MADONE SLR9 DISC インプレ | 桜伐ル馬鹿梅伐ラヌ馬鹿

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北海道のサイクリング好きのブログ。

4月末にMADONE SLR9 DISCを購入した。
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スペックなどの紹介はこちら。
1か月半ほどで1000km乗ったので、購入動機、インプレなどをまとめてみる。

【なぜMADONE SLR DISCなのか】
自分が好きなのはロングライドで、バイクに求めたい要素は以下の通り。
・巡航能力
・快適性
・デザインなども含め、自分がそのバイクを好きであること

速度ならANDEANが最高水準なので、そこだけを追い求める必要は無い。そこで上の3つの要素を考えた時に、MADONE SLRがベストだった。

もともとロングには2013年モデルのPROTOSを主力として使っていたが、巡航で有利なエアロロードを使ってみたい気持ちは強かった。
ただ、エアロロードに対しては自分の中で2点マイナスポイントがあった。
一つ目は、乗り心地が必ずしも良くない事だ。
カーボンの積層などでフィーリングが調整できる時代ではあるが、ガチのエアロロードは硬いといわれているものが多かった。
二つ目は、あくまでも個人的な好みだが、デザイン的に惹かれるものが少なかった事だ。
どれも小さめのリア三角にあまり色気を感じないライン。デザインも似たものが多いように思った。
Cerveloの新型S5と(エアロ度では若干劣るだろうが)BianchiのOLTRE XR4には惹かれたが、空力、快適性、デザインを総合して考えた時に多額の出費をしてまで買おうと思うところまでは行かなかった。

こういう感じで考えていたところ、何のきっかけかは覚えていないがMADONE SLRが候補に入ってきた。
空力的にはより優れたバイクもあるが、MADONEも空力的に上位の機種だし、快適性はエアロロードの中では最高。存在感あるデザインにも惹かれたし、Project Oneでカラーなどを細かく指定できる。
逆に、なぜこれを候補として考えていなかったのか不思議なくらいだった。まさに自分向けのバイクだ。

【ディスクブレーキ搭載ロードバイクについて】
自分はもともとロードバイクにディスクブレーキは不要だという考えで、今もそれはあまり変わっていない。

先日夜間に雨の峠を下ってみて改めて感じたが、制動力がリムブレーキよりも高くなることは無い。ブレーキのストッピングパワーよりもタイヤのグリップ限界が先に来てしまうので、結局制動力は変わらないのだ。
ブレーキの引きは軽くなるし、コンディションによって制動力の立ち上がり方が大きく変わることもない。そういう意味では使いやすいし、疲労困憊した状態等では特に楽に感じるだろう。

とはいえ、使ってみて初めて解ったメリットも複数あった。
ただしこれらの中にはディスクブレーキそれ自体によるものではなく、ディスクブレーキを搭載する上での構造によるものも含まれる。

まず最大の利点は、足回りのセッティングの選択肢が拡がる事だ。
自分は今MADONEに乗る時HEDのVANQUISH8にGP5000の28Cを付け、ディスクブレーキ専用の超軽量チューブであるTubolito Sを合わせている。
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VANQUISH8のリム幅は30mmと超ワイドなディスク専用のものだが、快適性を高めるために28Cのタイヤを使いつつ、空力もなるべく悪化させないためにこのホイールを使い、チューブに超薄手のTubolito Sを使うことでエアボリュームをさらに稼ぐのが狙いだ。
リムブレーキモデルではこういう足回りは採用できない。リムもそうだが、ブレーキング時の熱にTubolito Sのような特殊なチューブが耐えられないのだ。

スルーアクスルによる脚周りの安心感も利点といえる。
「剛性感」や「安定感」ではなく「安心感」と言ったのは、リムブレーキのPROTOSがダウンヒルも含め既に文句のつけようのない位安定していたので、それを超えた状況をまだ体感できていないからだ。
とはいえ、細いクイックが何かの衝撃で折れたり外れたりするんじゃないか(と自分は常にどこかで感じていた)といったような不安感を一切感じないというのはメリットだ。

洗車がしやすいのも良い。
車体形状がスッキリしているので簡単にピカピカに出来る。


逆に、デメリットもいくつかある。
まず、ブレーキ周りのメンテナンスが難しいと思われる。リムブレーキモデルならワイヤーを簡単に交換できるが、ディスクブレーキ(油圧)だとそうはいかない。
全部をショップに任せているので良くわからないが、難しさはアップしているだろう。
ANDEANも同じだが、ケーブルなどを完全内装しているので、交換も大変だと思う。

車重が重いのも登りではデメリットだろう。写真の状態(ライトやサイコン込み)で8.6kg程ある。
ただこれは平坦の巡航ではあまり関係ないし、自分の体重が増えてしまっている状況で考えるようなことではない。

輪行は慣れれば大きな問題はないが、逆さにしてブレーキの効きがおかしくなったことがあるので、この点もリムブレーキでは考える必要のなかったリスクと言える。


【コーティングについて】
これはMADONEがどうこうとは別の話だが、あまりにも塗装が美しいのでフレームにガラスコーティングを施工した。
アルティメットピカピカレインの2度塗りで、セットになっていたシリコン系のメンテナンス剤、ナノピカピカレインで磨き上げるといい艶が出る。
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Project Oneで選んだChrome Tourというカラーは、見る角度によってピンク系の艶があるパールホワイトとクロームレッドで、自分が一番好きな花である染井吉野を思わせる色合いだ。これを活かすためにコーティングはしっかりやった。
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VANQUSH8はガラスコーティングから時間があいてしまったのでWAKO'Sのバリアスコートを塗ってある。
マット塗装かと思いきやBORAのようなピカピカなグロス仕上げだったので、高級感がある。

【走行インプレ】
VANQUISH8、GP5000、Tubolito Sとセットでのインプレになる。
これらの足回りの走行感に対する影響がかなり大きいと思われるので、予め記しておく。
調整式のIsoSpeedは最も柔らかい位置にしている。
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・快適性
速度に関わらず、乗ってすぐに快適性の高さを感じる。
舗装の継ぎ目や舗装が剥がれたりして出来るギャップ(北海道では非常に多い)からの衝撃がかなり和らげられている。絨毯の上を走っているかのような感覚だ。
IsoSpeedの効果とエアボリュームが増えた足回りによる効果が両方あってのことだが、特に夜間に郊外の暗い道を走る時などの負担感がかなり軽くなる。自分が良く走る小樽から函館の道は特に荒れた道が多く、バイクによってはかなり走りにくさを感じるのだが、道中ずっと楽しく走ることが出来た。
フォークには特別な機構は無いのだがハンドルバーが手も少し楽に感じた。足回りのセッティングと、ハンドルバーが少ししなっているためだろう。
安定した走行感と快適性の高さという意味では、今まで乗ってきたバイクが在来線だとすると、新幹線に乗り換えたような感じがした。

・空力
トレーニング不足で脚力が落ちているので、PROTOSで全開で踏めていた頃と出力や速度を比較する事はデータ的にも感覚的にも出来ない。そのためかなり思い込みなども入った感想だとは思う。
それでも、風が吹いた時のバイクの安定性は強く感じる。特に向かい風の時など、ウェアがバタついていてもバイクの挙動は全くぶれない。今年2度走った長万部から森町の区間などの向かい風基調の区間でもスムーズに巡航できるのは嬉しい。
ヘルメットをエアロヘルメットに変えた時の様に、音や挙動から風の流れがスムーズになっているのを感じる。
ホイールも含め横から見た面積がかなり広いバイクなので風のある状況での下りが怖いかなと思ったが、実際走ってみるとそんなことは無く安定している。

・踏み心地
BB周りがしっかり硬いのだと思うが、力が逃げる感じは全く無い。緩い登りでは重量を感じさせずスムーズに登る。
PROTOSもそういう性格だが、PROTOSの硬さと安定感に695のバネ感というか各パイプがそれぞれしっかり仕事をしている感じと言うか、そういう部分を足して良いとこ取りしたような感じがある。言葉にしにくいが。
IsoSpeedを搭載しているものの、車体がよれるような感じは無く、1000Wを超えるダッシュをかけても問題なし。
ワールドツアーでプロが使っているバイクなので、出力に対する許容量は非常に大きいだろう。空力性能も相まって、脚があれば相当速いバイクだと思う。

走行感についてはこういう感じで、快適で空力が良く、なおかつしっかり硬いバイクだ。
ガンガン踏めるようになった状態でTTなどすればまたわかることがあると思うが、現時点でこれ以上に言う事は特に無い。


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以上、自分個人の感覚による部分が大きいが、非常に満足度の高いバイクだ。
性能面でも、平坦中心のロングライドには最適だと思う。
ただし、エアロバイクはどれもそうだとは思うが、車体にバッグ等を多く搭載する使い方には向いていないと思う。
フレーム形状が特殊で使えないマウント等が多いからだ。
それも踏まえると、車体に付ける荷物はツール缶1つといった様な軽装のロングライドにドンピシャなバイクだ。
ロングライダーの皆さんにぜひオススメしたい。