レースが終わり、
オレは、














勝利した。
一回戦からビデオ判定をし、
胸一枚分、おれの方が先にゴールしていた。
「うぉーーー!」
オレは、初勝利のその想いを声に変え、息の続く限り叫んだ。
「.........負けか。」
堅石が、ため息混じりに呟いた。
「貴方、やはりやりますね。」
咲森もそう言い、
「けれど、準決勝では、こうはいかないですし、決勝には、霧川くんもいますしね。
ここから先は、いくら君が勝負師と言っても、勝ち残れる世界でわないかもしれません。
それでも、優勝するというんですか?」
と続けた。
「当たり前だろぅ。
勝負師は、何事にも諦めちゃいけねえんだ。
サイコロの目が、きちんと出るまではな。
もう、賽は投げられたんだ、
後には引いちゃいけねえよ。」
オレは、強い覚悟の元、そう言った。
「あっはっはっは。
やはり君は面白い。
気に入った。この大会で、
これから君の手伝いをさせてもらいたい。いいかな?」
咲森は、そう明るい笑顔で言った。
「頼むぜぇ。
それなら、自己紹介を改めてさせてもらおう。
オレは、小林龍輝だ。」
片手を差し出しながらそう言った。
「こちらも改めて、《見えざる森》
咲森系です。よろしくお願いします。」
そう言い、オレ達は、握手を交わした。
「《見えざる森》?
何なんだそれは?」
オレは、その後、トラックを出ながら、疑問を聞いてみた。
「通称ですよ。
私の本質は、気配の無さ、
それを端的に表したものですよ。
当然、他の人たちにもありますよ。
大沼くんは、《だらしない英雄》
神山くんは、《十字を抱く者》
堅石くんは、《鉄壁の長城》
霊河くんは、《普通の異常者》
最後に、霧川くんは、《絶対暴君》
それぞれの県での通称でもあるね。」
系は、そういいながら、少し顔色が悪そうだった。
そうして、ふっと消えた。
「はっ?」
突然のことで何がなんだかわからないオレに、
「わかりましたか?」
と、系が肩に手を置きながら、言ってきた。
「私の本質の力ですよ。
と言っても、もともとの影の薄さに
爺さんに習った、マタギの術を重ねさせたものですがね。」
と笑いながら言った。
「分かった。」
呆れながら俺は言った。
「奴らも、こういう風の力があるのか?」
オレは、気になるところを尋ねた。
「力では無く、本質ですがね。
そろそろ私はこれで。」
そう言って、系は、そのまま消えた。
(さて、アップをしないとな。)
そう思ったオレは、会場の外で、先生に言われた、UPをしながら、試合を待った。
「間もなく準決勝です。
出場する選手は、集合場所へ集まってください。」
招集のアナウンスが聞こえ、
アップも終わりだったので、オレは、
すぐ向かった。
招集場所では、大半が待っており、
大沼と霊河もすでにいた。
「逃げずにきたか。」
霊河がそう言ってきた。
「逃げると思ったのにな。」
大沼はそういい、オレを馬鹿にしてきた。
「逃げねぇよ。
龍が逃げるのは、他人のためだ。
自分の死を恐れて逃げやしねえよ。」
軽く頭に来たオレは、怒りを抑えそういった。
「まあ、全ては試合に中で決まる。
油断するなよ。」
霊河がそういうと、
待っていたかのように、俺らの番がきた。
その後は、何一つ会話すること無く、
スタート位置につき、ピストルの音と共に、レースが始まった。
先ほどのレースよりもオレの体は良く動いた。
上半身が力強く動き、下半身がそれにつられ、早く回転して行った。
霊河と大沼も横を、同じぐらいのスピードでかけて行く。
俺が出ようとすると、奴らも出てくる。
そして最後の10mもう一度かけたダッシュで、奴らを突き放し、そのまま、
一位でゴールした。
今度はそんなに喜びも無かったので、
そのまま、立ち去ろうとすると、
背中に、闇や、悪意などの黒い力を感じた。
誰から出ていたかも、明白だった。
それは、次のレースで、一位を爆走している、奴だった。
今日、大会が始まる。
オレは今、俺の体を支配している。
いつもだったら、俺の体を支配しているのは、俺だ。
しかし、負けたくない時に俺はオレを出す。
俺には、才能を7割ぐらい使う事ができるが、それ以上の力は発揮できない。
その為、今発揮できる力をを十割、いや、
十全使えるオレを出すんだ。
その代わり、普段の生活は全て俺に任して、オレは、心の中で眠っていなければならない。
そのおかげで、俺は普段、オレとなる事なく暮らしている。
しかし今日は違う、昨日の約束通り
今日一日はオレが体を支配できる。
そうでもしないと奴、霧川虎王に勝てないからな。
体を支配すると言っても、
いつものような一時的な支配では、
普段、体を使わない分、力を使いきれなく、全力が出せないが、
半日体を、オレに合わせることで今の
能力全てを発揮できるようになる。
それだけ力を出しても、奴には勝てないかもしれないがな。
朝起きたオレは、
早朝ランニングをし、体を最低限動くようにして朝食を食べたあと、会場に向かった。
会場では、すでに奴らが待っていた。
「.......出たか。」
堅石が気付き、そう話しかけてきた。
「今日はお互い初戦で当たりますね。
頑張りましょう。」
咲森にまた背後を取られ、そう話しかけてきた。
「こいつらを勝ち抜いても、次は俺らだろ。優勝何て無理だってことに気づいた?
まぐれが2度や3度つづくほど、
陸上は甘くねえんだよ。」
大沼がだらしない格好のまま、
そう嘲笑ってきた。
「やるだけ無駄だな。」
霊河もそういいそのまま黙り込んだ。
「大沼くん、まぐれなんて存在しないんだ。全ては神の計画のまま、出来事が進んでいるんだ。
彼が勝つか、僕らが勝つかもね。」
神山が少しイラつきながら、大沼に対してそういった。
「おい、大会が始まりそうだいくぞ。」
霧川がそう言い、奴らをまとめ、そのまま会場に入って行った。
俺は、そのまま少しの間、震えていた。
「どうしたんだい。
今更緊張してきても、大会は待ってくれないよ。」
背後から諫早先生が突然言ってきた。
「違いますよ。
武者震いですよ。
あの6人の鼻っ柱を叩き折ってやれると思うと、嬉しくて。」
と喜びに酔いしれながらオレはそう言った。
「? 昨日は緊張してたみたいだけど、乗り越えたのかな?」
諫早先生が不思議がりながらそう言った。
「ええ、今は一刻も早く戦いたくてたまんないんですよ。」
オレは、ウズウズした気分でそういった。
「いいことだね。
さあいくよ、開会式が始まりそうだよ。」
諫早先生はそういうと、前に向かって歩き出した。
「ええ。」
オレはそう言って、諫早先生の後ろを歩き中へ向かった。
退屈なだけの開会式が終わり、
予選が始まった。
おれはF組なので、軽くアップするだけですぐに順番がきた。
こうなると、
朝に走ったのが、有利に働く。
次にオレの順番がくると、
いう時に突然、
恐怖が体に飛んできた。
オレは心の力で打ち破り、周りを見ると、奴ら以外は全員顔が青くなっていた。
「......,耐えている。」
堅石が、驚いた顔でそう言った。
「只者では、ないですね。」
やはりというように、咲森も呟いた。
「お前らの...」
仕業かと聞く前に、順番が来た。
「位置について、
ヨーイ、」
この時オレらの思考はリンクしていただろう、
ただ勝つということに、
始まりの銃声とともに、
オレは飛び出した。
二人はオレにカンマ一秒遅れ、スタートした。
(上手くスタート出来た。)
おれはそう思いながら、
そのままの勢いで飛び出すが、
奴らにとっては、そんな刹那の差など関係ないようにまるでプライドを傷つけられた狼のように、誇り高き目をギラギラさせながら追いかけてくる。
(負けてたまるか)
奴らに負けたくない。
その一念で
奴らに負けることなく、オレは必死に竜としての誇りを持って真剣に、
走った。
ゴールがすぐそばまで来た。
奴らとオレは横一線、
そしてゴール、
勝者は...,
俺はその後、練習を終え、諫早先生と一緒にホテルに向かった。
ご飯を食べたり、お風呂に入って
寝るばっかりにした、
そして明日の日程を話したあと、
今日の奴らとの出会いについて話した。
「なるほどやるじゃないか。」
見栄を切った時の話を聞いた先生はそう言った。
「やるじゃないかってどういう意味ですか?」
疑問に思った俺はそう聞いた。
「あの子達相手に、見栄を切るなんて
普通はできないんだ。
何故なら、あの子達の力に恐れを抱いてしまうからね。
でも君は飲み込まれず、あの子達と同等に渡りあった。
それだけで相当すごいと思うよ。」
先生は関心しながらそういった。
「知らず知らずの内にそういうのをまとっていたんだ。」
俺は先生の話をそう理解した。
「龍輝くん、これが明日の組み合わせだよ。」
先生はそう言って俺に白い紙を渡してきた。
「先生これって、まさか。」
見た瞬間に背すじに汗が走りついそう言ってしまった。
「そのまさかだよ。
予選は、一レース8人で走るけど、その中に先ほどの六人の中の二人、咲森系と堅石陣に当たるね。
でもそれだけ、じゃない。
次の準決勝では、霊河颯と大沼亮と当たるし、決勝では、残る二人の神山武と霧川虎王に当たるよ。」
淡々と先生は語った。
「つまり、一戦でも気を抜いたら、その時点で負けってことさ。」
そう続けて。
俺は、
「それってかなりまずくないですか。」
と青ざめた顔で聞いた。
「これだったら大丈夫だよ。
初戦や準決勝で霧川くんに当たる。
僕が考えた中ではこれが一番最悪なシナリオなんだからね。
君も知ってると思うけど、この大会は
予選、準決勝、どちらも一位でないと通過できないだろ、
霧川くんが来る。それだけでもうそのレースは決まってしまうんだよ。
そこまでの影響力を持つものが王の名をもつんだよ。
でもかれに当たらないんだ。
確かに他の強豪達も強いけど、予選や
準決勝でなら、体があったまる前で
しかも、彼らは予選や準決勝の前にウォーミングアップなしで望むから
君だったら勝てるんだ。」
先生はそう熱く語った。
「ウォーミングアップなしで望んで勝てるんですか?」
緊張しながら先生に尋ねた。
「あぁ。彼らのチカラに呑まれてしまうと、とてもじゃないけど力は出せないいんだ。
その力に耐えれるやつなんてあの6人を除くと君ぐらいしか小学生ではいないはずだよ。
だから、君はキチンとウォーミングアップしなきゃいけないんだけどね。
さあ、今日はきちんと寝よう。」
そう言って先生は、自分のベットに入り寝てしまった。
「明日なのか。」
一人、布団にくるまりながら俺はそうつぶやいた。
(やっと、やっと戦いの日がきた。
俺の龍の血があいつらの血を求めている。)
そう前に言った問題点というのがこれ、《二面性》。
普段は普通なんだが、戦いの日の前になると、俺の本性である龍の血が目覚めて、このような凶暴性がでてしまい、若干、中二でもないのに、中二病を疑ってしまう。
(久方ぶりのうまそうな血を持っているやつと出会ったもんだな。)
頭の中のもう一人のオレはそう話しかけてきた。
(相当身体能力が高いんだろ。
才能あるもの達のようだしな。)
そう俺は答えた。
(ああ、あそこまで精製された血を持つものも少ないがな。
一番うまそうな血は神山ってやつだな。)
オレがそう言ってきたので俺は、
(霧川じゃないのか?)
と疑問に感じたので聞いて見た。
(奴の血は、宿り血だ。
虎のな。)
訳わかんなかったので意味を聞いて見た。
(宿り血?)
すぐにオレは応えた。
(宿り血ってのわ、お前の中のオレのように血に獣が宿っているんだ。
オレは竜、奴は虎だろ。)
呆気に取られたがすぐに普通に戻った俺は、あいつの中にも何かがいると理解した。
(明日はそれならお前じゃなきゃやばいな。
普段だったら嫌だったけど、この大会に関してはお前に任せた頼んだ。)
と俺はオレに頼んだ。
(わかった。)
オレはそういいねた。