短所を長所に変える方法
7月4日(月)
こんにちは。田村真二です。
今日お伝えするのは「短所を長所に変える方法」という話です。
どんな人にも企業にも短所もあれば、長所もあります。
面白いのは、短所と思い込んでいたことでもコピーや売り方を変えることで、長所に変えることができるということです。これに関する次のストーリーをお聞きください。
不格好なのは見た目だけです
広告代理店のドイル・デイン・バーンバック社(以下DDB社)は、第二次世界大戦後にアメリカの自動車市場に小型ドイツ車を売り込むという難題に直面しました。
当時のアメリカ市場は大型の国産車ばかりが幅を利かせており、小型ドイツ車を売り込むという目標の達成は不可能に思えました。
しかしそれからわずかのうちに、笑いの種にされるほどぱっとしない存在だったフォルクスワーゲン・ビートルは大人気になり、ステータスシンボルへと変貌を遂げたのです。
なぜ、そんなことが実現したのか?
このビートルの成功は、広告史に残る優れたキャンペーンを計画したDDB社に負うところが大きかったといえます。
DDB社は、ビートルの販売宣伝に、価格や燃費の良さといったビートルの長所を強調せずに、その短所を強調したのです。
なぜ、そのようなことをしたのでしょうか?
フォルクスワーゲンには、その時代の典型的なアメリカ車のような見た目の良さは全くないという短所に、あえて焦点を当てることでキャンペーンを成功させる戦略をとりました。
広告の見出しには、「不格好なのは見た目だけです」「ずっと不格好なままでいい」といった類のコピーが用いられました。
こうした変わった見出しはほかになく、注目を集めることができたので好感度が上がったのだ、と理由づけるのは簡単です。
しかし、注目を集めるだけは車が売れた理由にはなりません。
アメリカでビートルが売れた本当の理由
実は、商品の小さな欠点にあえて触れることで、その企業は誠実で信頼できるというイメージが生まれるのです。
それによって、商品の真の長所、ビートルでいえば燃費の良さや手頃な価格といった点を売り込む際の説得力が一段と増します。
DDB社の狙いは、まさにその点にあったのです。
この手法の成功例は、他にもあります。
レンタカー世界第二位(当時)の会社エイビスの有名なキャッチフレーズは、「エイビスはナンバーツーです。だから頑張っています」。
このキャッチフレーズは、(ナンバーワンではない)エイビスが「ナンバーワンを目指して頑張っています」という点において消費者からの共感を得ることに成功しました。
この方法は、ほかにもいろいろ応用が利きます。
例えば、交渉の場において、自分の側に少しだけ弱い部分があるとしたら、それが後で見つかるよりは先に自分から触れておくほうが、交渉相手から信頼を勝ち取ることができます。
小さな会社が大手企業に勝つ方法
また、個人経営の店が大手チェーン店に対抗する場合などにも有効です(以下参照)。
「●●スポーツクラブは大手チェーンのクラブではありません。大企業でもありません。だから会員様お一人おひとりを精一杯サポートさせていただきます」
「当店ではクレジットカードでのお支払いはできません。高額な手数料がかかるからです。ですがその分、お安くお求めいただけます」
このように、短所に思えることでもコピーや売り方を変えることで長所に変えることができるようになります。
ただし、この方法を効果的に使えるのは、短所が小さい場合だけですので注意してください。また、短所には必ずそれに関連した長所を組み合わせて示す必要があります。
この点に注意して短所を長所に変えることができれば、広告やセールスの場などで威力を発揮することができるようになるでしょう。ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
なお、本日のストーリーは『影響力の武器実践編』(誠信書房)から引用しました。
それでは次号をお楽しみに!

