前の記事で書いたダブルコークについては、ぜひとも言っておきたいことがあります。現状では2回宙返りが禁止されているモーグルのエアで、2回宙返り技であるダブルコークを解禁してほしいという声が上がっていて、検討されているそうです。ひょっとしたらもう決まっているかもしれません。ぼくはモーグルの末端競技者で一人のファンでしかありませんが、個人的な意見を言わせてもらうと、それだけは絶対にやめていただきたいと思います。

 ダブルコークはスキー、スノーボードのハーフパイプやスロープスタイル、ビッグエアーなどで取り入れられるようになった技で、2回宙返りにひねり(スピン、横回転)を加えます。最近は3回宙返りにひねりを加えたトリプルコークも見られるようになってきました。

 モーグルエアでもこれを解禁してほしいというのは次のような理由があるのでしょう。

 まず、モーグルエアの高度化に伴い、最高難度のダブルフルツイスト(後方宙返り2回ひねり)やコーク10(水平3回転)をやる選手が多くなってきて、さらに難度の高い技に挑戦したいという選手が出てきたことがあります。2010年のバンクーバー五輪のモーグルで優勝したアレックス・ビロドー選手が試合後のインタビューで「2回宙返りも練習しているので、モーグルのエアでも認めてほしい」という趣旨の発言をして話題になりました。

 さらには、見栄えがする派手なエアを導入することによってモーグルの人気を高めようということもあるでしょう。フリースタイル競技なのに難度に制限を設けるのはおかしいという考えもあるかもしれません。

 ぼくが解禁に反対する理由は次の通りです。

 エアリアルの試合では、1回転用、2回転用、3回転用と3通りのキッカーが用意されます。それぞれの斜度は50度前後、60度前後、70度前後と、宙返りの回数によって違っていて、大きさも違っています。2回宙返り、3回宙返りをするためには、1回宙返りよりも大きさなキッカーが必要ということです。

 現在、モーグルの国際大会の規則では、エア台の前は、最後のこぶからキッカーの先端(リップ)までの距離が4~5m、エア台の後ろは、リップからランディングバーンの端までの長さが15mと決められています。エア台の前後に約20mをとっているのです。

 1990年代の自然こぶのモーグルの映像を見ると、こぶが今の人工こぶよりももっと大きいのに対して、エア台は小さくて、こぶの中に埋もれて、どこにあるのかわからなかったりします。ぼくはこのころのモーグルコースは知りませんが、ランディングバーンも今より短かっただろうと思います。

 2000年代の人工こぶのモーグルでは、こぶが小さくなり、エア台が大きくなりました。ソルトレーク五輪(2002年)の映像を見ると、ミドルセクションの小さいこぶを猛スピードで滑って、大きな第2エア台でビッグジャンプをしてクワッドツイスターをしています。このころからハイスピード、ビッグジャンプのモーグルに変わりました。

 この後、3Dエア、宙返りが解禁され、ハイスピード、ビッグジャンプの傾向は決定的となりました。ミドルセクションが第2エアのための助走路と化してきたのです。

 そのため、ミドルセクションのターンをしっかり見ようと、ミドルセクションを長くしたコース設定になりました。ターン重視のコース設定なのですが、ボトムセクションが短くなった結果、ますます第2エアを大きく飛んで、その後のボトムセクションを惰性で流すようになってしまいました。

 昨シーズンのワールドカップ最終戦のデュアルモーグルは、第2エア台を今までより大きくし、その後のボトムセクションのこぶをなくし、フラットバーンを滑ってゴールするコース設定でした。競技者がゴール前の第2エアでビッグジャンプをして難度の高い技を見せられるようにしたのですが、ボトムセクションにこぶがないのは気の抜けたビールのようで、見る方としては非常につまらないレースでした。

 それと対照的だったのが、その後に白馬八方尾根スキー場であった草大会の八方スーパーモーグルでした。この大会は決勝がデュアルモーグルで行われますが、例年、昔風にボトムセクションが長いコース設定になっています。第2エアを飛んで勝負が決まりではなく、ボトムセクションのこぶをミスなく滑りきらなければなりません。第2エアまで圧倒的にリードをしていた選手がボトムセクションで転倒して敗れることもあって、土壇場での逆転があり、最後の最後まで気が抜けないので、見ていて大変、面白いレースになりました。

 昨シーズンの終盤、この二つの大会によって、モーグルはこぶを滑る競技であって、エアで勝負を決める競技ではないということをつくづくと感じさせられたのでした。

 今の国際大会の規則では、第1エア台、第2エア台の前後を合わせて計約40mがこぶのない部分で、200mのコースだと、コース全体の5分の1を占めます。もし、ダブルコークのような2回宙返りの技を解禁するとしたら、滞空時間を確保するために、今よりも大きなエア台にして、ランディングバーンも長くする必要があります。その分、こぶの部分は短くなります。

 今のエア台の大きさ、ランディングバーンの長さでダブルコークができないわけではありませんが、短い滞空時間の中で宙返りを2回しなければならないので非常に危険です。

 モーグルエアによるけがはほとんどが、空中で回転を完了しないままに着地することに原因があります。例えば、ヘリであれば、空中で回転を終えて、スキーがフォールラインを向いた状態で着地すれば、けがをすることはありませんが、回転不足であれ、回転オーバーであれ、回りながら落ちると、スキーをとられたりして、脚に不自然な力が加わり、前十字靭帯断裂などの大けがをすることになります。

 縦回転のけがも空中で回転を完了せずに着地するために起きます。回転不足の場合、スキーのトップがランディングバーンに刺さるような形になって、顔から着地してあごを骨折することあります。回転オーバーの場合は、背中やひじをランディングバーンに打ち付けて腕の骨を折ったり、後頭部を打って脳震盪を起こしたりします。

 横回転での着地の失敗は悪くても脚のけがで済みますが、縦回転の場合は頭や首を打ち付け、頸髄損傷によって全身付随になるなどの取り返しのつかないけがにつながります。

 1回宙返りとあまり変わらない滞空時間で2回宙返りをすると、回転速度が上がります。大きなジャンプをしてランディングバーンを飛び越え、高速の2回宙返りの途中でこぶの中に着地したらどうなるでしょうか。それにひねりが加わっていたら、考えただけでも恐ろしくなります。

 大きなジャンプをするためには、それに応じたランディングバーンが必要です。モーグルのジャンプの飛距離がせいぜい15mなのに対して、ノルディックジャンプの飛距離は100m以上もありますが、どの地点に落下しても競技者とランディングバーンとの高低差は2mほどしかないそうです。ランディングバーンの形が、競技者がジャンプして描く飛行曲線と同じ放物線になっているためです。飛行曲線とランディングバーンが2mの差で平行する2本の放物線になっているので、競技者はジャンプした後、常にランディングバーンの2m上を飛ぶことになるのです。

 スロープスタイルも同じようなランディングバーンになっています。モーグルの大会でも最近は、ランディングバーンが放物線の形に盛り上げてあります。そうすることによって、滞空時間の長い大きなジャンプをしても、安全に着地することができるわけです。

 モーグルでダブルコークができるようにするためには、今以上に長いランディングバーンを設けざるをえず、そうすると、こぶの長さがますます短くなって、何の競技かわからなくなってしまいます。スロープスタイルのアプローチの長さ、キッカーの長さ、ランディングバーンの長さはモーグルコースの比ではありません。モーグルのキッカーを大きくしたところで、スロープスタイルやハーフパイプほどに大きなエアはできないのです。

 フリースタイル競技の中には、2回宙返り、3回宙返りのできるエアリアル、スロープスタイル、ハーフパイプという種目があります。ダブルコークをしたい選手は、それができるキッカー、ランディングバーンが整備されているこれらの種目で力を発揮すればいいのです。

 モーグルのエアをこれ以上、大きくすることは、モーグルの特性を失ことにつながると思います。モーグルはこぶを滑る競技であるという原点に立ち返って考えることが必要でしょう。
 土日にO-airに行って、ミニランプやらトランポリンやらウォータージャンプの猛練習をしたツケが出ました。

 土曜の夜の時点で既に筋肉にだるさを感じていたのですが、月曜は朝から筋肉が炎症を起こしているのがわかりました。筋肉痛のような痛みはないのですが、だるくて熱を持っているのです。頭もちょっとくらくらしていました。インフルエンザにかかったときのように肋骨にも痛みがありました。

 月曜はトランポリンに行くつもりで着替えも持って行っていたのですが、どうしても外せない仕事が夕方に終わるやいなや、即刻、帰宅して、夕食もとらずに床につきました。夜中に目が覚めて体温を測ったところ38.1度。下痢をしたわけではありませんが、おなかの調子もずっと悪かったです。

 あまりにしんどくて、「昔、鉱山労働で酷使された人はこうやって死んでいったのかなあ」などと思いながら寝ていました。ろくな食事も与えられずに無理な労働をさせられた人と、プロテインなどのサプリメントをたっぷり取ってスポーツとしての運動している自分を比べては、昔の人に申し訳ないですね。

 ただ、プロテインは飲んでいましたが、水分補給が足りていなかったかもしれません。土日とも最高気温が30度近くあってけっこう暑く、ウェットスーツなしてウォータージャンプをしていたので、気づかないうちに汗をかいていたと思います。

 火曜日にはなんとか復活して会社に行きましたが、いくら楽しくても、仕事に影響が出るほど練習に熱中してはいけないと反省した次第です。

 「はしゃぎ過ぎ」とも言えるほど、度を越して練習してしまった日曜のウォータージャンプの練習は、前のブログで書いた通りですが、補足をしておくと、<いつもはO-airで練習していない選手もやってきて>というのは、岐阜県の堀島有紗選手と堀島行真選手の姉弟です。有紗選手は今年3月のジュニアオリンピックカップ全日本ジュニアスキー選手権で優勝した中京大学1年生、行真選手は高校生ながらワールドカップを転戦している有望株です。

 2人とも高難度のエアを練習していましたが、ひときわ目を引いたのが、行真選手がデモンストレーション的に1回だけ披露したダブルコークです。本人に確認したわけではありませんが、ぼくの目にはダブルコーク1080(テンエイティ)と映りました。

 ダブルコーク1080とは何か。簡単に言うと、2回宙返りをしているうちに1回横回転をする技です。もっと分かりやすく言うと、後方宙返りを2回するうち、1回転目に半分ひねり、2回転目にも半分ひねる技です。縦回転が2回転で360度+360度=720度、それに横回転半分を2回で180度+180度=360度。全部合わせて720度+360度=1080度というわけです。

 これは体操競技の「月面宙返り」と同じ回転ですね。「月面宙返り」は塚原光男選手がトランポリン競技の「ハーフインハーフアウト」にヒントを得て開発したそうです。「ハーフインハーフアウト」は英語で書くと、「Half In Half Out Fliffis」で、日本語では「後方2回宙返り前・後半1/2ひねり」または「後方1回宙返り1/2ひねり+前方1回宙返り1/2ひねり」と言います。

 後方1回宙返りで半分ひねりを加えると、次の回転は前方回転になります。2回目の宙返りで前方回転しながら半分ひねると、着地は後方宙返りの着地になります。半分ひねりが加わることによって、回転方向が逆向きになるところが、この技が見た目にわかりにくい一因ではないかと思います。

 それでなくてもひねりを加えた回転というのはわかりにくく、初めて見た人は、バックフルツイスト(後方宙返り1回ひねり)でも、どのように体を動かしているのかわからないものです。

 ダブルコーク1080は体操競技の「月面宙返り」やトランポリン競技の「ハーフインハーフ」と基本的には同じ回転ですが、ダブルコークは多くの場合、軸をずらしながら回転します。

 体操競技やトランポリン競技は基本的に軸がずれてはいけません。宙返りは前方であれ後方であれ、腰軸が水平になっていなくてはなりません。ひねりが加わっても同じです。縦回転の軸である腰軸は水平で、横回転(ひねり)の軸である頭足軸は垂直です。縦横とも軸が傾いた回転になってはいけないわけです。

 ところが、スキーやスノーボードのコークはシングルであれ、ダブルであれ、トリプルであれ、軸がずれていても全然かまいません。むしろ軸がずれているところに面白さがあります。体操競技やトランポリンのように軸が傾かない回転は浮遊感がなくてつまらないのです。

 モーグルのエアでは、フルツイスト(後方宙返り1回ひねり)、ダブルフルツイスト(後方宙返り2回ひねり)という体操競技やトランポリンと同じ技もあれば、コーク720(コークセブン、水平2回転)、コーク1080(コークテン、水平3回転)というフリースキー系に独特の技もあります。前者(フルツイスト系)はひねりの軸が垂直から傾いてはならず、後者(コーク系)はひねりの軸が水平に傾いていないといけないという技です。

 コークのような軸ずれの技は、体操競技にもトランポリン競技にもなく、スキーのエアリアル競技にもありません。トランポリン競技向けのトランポリン練習はフルツイストやダブルフルツイストを習得するためには有効ですし、必須とも言えますが、コーク系の技を習得するためには、トランポリン競技向けの練習だけではなく、軸ずれの回転のためにアレンジした応用練習が必要になるはずです。

 この点については、また改めて書きたいと思います。

 そうそう、それから、<現役プロライダーも見学にやってきて>というのは川口徹さんです。ぼくが1999年にびわ湖バレイのモーグルコースでモーグルを始めたころから何年かスタッフをしていて、ときどき一緒に練習していました。当時は高校生で「てっちゃん」と呼んでいましたが、今や北海道とカナダを拠点に活躍するプロライダーです。ほぼ10年ぶりの再会でした。やはりプロスキーヤーで2005年全日本モーグル選手権優勝の楠泰輔さんと一緒に見学に来ていました。

 こんな人たちが一緒にいたら、いやがうえにも張りきってしまいますよね。
 土日の27日、28日は今シーズン初めて、2日連続で大阪ウォータージャンプO-airに行きました。

 2日ともミニランプでインラインスケートをして、トランポリンで軽く汗を流してからウォータージャンプをしました。土曜はさらにフリクションプログラムが加わり、ウォータージャンプの後にもトランポリンとミニランプのインラインスケートをするというハードなトレーニングとなりました。

 日曜は今シーズン初めて、妻がビデオ撮影してくれました。いつもはO-airで練習していない選手もやってきて、9番台(モーグル台)もギャラリーも大にぎわいです。さらには、びわ湖バレイのモーグルコースで一緒に滑っていた現役プロライダーも見学にやってきて、約10年ぶりの再会となり、いやがうえにも盛り上がりました。

 ギャラリーの目を気にしながら、いつも以上に張りきって飛びましたが、結果は全然だめでした。よかったのはストレートジャンプだけ。ストレートジャンプはいくらきれいに飛んでも0点です。

 ツイスターはスキーの振りが甘くて、スキーが横を向いたときに静止している時間が全くありません。ツイスターはスキーを90度振って、横を向いたときにピタッと止めないと、点数が出ません。トリプルツイスターだったら、スキーを横に向けてピタッ、逆の横向きでピタッ、もう1回、元の横向きでピタッ、という感じで、スキーを動かす時間はできるだけ短く、スキーを止めている時間はできるだけ長くしないといけないのですが、ややもすると逆になります。スキーを動かすのに時間がかかり、スキーを横向きで止めている時間がほとんどないという悪いパターンになってしまいました。

 そして問題のバックレイアウトです。この2日間も全然だめでした。スキーが走らず、キッカーで詰まります。その結果、上半身が後ろに倒れてしまい、高さが出ません。回転もスムーズにかかりません。スキーがキッカーに残って、付いてこない感じです。空中に高く飛び出して、一番高いところで回転したいのですが、すぐに上半身が後ろに倒れてしまいます。その結果として、空中姿勢で膝が曲がり、スキーがばらけてしまいます。レイアウト(伸身)のつもりなのに、ひどいときにはスキーが重なってアイアンクロスになっています。

 スキーが詰まる理由としては、いろいろ考えられますが、まだ何が原因か確定できていません。あらゆる可能性を考えて、一つずつつぶしていくしかないと思っています。

 日曜の飛び始めのころは特にひどくて、あまりのひどさに妻は「練習してこれ以上よくなることがあるのか」とあきれていましたが、後半になって少し調子がでてきて若干よくなりました。流れに逆らって泳ぐようなものかもしれませんが、まだ、衰える一方というわけではないようです。

 しかし、姿勢が汚いというのはなんとかしたいものです。いかにも年配の人間が飛んでいる感じで、きらいです。

 バックフリップにもまして、ひどかったのが、ちょっとだけ飛んだヘリです。妻は「何、今のヘリ。おちょくってんのか」。自分ではそこまでひどいと思っていなかったのですが、家に帰ってビデオを見ると、確かにひどい。ヘリになっていません。ショックです。「前はもうちょっと見られたのにね」と2人と話しました。しばらくやっていなかったら、全然、飛べなくなってしまったようです。また、一から練習し直しですね。

 というわけで、とても楽しかったけれど、課題ばかりが明らかになった2日間でした。O-airで練習できるのはあと1カ月半。ヘリもバックフリップも残された期間に数を飛んで、少しずつ完成度を上げていこうと思います。

 しかし、ここまでひどいとは。ショックです。何とかなるのかなあ。
 この前の土日(20日、21日)に稲刈りが終わりました。今年は雑草を大量に生やしてしまい、そのままコンバインで刈ると脱穀部が詰まるので、事前に草を引いたり、刈ったりせねばならず、大変でした。しかも、収量は例年の半分程度。米のできもあまりよくありません。来年は、圃場をちゃんと造り直し、水管理、雑草対策をきちんとして、以前の収量を回復したいと思います。

 23日は完全オフとなりましたので、今シーズン、田んぼの草取りに手を取られて、あまり行けていなかったO-airにウォータージャンプの練習に行きました。今回は多種多様なオフ練習をすることができました。

 まず、今シーズンからO-airに設置されているミニランプでインラインスケートをしました。ハーフパイプのミニミニ版ですね。

 インラインスケートのハーフパイプと言えば、ぼくは以前より、モーグルのオフトレーニングとして、神戸・六甲アイランドの"g"スケートパークで、スクールに入ったり、安床由紀夫さんや栄人さんのプライベートレッスンを受けたりしてきました。モーグルのこぶを乗り越える動きや、エア台のアプローチとキッカーの正しい滑走姿勢を身に着けるためです。体を常に斜面に対して垂直に保つための練習としてインラインスケートのハーフパイプは最適です。

 "g"スケートパークで練習に使うハーフパイプが高さ約4m、幅9~12mあるのに対して、O-airのミニランプは高さ1mぐらいでしょうか。ちっちゃい。でも、これが案外難しいのです。

 ハーフパイプの練習はごぶさたで、昨年4月の連休に白馬のTrue Playersに行って以来です。1年半も空いてしまいました。そんなわけで、ぼろぼろでした。タイミングが合わず、3回もこけてしまいました。

 ぼくがいつもハーフパイプでやっている練習は、フェイキーという往復滑走です。ハーフパイプの初心者がする基本練習ですが、トランポリンやモーグルエアのストレートジャンプと同じく、奥が深く、これを極めることが世界チャンピオンへの道であるといっても過言ではありません。実際、世界チャンピオンである安床栄人さん、武士さんが繰り出す高難度のエアはフェイキーの裏付けがあってのことです。彼らはボトム(底)から滑り始めてフェイキーを2~3往復しただけで、高さ4mのハーフパイプのデッキに上がってしまうのです。

 フェイキーは後ろ向きに滑るというその名の通り、バックスケーティングができないことにはできません。脚の曲げ伸ばしと同時に腕の振りを使って、ブランコでするときのように漕ぎます。

 やっているうちにだんだん感覚を思い出してきました。ランプが小さいからといって、せかせかと動くとだめなんですね。タイミングを合わせてゆっくりと動きます。そうするとあっという間に高さが出て、ランプから飛び出しそうになります。

 ぼくは今のところ、技は何もできませんので、ランプの斜面での小さなジャンプと、半回転しての方向転換だけしてみました。ここから先は"g"スケートパークに行って練習します。

 インラインスケートで体が温まったところでウォータージャンプです。なんとかウェットスーツなしで飛べました。最近はバックレイアウト(後方伸身宙返り)の練習が中心ですが、なかなかうまくできません。

 「何か違うな」と思いながら飛んでいたところ、最近、アベノETCで知り合いになった人がたまたま来ていて、スマートフォンを柱に取り付けて自分用に撮影した映像をぼくにも見せてくれました。ぼくの映像を見ると、空中では腰が伸びていますが、キッカーから出るときに少し腰が折れていました。こりゃだめですね。

 次はキッカーから出るときに腰が折れないよう、腰を前に出す感じでテイクオフしました。腰は折れなかったはずですが、やっぱり何か違います。次に休憩したとき、またスマートフォンの映像を見せてもらいました。今度は確かに腰は折れていませんでしたが、膝が折れていました。こりゃだめです。腰を無理に前に出しているので、スキーが付いてこなくて、膝が折れたようです。スキーがブラシに引っかかって残っている感じです。

 ストレートジャンプは少しでも悪いところがあると、何が悪かったかが自分でわかります。ツイスターもちょっと姿勢が崩れても自分でどこが悪かったかわかります。ヘリも軸が傾いたり、空中姿勢が乱れたりしたら、どこがおかしかったかわかります。

 しかし、バックに関しては、違和感はあったのに、どこが悪かったのか、映像を見るまでわかりませんでした。ここが問題です。

 股関節に緊張感がなかったり、膝から下に緊張感がなかったりというのが違和感としてありますが、それが何を意味しているかがわかっていません。ストレートジャンプが成功したときは、体全体が固まって、ピタッと静止した状態になります。バックレイアウトも同じことで、無駄な力を入れることなく、体全体が静止した状態で着水できなければなりません。完璧なバックレイアウトを体験すると、完璧でないときにどこが悪かったかがわかるようになるはずです。完璧なバックレイアウトをどれだけ体験できるかが今後の上達の鍵となりそうです。

 ウォータージャンプの練習を終えたところで、着替えようと、荷物を置いていた場所に戻りました。そのそばに今シーズンからO-airに設置された謎のミニブラシゲレンデがあります。滑り台ほどの長さの緩斜面です。あまり使っている人を見たことがなかったので、前回、「これは何をするものですか」と支配人の中村さんにお聞きしたところ、「フリクションプログラム」の練習用の斜面ということでした。今回、初めて試しに滑ってみました。

 斜面の一番上のところが平らなスタート台になっています。そこから斜面の出だしにかけて黒いゴムマットが敷いてあって、スキーが滑らないようになっています。その下に滑りにくい緑色のブラシが少しあり、その下が普通の水色のブラシになっています。全く滑らないゴムマットの部分でポジションを前にした姿勢をつくります。そのポジションをキープしたまま、次の滑りにくいブラシ、普通のブラシと滑り下りていくのです。滑りにくいゴムマットやブラシの上にスキーを置くことによって、斜面であっても、後傾にならず、ポジションを前にもっていくことができます。摩擦係数が大きいところでポジションが前の姿勢を覚えて、その姿勢のまま徐々に摩擦係数が小さいところへと移行していくので、フリクション(摩擦)プログラムと言うわけです。

 我流でやってみているうち、それを見かけた中村さんが登場。基本の滑走姿勢から、フリクションプログラムの練習プログラムのあれこれを懇切丁寧に教えていただきました。これはいいです。ものすごく簡単にポジション矯正ができます。

 一通り、教えてもらった練習をしたところで、再び9番台(モーグル台)でウォータージャンプをしてみました。実はこの日は練習に来る前から、アプローチ姿勢を変えてやってみようとと考えていたのですが、すっかり忘れていました。今までは、アプローチで棒立ちの滑走姿勢をとっていましたが、それは違うのではないかと思い直していたところだったのです。

 フリクションプログラムで覚えたポジションが前の滑走姿勢を取りました。スキーが滑らないフリクションプログラムの練習の感じで体を前に出しながらドロップインして、そのポジションを維持したままアプローチを滑走します。トランジションでアップライト系かバックフリップ系かで姿勢を変えるのは今までと同じです。ストレートジャンプ、バックレイアウトとも、気持ちよく空中で静止した姿勢をとることができました。

 ぼくの考えでは、エアの成否は7割がアプローチで決まります。2割がキッカーでの姿勢です。残りの1割が空中動作です。アプローチの失敗はキッカーでの姿勢に影響し、キッカーの失敗は空中動作に影響します。空中姿勢が乱れて着地に失敗というのも、元をたどれば、アプローチで後傾になっているということがよくあります。

 アプローチの姿勢を矯正するのに、フリクションプログラムが絶大な効果を発揮することを実感しました。次回から、毎回、ウォータージャンプの練習をする前にフリクションプログラムでポジションをつくるようにしたいと思います。
歴史の鍵穴:デジタル地図の落とし穴 古代にはありえない方法も=専門編集委員・佐々木泰造
毎日新聞 2014年09月17日夕刊
 今月はちょっとマニアックな話になりました。
 これまで「歴史の鍵穴」で古代の人が意識したと考えられる線について、地図ソフト「カシミール3D」を使って考察してきましたが、地図に線を引くと言っても、地図の図法はいろいろあり、そこに引く線もいろいろです。古代の人の地理感覚に一番近いデジタル地図の線の引き方は何かについて検証してみました。
 自宅近くの皇子山陸上競技場(びわこ毎日マラソンのスタート・ゴール)で開催されているジョギング教室に2年前から通っている妻に誘われて31日、滋賀県長浜市で開催された第29回琵琶湖ジョギングコンサートに参加しました。

 長浜市の奥びわスポーツの森をスタート・ゴールとして、10キロの部と3キロの部があります。2人とも大会参加は初めてで、10キロの部にエントリーしました。実際の距離は9.5キロで、時間計測は自分でゴールするときに時間表示を見るだけで、順位はありません。完走めざしてゆっくり楽しく走ればいいという大会で、初心者が参加するのにぴったりです。

 大会前、膝に少し痛みが出て不安でしたが、単なる筋肉痛だったようで、朝の電車の中で念入りに組織間リリースをして、大腿部を中心に筋肉をもみほぐしたところ、脚が軽くなりました。

 今回、ぼくに課されたミッションは
①妻が10キロ完走できるようペースメーカーとして伴走する
②最後は妻より先にゴールして、妻がゴールする瞬間を写真撮影する

 10キロの部のエントリーは男子1437人、女子319人。3キロの部は男子283人、女子261人で、最高齢は男子92歳、女子78歳(いずれも3キロの部にエントリー)でした。

 妻が無理なく走れるペースとしてだいたい8分/kmくらいを想定していたのですが、スタートしてみると、みんなけっこう速くて、ついつられて1km6分台になってしまいます。ぼくも最近は8分/kmくらいで走っているので、GPSトレーニングウォッチの表示を見ながら、ぐっとこらえて、7分30秒/kmのペースをキープするようにしました。

ペースを上げたり、歩いたりするのではなく、ゆっくりでもいいので同じペースで走り続けることが大切です。途中の写真を撮るために1回、前に出て止まったのと、3キロごとに設けられた給水ポイントで紙コップを取るのに速度を緩めた以外は、一定のペースを維持するようにしました。

 残り2キロで、妻が「もう完走できる」というので、自分のペースで走ることにしてスパート。といっても5分/kmくらいのペースで最後の2キロを走り、200人くらいごぼう抜きにしてゴールインしました。

 平均心拍数がそれまで140bpmくらいだったのが、最後のスパートで173bpmまで上がりましたが(最高は176bpm)、意外としんどくなかったです。

 タイムは1時間5分27秒。妻は1時間9分12秒でした。ぼくは10キロを50分余りで走っていたこともありますが、妻は10キロ走るのはこの日が初めてだったので、27度という気象条件を考えれば上出来でしょう。

 ぼくも今日の最後の2キロのスパートで、スピードを上げて走る気持ちよさがわかったので、これからはスロージョギングだけでなく、ウインドスプリント(快調走)も取り入れていきたいと思います。

 汗だくになった体を拭いて、着替えた後は、芝生の広場でフォーク歌手、高石ともやさんのコンサート。芸能論や社会批判を交えた楽しい歌語りでした。
 今月は20日まで忙しくて盆休みもとれなかったので、29日(金)に代休を取って、今シーズン2回目のウォータージャンプをしにO-airに行きました。

 その報告をする前に、前日の28日(木)の仕事帰りに行ったトランポリンのアベノETCの話です。

 ここでは練習の終わりにストレートジャンプを10本跳んでタイムを測ります。10本跳ぶのに時間がかかればかかるほど、ベッドを深く沈めて、高く跳んでいるということなので、できるだけタイムが長くなるように頑張ります。ぼくの今までの最高記録は17秒92です。初めてトランポリンを跳んだ人で13秒くらい、トップ選手は22秒くらいです。

 普通はストレートジャンプで10本測るのですが、ぼくの場合、膝を傷めたりしたこともあって、立位のストレートジャンプではなく背落ち(キャットジャンプ)で10本とか、腹落ちで10本などのバリエーションも試しています。背落ちだと16秒台、腹落ちだと15秒台だと思います。

 今回はローラー(腰落ちから1回捻り腰落ち)の連続10本に挑戦しました。ローラーの連続は5回が最高で、10本連続は成功したことがありません。体を真上に上げるよう意識して頑張った結果、目が回りましたが、なんとか10本連続に成功しました。タイムは14秒07。腰落ちで高さを維持するのは難しいです。

 課題のキャットツイスト(背落ちから1回捻り背落ち)の連続20回、クレイドル(背落ちから半分捻り背落ち)の連続20回は、足踏み状態が続いていますが、鯉住コーチが見てくれるので、悪い練習を続けるということにはなっていないと思います。なかなか上達しないといやになってきますが、最後の10本ジャンプで息抜きをしながら、楽しく練習しようと思っています。

 さて、今シーズン2回目のウォータージャンプ。ウォータージャンプ用のスキーが傷んできたので、予備のスキーを作ったりしているうちに出かけるのが遅くなり、O-airに着いて飛び始めたのが午後5時半。平日の夕方で、雨も降り出して、空いていたので、飛び放題です。

 ストレートジャンプ、ツイスター、ヘリを練習しました。今回の練習で直したのは、アプローチ(助走路)の手の位置。手が下がっていたので、しっかり前に出すようにしました。そのことによって、体幹が締まり、踏み切りがよくなって、技の切れがよくなりました。

 オリジナル技の「棒ジャンしてからヘリ」(空中に出て十字の静止姿勢をとった後、回転する)はしばらく封印します。できないことはないかもしれませんが、難しすぎます。大会で使うのはまず無理でしょう。一般的な回り方のヘリを練習して、余裕があれば、挑戦してみるという方針でいきたいと思います。

 今回のヘリの練習では、ほぼ毎回、回りきって、着地に成功しましたが、空中で回りながらきれいな十字姿勢をキープすることができていません。トランポリンのひねりのように、つい手を体側に付けてしまうことがよくあります。スキーの場合は、両腕を広げたままで回った方が安定するし、見た目もいいので、しっかりと両腕を広げた十字姿勢のままで回れるように練習したいと思います。

 今回は午後6時40分まで1時間10分の練習で、まだ滑走の感覚が十分につかめていないのでバックフリップはやめときました。

 ということでやや消化不良。帰宅して、夕食をとった後、40分間、ジョギングしました。

 土曜日は実家に帰って農作業、日曜日はジョギング大会です。
 仕事がちょっと一段落したので、今日はひさしぶりに仕事帰りのトランポリンに行きました。だいたい週に1~2回は行っていたのですが、8月は今日が初めてです。

 間が空くとやっぱり感覚が狂います。膝OA(変形性膝関節症)のリハビリのために毎日欠かさず行っていたスクワットも最近は滞りがちになっていました。

 基本ジャンプを繰り返して感覚が戻ってきたところで、ずっと壁になっているキャットツイスト(背落ちジャンプ1回捻り)の連続20回の練習に入りました。最近、3~4回連続は問題なくできるのですが、そこから先が続きません。どこに問題があるのかわからなくて、迷子になりかけていたところでした。

 そこに今日はありがたいことに鯉住コーチが登場。最近、持ち場が変わって、仕事が忙しいそうです。何カ月ぶりかで、キャットツイストを見てもらいました。

 その結果、

 ・ベッドに着床しているとき、上半身が上がりぎみである
 ・それは、あごを引いていることによる(あごを引いているというより、顔がうつむいていると言った方がいいかもしれません)
 ・頭が下を向いていることにより、上半身が上がりぎみになって、体が曲がっている
 ・足を蹴る方向は悪くない

という診断をしていただきました。

 首が曲がらないよう気をつけて、もう1回。伸ばそうとしすぎて失敗しました。失笑。

 次に順番が回ってきたとき、上半身から頭にかけてをもっと自然にまっすぐに伸ばして、1回転、また1回転、また1回転、もう一つ1回転。今度はスムーズに回れました。まだマスターはしていませんが、今後の練習の方向性はつかめたように思います。

 やっぱりコーチしてもらうと全然違いますね。一人で練習していてもなかなかうまくなりません。コーチが来てくれたときには、せいぜいアドバイスしてもらうようにしようと思います。
 毎月1回掲載の「歴史の鍵穴」は今月20日夕刊(夕刊のない地域は翌日の新聞)に掲載されました。今年2月の回で、伊勢神宮と出雲大社を結ぶ線上に平城京が位置することを指摘して以来、半年間、この問題を扱ってきました。今月は聖武天皇が「彷徨五年」の最後に都とした紫香楽宮の位置について考えました。これで飛鳥・奈良時代の都について一通り、言及することができました。

歴史の鍵穴:聖武天皇の紫香楽宮 丹後と伊勢つなぐ線上に=専門編集委員・佐々木泰造


 これに先立つ、14日朝刊に、階段ピラミッド形の大型方墳であることがわかった奈良県明日香村の都塚古墳について解説を書きました。今月はなんだかんだで忙しかったですね。

奈良・都塚古墳:階段状だけでなく基壇の上に築かれた墳丘


18日朝刊にも書いています。
ニュース再生:ピラミッド形・都塚古墳の被葬者は? 蘇我氏「初代」稲目か

 昨日(23日)、京都・西京極のわかさスタジアム京都で全国高校野球選手権大会京都大会を観戦しました。ぼくの母校である京都府立綾部高校が準々決勝に進出し、強豪、龍谷大平安と対戦したのです。

 試合開始は午前8時半。10分遅れで球場に到着しました。入場料が一般700円と聞いて、同行した妻は「地方大会なのに入場料がいるなんて信じられない」。ぼくが出場するのは、モーグルやトランポリンといったマイナー競技の下位大会や市民大会なので、もちろん入場料はありません。その感覚に慣れてしまったのでしょう。

 ぼくは綾部高校野球部OBです。といっても在籍期間はわずか半年。2年の秋から3年の春まででした。それはこういう事情からです。

 小学生のとき、夏休みは毎日、ため池で泳いでいました。水泳が好きだったのですが、中学にはプールはありましたが、水泳部がありませんでした。小学生のとき遊びでよくソフトボールをしていて、野球も好きだったのですが、中学校の野球部の練習には緊張感が感じられなかったので、剣道部に入りました。

 高校では水泳部に入りました。ところが高校には水泳部はあるのにプールがありません。小学校のプールを借りて練習するのですが、水が漏れていて、平泳ぎをすると、ももがプールの底に当たってこすれます。クロールは手が底に当たってしまいます。水泳部員はもともと少なかったのですが、みんな練習に来なくなり、秋になるとすることもなくて、誰も練習にきません。ぼく1人で練習していたのですが、2年の秋は親友がいた野球部の練習に混ぜてもらっていました。

 そうするうち野球部のコーチから「中途半端なことをしておらず、ちゃんと野球部に入ったらどうか」と誘われて、野球部に入ったのです。

 水泳部ではパンツ1枚だけあればすみましたが、野球部では道具がいろいろと必要です。親はぼくに勉強をさせる気はあっても野球をさせる気は全くなかったので、道具を買ってくれとは言えませんでした。ありがたいことに、部員のみんながいらなくなった道具をくれました。練習用のユニフォーム、ストッキング、帽子、グローブ、スパイクと、全部、もらったもので一式調達することができ、親にはベルトだけを買ってもらいました。

 それで2年の秋から3年の春まで一生懸命練習して、レギュラーまであと1歩というところだったのですが、3年になって大学受験が近づいてくると、親から野球をやめて、勉強に専念するようにと言われました。ぼくに入部を勧めた野球部のコーチは、ぼくが難関校を目指していることを知らずに入部を勧めたのですが、3年の春になってそれを知り、「それなら野球部を辞めて勉強に専念した方がいい。将来のことを考えたら、野球をするより、大学に合格することを考えるべきだ」と言いました。それで、野球部を辞めることになったのです。ただ、コーチの特別の計らいで、野球部を辞めても野球部のボックスにはそれまえでと同じように出入りし、ほとんど野球部員と同じ扱いをしてもらっていました。

 ぼくの学年の野球部員はぼくを含めて5人、1年下も5人でした。3年の春にぼくが辞めたので、3年の夏は3年生が4人、2年生が5人で、1年生が6人くらいいたように思います。監督は家業の酒店の仕事があるので、毎週水曜だったかに1回しか来ません。コーチは大阪在住で仕事があるので、月に1回も来ません。ほとんどの日は選手だけで練習します。

 人数が少なくて、よく負けていました。ぼくが入る前のことですが、選手が9人しかおらず、1人が負傷退場して、代わりに出場する補欠選手がおらず、放棄試合になったこともあったそうです。

 ところが、ぼくが辞めた直後から勝ち始め、3年の夏の大会では、9回2死からの逆転で勝ち上がり、ベスト4に進出しました。ぼくは西京極球場(現わかさスタジアム京都)に観戦に行き、ネット裏の席で、コーチと2人で見ていました。最後の準決勝では、相手の宮津高校の投手が軟投の苦手なタイプだったそうで苦戦していました。ぼくの親友だった3番、ショートが、2塁牽制のベースカバーに入った際、牽制球がスパイクに当たって跳ね返って顔に当たり、負傷退場し、残念ながら、連日の逆転劇はなりませんでした。

 あの夏から39年。ぼくは会社に入ってから、松江支局、神戸支局、大阪本社社会部で高校野球の取材をしましたが、結婚した翌年の夏を最後に野球の取材からは遠ざかりました。野球を生で見るのは、今回が29年ぶりでした。

 39年前と同じように、ネット裏に座って観戦しました。1塁側の綾部高校野球部は、部員がずいぶん多くなったようです。ぼくらのときはほぼ全員がベンチ入りしていたのですが、大勢の部員がユニフォーム姿でスタンドから声援を送っていました。

 試合は序盤は互角でした。しかし、平安は体格からして違います。打球の速さが違いました。平安が序盤のチャンスをきっちりとものにしたのに対し、綾部は3回1死満塁のチャンスが生かせず、無得点に終わりました。ダブルプレーにすべきところができなかったり、外野への飛球で捕球のスタートが遅れたりと、基本的なプレーの小さな違いの積み重ねが7-0という大きな点差となって、7回コールドでの敗戦となりました。

 地力の差を見せつけられた形ではありましたが、力の差は点差ほどにはなかったようにも思いました。右翼線ぎりぎりの大飛球を好捕するなど随所に好プレーも見せてくれました。京都府北部の田舎で生まれ育った選手たちが、大都会の選りすぐりの選手と堂々と戦いました。来年、再来年と、また後輩たちが活躍してくれることを期待しています。