野口ジムの創設者、野口 進 会長。デビュー戦がなんと１２回戦の外人相手。ボクシングは素人同然ながら、持ち前の負けん気で食い下がり引き分けに持ち込む。そのファイトぶりはライオンの異名をとった。
【野口ボクシングジム】
弟子の三迫仁志選手に夢を託し、世界タイトル挑戦を目指したが、かなわず三迫選手は世界戦のリングに立つことなく引退。１９５８年の事であった。
写真下段中央三迫選手。左が野口 進 会長。金平正紀選手の顔も見える。
６１年、野口会長ご逝去。その翌年、進会長の次男 恭 選手に世界タイトル挑戦のチャンスが巡って来た。５月３０日世界フライ級王者ポーン・キングピッチ（タイ）への挑戦は１５回判定で無念の涙を呑む。
引退後独立し三迫ジムを構えた三迫仁志会長は、世界タイトルへの執念を見せる。しかし、昭和３９年Ｓライト級高橋美徳選手、昭和４３年バンタム級桜井孝雄選手はいずれも世界のベルトに手が届かず引退。
「桜井が負けたんじゃない。俺が負けたんだ」
ダウンを奪うも惜敗したライオネル・ローズ（豪）戦後のコメントである。
野口一門の悲願達成は、全く意外な男が実現させる。昭和４６年１０月３１日カルメロ・ボッシ（伊）の持つ世界Ｓウェルター級王座に挑んだ輪島功一選手である。２５才でデビューした飯場暮らしの異色チャンピオン。
世界王座を獲得するも、「あれはまぐれ」、「ボクシングじゃない」、「とても長くは持たないだろう」と評価は散々であった。
タイトル獲得第１戦は人気者カシアス内藤（船橋）選手とのノンタイトル戦。ダウン応酬の好ファイトは７回ＫＯで世界王者が貫禄を見せた。昭和４７年５月、メニコ・チべりア（伊）相手の初防衛戦を、わずか１０９秒で成功させた輪島選手。
ここでにわかに挑戦者候補として浮上してきたのが、本家二代目を継いだ野口 恭 会長擁する 龍 反町選手。反町選手は野口会長が心血注いで育てた直弟子であった。
輪島選手がデビューした頃には、もうメインを張っていた反町選手。世界王者が新人王を獲得する頃には、日本ウェルター級の王座に君臨していた反町選手。
人材の少ない重量級。同門という事もあり、二人はスパーリングを重ねた。輪島選手は年下の先輩を立てる。反町選手は、年上の後輩をかわいがるといった具合。
初防衛成功のお祝いにやって来た反町選手。仲の良さが見て取れますね。(~~)
「先輩、お願いします！」
野口会長は反町挑戦を三迫会長に訴える。
輪島選手が３度目の防衛に成功するにおよび、ついに同門対決は実現する事になる。試合は昭和４８年４月２０日大阪府立体育館に決定。
「一門の選手同士で世界戦が出来るなんて、先生（進会長）が生きておられれば、最高に喜んだろうに」
「三迫先輩にチャンスを与えられて感謝しています」
学生服姿が野口 恭 選手。
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日本人同士３度目の世界戦を前に両会長は感慨無量の面持ち。
そのかたわらで世界初挑戦となる挑戦者は大人の貫禄。
「今なら二人で一杯やってもいいけど・・・」(~~)
大きな注目を集めた友情対決。ゴングのときが迫る。 － 続 く －
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