾会長が、大竹マネジャーに声を掛ける。この日、小出大貴選手を後楽園ホールのリングに上げた松尾会長は、強気のマッチメークで鳴る。10勝(4KO)1敗2分の小出選手を、10勝(8KO)2敗の岩渕真也(草加有沢)選手と対戦させた。
白熱の打撃戦は小出選手が2-0判定勝ち。隠れた好カードはいい試合でした。アウェイで勝った小出選手は大きな自信を得た事だろう。簡単な試合ではなかった。敗れた岩渕選手も、7回の猛ラッシュは明日に繋がる好ファイト。
元世界フライ級王者大場政夫(帝拳)選手初の敗戦は、4回戦時代に大阪遠征で谷 正和選手に喫したもの。経験を積ませる為の一人旅。1ポイント差が二人の判定負けでしたが、一月半後には早くも再起し西川 忠 選手に1ラウンドKO勝ちで、そのうっぷんを晴らしている。谷選手は、その後間もなくリングを去っている。

1971年6月。世界チャンピオンとして米国遠征した大場選手は、ダウンを跳ね返す凄まじいファイトでKO勝ちを収めた。
シャイアン山本(国際)選手も4回戦時代、大阪遠征経験していますね。
「そうだよ、行ったよ~大阪」(~~)
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大竹マネジャーも、昔から地方遠征に選手をよく出します。4回戦のピンチヒッター遠征もありました。
「色んな経験しないとダメだよ。無駄にならないんだから」
チャンスは巡り、巡ってやって来る。いつでも準備しておく事は大事ですね。
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