やっとだ、やっと出発出来る。
俺は今日、全国に出発する。
俺、小林龍輝の為に、そして、
励ましてくれたみんなの為に。
「龍輝くん、時間だよ。」
諫早先生が焦りながら声をかけてきた。
「わかってますよ。」
俺は全国に行く喜びを隠しながら言った。
「念のために言っておくけど、
きょうは、参加選手は練習しなければいけないから、動ける格好になっておいてね。
ホテルにはそのあと向かうから。」
先生はそういい、駅に向かった。
落ち着いて行こう。
今日おちつけなきゃ、明日はもっと落ち着けないぞ。
自分にそういい、俺も駅に向かった。
その後、すぐにきた電車に乗り込んだ俺達はそのまま寝てしまった。
「.........輝くん、龍輝くん。着いたよ。」
もう着いたのか。
速かったなぁ。
「龍輝くん、すぐ着くから準備して。」
焦った口調でそういう先生を見ながら、俺も荷物を上の棚から降ろした。
そして、電車から降りて、練習場所に向かった。
タクシーを拾い、着いた競技場で先生と俺は別れた。
監督会議があるらしく、急がなければいけないらしい。
俺は競技場に向かう途中の道で
たむろしている六人が目に入った。
普段だったらそんな集団無視していたが、話している奴等が問題だった。
霧川虎王や堅石陣など先生が紹介してくれた、日本小学陸上界の代表とも言える六人なのだから。
「.........でさ、昨日さ、」
一番だらしない格好をして今、話しているのは大沼亮だろう。
「それも神の思し召しだよ。」
十字架を首に掛けている、神父の様なやつは、神山武みたいだ。
「.............興味無し。」
無口でどっちにもでかい男、堅石陣が無愛想に答えている。
(かかわるとめんどくさいな。)
そう思い、相手もさして気にしていない様だったので、俺は横を通り過ぎとした。
そのとき、俺は、いや、
俺らはお互いの力を感じあった。
俺はその六人の強大なる力を、
六人は俺の異質な力を。
「おいそこのお前。」
無駄にかっこいい男、霊河颯が俺を呼び止めてきた。
「何だよ。」
めんどくさいが一応答えた。
「気付いていますよね。」
影が薄く気づかなかったが、俺の横に咲森順がいて、話しかけてきた。
「何の事か俺にはわからないな。」
嘘でとりあえず返しておいた。
「神の前で嘘はつけないよ。」
神山がそういいながら近づいてきた。
「お前らも気付いたんだろう。」
大沼がヘラヘラしながら言っている。
「................当然。」
堅石が相変わらず無愛想にこたえている。
「そりゃ、あんな馬鹿でかい力なら気づくであろう。」
上から目線で霧川虎王が喋ってくる。
「私には遠く及ばないがな。」
そう続けて喋った。
「あんたらは俺の事を知らない見たいだから、教えてやるよ。
俺は、《勝負師》小林龍輝。
お前ら全員を倒して全国優勝をしにきた者だ。」
俺は宣戦布告をしてやった。
「ほう、王を倒せるつもりできたか、
その心だけは買ってやろう。」
そう虎王が偉そうに言うと、
神山が、
「神をも恐れぬ言葉だね。
でも神によって結果はすでに決められているから。」
と努力など無駄と言うニュアンスで言い、竪石と霊河は
「..........無駄。」
「無理に決まってるだろ。」
と先ほどの虎王の様に俺を否定してきた。
ただ、大沼と咲森は、
「精一杯頑張ろう。」
「大丈夫ですよ。」
と励まし応援してくれた。
なにはともあれ宣戦布告をしてしまった。
もうあとには引き下がれない。
だから、前に進んでやる。



諫早先生、この学校に赴任して3年目で
30前ぐらいの若い先生だ。
陸上を中学、高校、大学とやっていて、全国にたびたび出ているすごい先生だ。
短距離も長距離も中距離も早く走れるオールラウンダーな人と最初の自己紹介のときに言っていた気がする。
前に驚いたのは、長崎に住むおじさんが先生の事を知っていたという事だ。
おじさんは、
「諫早か、全国でもトップクラスの選手だったんだがな、膝の故障で現役を引退して、先生になったと言っていたなぁ。
そんな人がまさかお前らの学校の先制だとはな。
色々と教われよ。」
と言っていた。
俺は、そんなすごい先生に教わり、今日から、全国に向けての練習が始まる。
「龍輝くん。」
諫早先生が呼んでいる。
「はい、何ですか?」
俺は、普段通り答えた。
「一回100mを走って見ないかい?」
諫早先生は何か気になってい事があるみたいに話してきた。
「いいっすよ。」
俺は、そっけなく返した。
「じゃあ向こうで走ろう。」
先生はそういい、俺は100mのタイムを測った。
結果は微妙、正直言えば、若干悪い。
「やっぱりね。」
先生は悪い予感があたったような顔で言った。
「やっぱりってどういう事ですか?」
俺は、疑問に思ったところをズバリ聞いてみた。
「君の走りには欠陥があるという事だよ。」
その言葉に俺は、
「欠陥てなんなんですか?」
と悔しい気持ちを抑えながら言った。
先生は、淡々と
「欠陥。それは競争でないと力が出ないということだ。」
と言った。
薄々気付いていた。
風邪とかで休んだりして、一人でタイムを採ると決まって悪い。
それを病み上がりだからと言って、
理由をつけていたが、今日に限って、どこも悪くない。そしてタイムは悪い。2つを関連づけた答えをはっきりともらってしまった。
「《勝負師》とでもいうべきだろうか、誰かとの勝負によって力を発揮するタイムなのかな?幸いにも今度の大会は一人で走る機会はないが、中学で
部活をするなら、ウィークになるところだから直して置いた方がいいね。
さあ、練習を続けよう。」
先生に地獄と天国を見してもらった。
(中学で困るのか。でも、今度の大会に関係ないならいい。)
そう思い俺は練習を始めた。
走り方や筋トレなどで力をつけていった。
そして、残り一日となった。
先生は練習後、
「龍輝くん。君はこの2週間で格段に早くなった。あとは自信を持って望むだけだ。
僕からいう事は、きみはとても速い
だから、時の壁を超えるんだ。
その先に未来は輝いているはずだからね。」
といって俺を、勇気づけてくれた。
俺は、
「超えてみますよ。
俺が《勝負師》である限りは。」
と心から答えた。
先生はその言葉に笑顔で答え、
最後にあしたの予定を伝えて、帰って行った。
いよいよあした俺は全国に行く。
まだ見ぬ奴らを倒しに俺は全国に行くんだ。
待ってろよ。
翌日、登校路でばったりと勇介にあった。
「りゅー、おはよー。」
「勇介か、おはよー。」
「りゅー、出るか、出ないか決まったのか?」
「ああ。」
「そうか。お前のことだ出るんだろ。」
「ああ。出る。そして優勝してやる。」
「リュキ、おっはよー。」
「麗奈、今日は速いな。」
「うん。今日は、優菜に起こされたの。」
「その優菜は?」
「リュキの後ろだよ。」
「何!」
振り向いた瞬間、後ろに優菜がいた。
「おはよう、龍輝くん。」
「相変わらず、すごい身のこなしだな。」
「褒めてもなにもでませんよ。」
「もう良くなったのか?」
「ええ、私の精進が足りず風邪を引いてしまっただけですから。」
「そうなのか。ああそういえば、麗菜、」
「何?」
「昨日はありがとう。」
「何の話?」
「別になんでもないんだ。
ただお礼を言いたかっただけだから。」
「フーン。」
「りゅー、れい、ゆう、急がないと学校遅れるぞ。」
「わかってる。いくか。」
「そうだね。」
「そうですね。」
そういって俺たちは、学校に向かって走って行った。
学校に着いた俺らは、ふつうに授業を受けていた。
そうしたら、校長の呼び出しがかかった。
「ピンポンパンポン、
生徒の呼び出しをします。
六年一組 小林龍輝くん、
至急、校長室まで来なさい。」
「また、呼び出しだぞ。りゅー。」
「いってらっしゃい。」
「いってらっしゃいまし。」
「じゃあ、行って来るよ。」
舞台変わって校長室
「龍輝くん、決めてくれたかね?」
「はい。僕は全国に参加します。」
「ありがとう。それでー、諫早くん。
来てくれ。」
「はい。これですね。」
「ああ。龍輝くん、これは全国で強敵になりそうな者を諫早くんに言ってリストアップしたものだ。」
「ありがとうございます。」
「詳しい事は諫早くんに聞いてくれ。」
「わかりました。」
「じゃあ私はこれで。」
「ありがとうございました。」
「諫早先生、それでどのこが、」
「どの子も強敵なんだが、特に目を引くのは、石川県の大沼亮、静岡県の神山武、東京都の咲森系、島根県の竪石陣、香川県の霊河颯、あと一番才能があると思われてる、鹿児島県の霧川虎王、この辺りじゃないかな。」
「詳しい事は、この資料に書いてあるんですね?」
「ああ。」
「ではこれをもらって行ってもいいでしょうか?」
「いいよ。ぜひ研究してくれ。」
「ありがとうございます。僕はそろそろ授業の戻りたいので。」
「ああ帰ってもいいよ。
頑張れよ。あと出発は2週間後だから。」
「わかりました。では、しつれいしました。」
そういって校長室をおれはでた。
待ってろよ。俺がお前らの翼を折ってやるからな。
、、、試合開始まであと2週間。