史上最深積雪ライド@幌加内~朱鞠内 | 桜伐ル馬鹿梅伐ラヌ馬鹿

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北海道のサイクリング好きのブログ。

2月27日と28日、幌加内~朱鞠内でサイクリングをしてきた。
このブログでは初登場となるCANYONのDUDE CF 9.0 EXだ。
去年までは冬場はローラーだけで一切自転車に乗れなかったのだが、今年は普段の移動含めちょくちょく乗っている。ちょうど仕事で休みを作ることが出来たのでちょっと遠征にという事で行ってきた。

なぜ幌加内~朱鞠内なのかというと、それはここがある意味での極地だからだ。
冬場に異常に冷え込む上、雪が深い。特に今年は積雪量の史上最大値を更新して、2月25日時点で幌加内が324cm。この状況を見てみたいという事で行ってきた。
3月1日からは気温がプラスになっていたので、自分が言ったのがまさに最善のタイミングだったことになる。

まず小樽から深川まで輪行。そこからさらに幌加内まで輪行した。
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夏場なら確実に自走するのだが、今年は冬トレが全くと言っていい程出来ず、ファットバイクでの雪上サイクリングでの遠征はフィジカル的に難しいだろうという事で目的地まで輪行することにした。
深川からはバスで幌加内まで行こうとしたところ、自転車を見て運転手さんから

「それ乗るつもりなの?お兄さん見たいな甘い考えで自転車で行く奴がたまにいるけど、みんな警察に検挙されてる。想像してるような路面状況じゃないからやめろ。」(原文ママ)

と言われてしまった。
自分の中では、
「いや、何をどう考えても行けるでしょ。」
というのと、
「そこまで言うっていう事は本当に視界が無い迷路レベルの切り立った壁が続いて全カーブがブラインドになっていて対向車や後続車にフルスピードで突っ込んでこられるような状況なのか?」
という想像が入り混じった何とも言えない感じになった。とはいえ、とりあえず無理そうなら朱鞠内まで輪行して宿泊だけしようという事でバスに乗った。
乗客は自分と神奈川から来たというバス好きっぽい学生さんの2人のみ。共に最前列。学生さんは名寄まで行くらしい。

第一印象で運転手さんは話の通じない頑固者なのかと思ったのだが、そんなことは無かった。口調はぶっきらぼうだがとても親切で、色々な話をしてくれた。
今年は雪が特別多くて排雪も間に合わず、道路が狭くなっている箇所があるとのこと。路面状況としては凍結~積雪の路面で、そこを問題なく走れるのならまあ大丈夫かなという感じらしい。
DILLINGER5をはいているので路面状況としては全く問題はない。道幅も夏場よりは狭いがもともと広いので特に問題は無い。ただ、雪山の高さは想像を超えている。
運転手さんは自分のことを北海道の冬の状況を知らない旅行者か何かかと思っていたのかもしれない。小樽で普段自転車で走っていると言ったら少し安心してくれたようだった。
幌加内が近くなると、「あとはお兄さんの判断で、大丈夫なら頑張ってきな。」ということでバスを降りてサイクリング開始。
暴走トラックがいるからスペースが無い場所で後ろから来たら停車した方が良いという言葉を頂いたので、そうすることにした。

バスはこちら。JR開業当時からのもので、走行距離2,600,000kmらしい…
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幌加内のバスターミナルはもともと深名線の幌加内駅だったとのことで、2回には常設の展示コーナーが。
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幌加内市街地の状況はこういう感じ。
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史上最高積雪なので当たり前だが、雪の深さは見たことのないレベルだ。
住民の皆さんは大変だと思う。それを考えるとこんなことを言うのは申し訳ないのだが、ただ遊びに行くのなら最高に面白い。下手な観光地よりも見ごたえと驚きがあるし、テンションが上がる。
路面の状態は良好で非常に走りやすい。しかも快晴だ。
交通量は殆ど無く、黒基調で車からも見えやすい色なのでまあ普段と比べて特段危険もなさそうだった。

この辺りは夏場も非常にのどかで景色のスケールも大きく美しい場所なのだが、冬は冬で全く違った面白さがある。

幌加内を出たのは午前9時過ぎだった。
ここから添牛内の蕎麦屋、霧立亭まではおよそ25kmほどで、霧立亭でそばを食べながら休憩し、母子里辺りまで行って朱鞠内に引き返そうかというプランだったので、添牛内まではそこそこの巡行ペースで走った。
緩い登り基調で、ベースの速度は20km/h程の様だ。ロードからは想像できないレベルで遅い。ファットバイク自体スピードを出すのに向いていないのもあると思うだ、雪道の抵抗が大きいというのが決定的なんだと思う。
走り馴れたはずの幌加内~鷹泊~政和~添牛内ルートだが、走った感じはそれまでと全く違って新鮮だった。
夏場は一面の緑や白い花の咲いた蕎麦畑の印象が強いが、この日は真っ白な雪で閉ざされた世界で、2倍以上の距離があるように感じた。

添牛内では除雪車やブルドーザーが数台がかりで片側交互通行の大規模な排雪作業をしていた。
お目当ての霧立亭は定休日。仕方がないので自販機でジュースだけ補給して朱鞠内まで行くことにした。

添牛内~朱鞠内は12km程だったと思う。
途中工事をしている場所があり、その近辺で運転手さんの言っていた暴走トラックが出没。確かにハイスピードで追い抜いていく。
途中「!」マークが。場所柄、幽霊でも出るんだろうか。
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朱鞠内では商店で買い物でもしようかと思ったが、そこも閉まっていた。
この地域特有の待合室付きの豪華バス停で一服しようとして、汗で上半身がビショビショになっていることに気づいた。
この日はゴアテックスのALPHA SVジャケットではなくスキー用のソフトシェルを着ていたので、湿気が逃げなかったのだろう。
ALPHA SVは転倒して破れでもしたら立ち直れない精神的ダメージを負うことになるのでスキー用にしていたのだ。
多分もう少し走れるが、下手をすると低体温症になりかねない。
加えて、フィジカルが弱っているので疲れている。
こういう時の諦めの早さは自分の持ち味といったところで、この日もここでサイクリングは切り上げ、3km程先のレークハウスしゅまりないでゴロゴロすることにした。
着いたのは昼頃。

レークハウスしゅまりないは売店も何も無く町中のホテルに比べて利便性は低いが、従業員の方のホスピタリティもあって気持ちのいい宿だった。
朱鞠内湖を少し走ってみようかとも思ったが、雪が深く足跡の形に(寒さのため?)固まった状態になっていて走るのは難しい状態だった。
少し湖面に降りて引き返したのだが、すぐ近くのテントでサイクルプラザのKさんが釣りをされていたらしい。
湖面で会った人も「自転車!今まで1回も冬に自転車出来た人はいなかったのに今日一気に2人も来るなんて!」というようなことを言っていたので、ご挨拶だけでも…という感じで訪ねておけばよかった。後悔だ。
下の写真の左側の黄色いテントにKさんがいたようだ。
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夕食はダッチオーブン料理と朱鞠内湖周辺で採れた食材のプレート。
ダッチオーブンで焼いた肉とソーセージはボリュームがあって特に美味かった。
一緒に写っている玉ねぎやニンジンを参照頂きたい。
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夜9時頃に湖面に降りて写真でも撮ろうと思ったが、特に何も移すものが無いうえ、夜間の湖面をきれいに撮る技術もないのでやめた。
ただ、湖面に降りたのは良かった。今まで体験したことの無いような静寂とピンと張り詰めた乾いた寒さだった。

朝の朱鞠内は美しかった。
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朝食はおひつでご飯が出てきたが、完食した。
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NHKの朝のニュース番組を見たらアナウンサーとは思えないほど色っぽい人が出ていてびっくりした。

確か9時ころに宿を出て朱鞠内湖の西側を北上する道道528号線を通行止めゲートまで走って引き返し、朱鞠内から深川まで輪行して帰った。
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運転手はもちろん昨日と同じ方。Eさんという方で、最前列に座れと言われて色々なはしながら深川に向かった。
霧立亭が休みだった話、幌加内町内でも蕎麦屋ごとに十割と二八があること、ルオントとの蕎麦屋に夫婦で行った人がいて、奥さんがそば粉の配合が気に入らず帰りのバスの中でけんかしていた話、小樽に行ったという話、若手運転手は路面の怖さを知らないという話、夏場も来るならバスから手を振るよという話。
ぶっきらぼうな話し方だが、また乗ってお話したいと思う方だった。
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この日は前日からの降雪でまた道が少し狭くなっていたように感じた。この狭さだと交通量によっては怖いかもしれない。

深川駅前で旭川ラーメンの糸末さんというお店でラーメンを食べて輪行して帰宅した。美味しかった。
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冬場のサイクリングは初めてだったが、快晴の中最大積雪の世界を経験出来て思い出深いものとなった。
あの運転手さんともまたお会いしたいものだ。