会費を値上げしても救えない総合スポーツク ラブの現実
こんにちは。
ウェルネスビズの田村真二です。
コロナ禍以降、日本のフィットネス市場は24時間ジム、ピラティススタジオなどの専門スタジオが勢いよく成長を続けている一方で、多くの総合スポーツクラブは苦戦しています。
✓会員数がコロナ前に戻らない。
✓人件費や光熱費、修繕費は上がり続ける・・・
結果として、低収益あるいは赤字に陥る施設も珍しくありません。
ヤフーニュースにも取り上げられましたが、今月も1社突然死(倒産)した企業があります。
その対策として、会費値上げに踏み切る企業も増えています。
もちろん値上げ自体が悪いわけではありません。むしろ適正な価格改定は必要です。
しかし、ここで冷静に考えるべきことがあります。
値上げだけで、本当に業績は改善するのでしょうか?
総合スポーツクラブの最大の問題は、大きすぎる固定費構造そのものです。
・広い施設
・プール
・ジム
・スタジオ
・浴室
・サウナ
・多数のスタッフ
etc
これらは総合クラブの魅力である一方、“高コスト経営の象徴”でもあります。
そのため会員数が減れば、その重たい固定費が一気に経営を圧迫します。
つまり、「少なくなった会員を値上げで維持する」戦略だけでは限界があるのです。
ここで私があえて提案したいのが、“大胆な業態転換”です。
そのうちの1つは、HV/LP(High Volume / Low Price)業態への転換です。
例えば、会員数世界No.1のPlanet Fitness(米国)は、その代表例です。圧倒的に低価格と初心者でも入りやすい環境で大量集客し、利益を生み出しています。
会員種別は月会費15ドルのクラシック会員と24.99ドルのブラックカード会員の2種類。ブラックカード会員なら全店利用・同伴者1名無料・リカバリーエリアが利用できる。
HV/LP業態のEōS FitnessやChoose Fitnessも、シンプルな運営と低価格かつ大量会員モデルで成立しています。
月会費9.99ドル・24.99ドル・29.99ドルのEōS Fitness。24.99ドルの会員なら全店利用・ジム・スタジオ・プール・サウナが使える。
最安月会費は店舗により9.99ドルから15.99ドルのChuze Fitness。月会費29.99ドルのMORE(モア)会員なら日本の総合スポーツクラブ並みのサービスが受けられる。
日本でも、24時間ジムや月会費2,980円業態の急成長を見る限り、この考え方はすでに市場に受け入れられています。
では、総合スポーツクラブでは無理でしょうか?
私は、一部施設では十分に可能だと考えます。
特に、業績不振で将来改善の見通しのない施設なら、閉鎖する前に挑戦する価値はあるでしょう。
もちろん簡単ではありません。既存会員の反発もあるはずです。投資判断も必要です。
しかし、もっと危険なのは、“中途半端な延命策”です。
総合スポーツクラブを運営する多くの企業が行っているように、会費を少し値上げし、少しコストを削る。この程度で劇的に改善するほど、市場は甘くありません。
小売業でも同じことが起きました
2000年頃までの総合スーパー(GMS)は、「食品も衣料品も日用品も、一カ所で何でもそろう便利な店」として成長しました。
しかし、その“何でもある”が逆に中途半端になっていったのです。
食品なら食品スーパー、日用品ならドラッグストアや100円ショップのダイソー・セリア、家具ならニトリ、衣料品ならユニクロやしまむら、家電なら家電量販店、さらにアマゾンなどのECショップといったように、各分野で“明確な強み”を持つ専門業態が次々と台頭したからです。
さらに、ドン・キホーテやトライヤルのようなディスカウント業態も独自の価値を打ち出し、多くの顧客を引きつけました。
その結果、「何でもあるが、特別安いわけでもない、特別品揃えが深いわけでもない」総合スーパーは厳しい競争にさらされ、その多くが消えました。
総合スーパーが苦戦を続ける一方で、専門店やディスカウント業態が成長したのは、「中途半端に何でもある」より「明確な価値」が選ばれたからです。
フィットネス業界も、まさに同じ道をたどっています。
総合スポーツクラブの生き残り策とは、今の業態のままを維持することではありません。自ら業態を壊し、作り変えることです。
もちろん、これは簡単な決断ではありません。長年築いてきた業態を見直すことには、不安も抵抗もあるでしょう。
しかし、市場環境が大きく変わった今、過去の成功体験にしがみつくことこそ最大のリスクです。変わらないことは、安定ではなく、静かな後退を意味します。
Change or Die(変革か死か) ・・・変化を恐れる総合スポーツクラブから消えていく。
そんな時代が、すでに始まっています。
低収益または赤字の総合スポーツクラブは、手遅れになる前に自己変革に取り組む必要があります。





