PikuminのCancer Staging Manual

PikuminのCancer Staging Manual

がんのステージングは治療や予後判定において極めて大事なものです。

がんのステージングに興味がある医療関係者と一般の人に役に立つ情報の乗ったページにしたいと思っています。


HPとして読む場合は、序文General Rule補足ルール臨床用Stagingと統計用(がん登録用Staging)の違いOne Point TNMアンケート結果臓器別 をクリックしてまとめて読んでみてください。始めてきた人は序文 からどうぞ。

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http://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307203494


* 内部の専門家にしか理解不能な異形成と上皮内癌の規定

* 世界中でTisとしているTisを、pT1a-EPとわざわざ書き換える不見識

* そして、食道の2カ所に癌がある時。たとえば、Ce: T1, LN104への転移とAe: T2, LN20への転移がある2重癌の場合、定義上AeからのLN104への転移/N4になるので, T2N4M0, StageIVaになるという不条理な規定が前版のままのこっっていることなど


(最後のは最悪)

食道学会が勝手に作っているもののなので、非学会員が使う謂れはないのであるが・・・

誤解している人が多いようなので一言
縦隔の脂肪織に浸潤があっても簡単にT4としてはいけません。

確かに、『縦隔脂肪織(mediastinal fat)はT4』と書かれています。
しかし、これは縦隔に深く浸潤してるけど、気管や大動脈と言った特定の構造物への浸潤があるわけではない場合、臓器名を言えないので『脂肪織』と表現しているのです。これは確かにT4でいいでしょう。
しかし、縦隔胸膜はT3です。胸膜というのは決していっそうの中皮と膠原線維を指すわけではありません。肺が滑らかに動けるためにあるものです。中皮と膠原線維かで胸膜に弾力を与える脂肪組織も重要な縦隔胸膜の一部分。どこで、T4の『縦隔脂肪織』とT3の縦隔胸膜の支持固有組織としての脂肪織を分けるのかは確かに難しい・微妙なところですが、簡単に言うと『一緒に問題なく切れるなら縦隔胸膜の一部でT3』です。
私の書いていることが正しい証拠に、心嚢膜への浸潤はT3。縦隔にある脂肪織に浸潤があれば何でもT4なら、これは矛盾していることになる。

基本、T4は切除不能なものがこれに当たる・・・切れる外科医やケースもあるでしょうが
Tis carcinoma in situ: intraepitheial or invasion of lamina propria

これを読んで、『大腸癌は浸潤のあるものもTisにしている。矛盾だ。』と言う人がいるが、大きな間違い。

:(コロン)は=と言う意味です。
Carcinoma in situ≠上皮内癌
Carcinoma in situ=単純切除で生命の危険がない、転移しない と言う意味なので

大腸癌Tisの定義は、
『Tis(大腸癌で転移リスクのない病変)=上皮内の腫瘍あるいは粘膜層に浸潤が止まるもの』という意味です。
さて、子宮頸癌シリーズです。
子宮頸部では組織学的な浸潤径や浸潤の深さがT1a1-b1を分ける決め手になります。

しかし、円錐切除の広げ方が悪かったり、手術標本の切り出し方が、長軸方向や粘膜面との垂直方向とずれると、測定が狂ってきます。

長軸方向とずれると浸潤径の長軸サイズが過少になる恐れがあり
垂直方向とずれると浸潤の深さが過大になる恐れがあります。
その基準の境目は3mm、5mm、7mmだからちょっとした軸のずれで変わってきます。
Tが変わるとmodalityが変わるので、気をつけましょう。

子宮頸癌取扱い規約 の11pに
『今回の改定で鼠径上リンパ節は子宮頸癌の所属リンパ節より除外
された。たたし、UICC分類では、TNM分類でMとされるリン
パ節転移は鎖骨上リンパ節、縦隔リンパ節、傍大動脈リンパ節で、
鼠径上リンパ節に転移が認められた場合でもM分類には入れない』
(大意)
と書いています。

これは奇妙です。


と言うわけで、AJCCをみると『M1 IVB  distant metastasis (including peritoneal spread, involvement of supraclaviclar, mediastinal, or paraaortic lymph nodes, lung, liver or bone)』と書いています。
これを誤読したんですね。確かに鼠径リンパ節への転移は珍しいは
ずです(自験例で円錐後鼠径に飛んだのが1例ありますが)。
しかし、上の文章は転移先を例示しただけ。
これ以外は転移と認めないとは書いていない。
だって頸癌では頻度はさほどではないものの予後の悪い転移の王様
『脳転移』を転移じゃないと考えるなんてありそうもない、肺・肝
・骨についで僅差で転移先上位に入る実質臓器腎・副腎への転移が
転移じゃないなんてこともあり得ない。

病理学会に行っておりました。
院内がん登録が病理医の関与しなければならない業務という感覚は広がっているようですが、力の入りすぎはダメです。
ICD-0コードとかは懲りすぎて時間をかけても無意味ですし、TNM分類の微妙~~~なところは私のような好事家に任せておけば良い。
組織コードは大枠(肉腫か癌か、腺か扁平上皮か、など)、TNMも大枠(cなのかpなのか、T1以下なのか、進行しているのか、TNなのかMなのか、など)が抑えられたら良いのではないかと思っています
細胞学会 『UICC-TNM分類入門』記念

さて、細胞学会と言えば、婦人科医と細胞診検査士と病理医
婦人科医のためのUICC-TNM分類もやらないといけない。

では
FIGOの頸癌分類はclinical分類。
『術前に決定して病理診断・手術所見を見て変えてはいけない』『リンパ節はステージングに入れない』『PETとかMRIとか参考にしちゃダメ』とかいろんなルールがあることを知っている人は多いと思う。(最後のルールを厳密に守っているかどうかは知らない)

しかし、CIN3/Tis (またはpT1a)と思って、切って病理診断書が帰ってきたらpT1a(またはpT1b)だったというときには、『術前に決定して病理診断・手術所見を見て変えてはいけない』というルールを破って、FIGOIAまたはFIGOIBとなる。

では、clinical なFIGOはIA or IBになるとして、clinical TもcT1a or cT1bになるのか?
いや、UICC-TNMは一事不再理なのでcTisのままです。cTis/pT1a or pT1bとなります。

知りすぎないと悩まないトリビアでした

院内がん登録実務者、院内がん登録実務初級者、

今はやってないが将来がん登録実務をやりたい人、

「がん登録が法制化されるらしいけどどうしたらいいの?」と思っている病院関係者、UICCやその他のルールで困っているDPCや医事の担当者、

腫瘍登録票の出し方がわからなくて困っている医師、これを機会にがん登録ってなにか勉強したい人、何か興味があることを探している学生・・・

そんな全ての方に!がん登録の基礎を一日で確認できる愛媛で唯一の機会です。

日時:平成25831日(土) 1000分~1700分(受付 930分~)

場所: 四国がんセンター研修室

参加費:無料
事前申込みなしでもご参加いただけます

事業名:愛媛県がん患者・家族支援推進事業

主催:院内がん登録実務者研修会

後援:愛媛県医師会

問い合わせ:四国がんセンター・患者家族総合支援センター・がん登録支援室

Tel: 089-999-1172, E-mail: cr@shikokuーcc.go.jp(倍角にしています)

プログラム

1:はじめに 

寺本典弘 愛媛県がん診療連携拠点病院連絡協議会がん登録専門部会

10:00~10:05

2:駆け足で見るがん登録の基礎-がん登録概論と標準登録様式とICD-O

白岡佳樹 四国がんセンター

10:05~10:50

3:腫瘍登録票記載のポイント

西森京子 四国がんセンター

10:50~11:00

4:がん登録に関係する肺がんの全て-疫学・診断・治療・TNM・組織型

須原麻砂江 県立広島病院
和田崎晃一 県立広島病院

11:00~11:55

(昼食)

5:がん登録に関係する肝がんの全て-疫学・診断・治療・TNM・規約進行度・組織型

末光純子 愛媛大学医学部附属病院

井上武 愛媛県立中央病院

13:00~13:55

6:がん登録に関係する胃がんの全て-疫学・診断・治療・TNM・組織型

栗原誠 東北労災病院

武者宏昭 東北大学病院

13:55~14:50

Coffee break

7:がん登録に関係する大腸がんの全て-疫学・診断・治療・TNM・組織

比嘉初枝 沖縄県立中部病院

上田真 沖縄県立中部病院

15:05~16:00

8:がん登録に関係する乳がんの全て-疫学・診断・治療・TNM・組織型

佐藤千恵 順天堂大学医学部附属浦安病院

中村力也 千葉県がんセンター

16:00~16:55

9:終わりに 愛媛県のがん登録の現状と未来

寺本典弘 

16:55~17:00


PikuminのCancer Staging Manual-poster



UICC-help deskの返事を受けて記載を変更します

pN1cは『tumor deposit without regional lymph node metastasis』と記載されています。




大事なポイントは、(1)Tumor depositに関する規定であること、(2)リンパ節転移と思

える病変が他にない場合に当てはめられるものであること、(3)

大腸のT1-2に関する規定であること、です。




忘れがちな最大のポイントは、pN1cかどうかは病理医が組織病

理学的に決めるものだと言うことです。

... 臨床医や放射線科医や腫瘍登録士が決めるものではありません。



Tumor depositとは漿膜下に存在するリンパ節構造のないがん結節

のことです。実際には、がんのスキップ病巣、脈管侵襲(V/

pV)、あるいはリンパ節構造が既に失われたリンパ節転移巣のどれ

かと言うことになります。病理医がリンパ節構造の失われたリンパ

節であると考えた場合はリンパ節転移と考えることになっています

。前者であると判断した場合にはリンパ節転移に入れません。



しかし、大腸では、本体の腫瘍がT1-2(SM-MP)の場合に

、tumor depositがあれば、病理医が『リンパ節転移か、スキップか

、脈管侵襲かはっきりしないな』と考えた場合でも、pT1-2,

pN1cとするルールになっています。明瞭なリンパ節転移があっ

た場合はtumor depositは数に入れず、明瞭なリンパ節転移の数のみで、p

N1a, pN1b, pN2a, pN2bに分類します。

なぜ、tumor depositだけならpN1cなのに、リンパ節転移が加われば

pN1aなのかは難しい問題ですが・・・



また、T3-4の場合は、前に書いたスキップ、脈管侵襲、リンパ

節転移のどれかを病理医が決めることになります。しかし、リンパ節かどうか不明で、明らかな脈管侵襲やskip lesionではないと判断した場合、やはりpN1cとなります。実際には判断は難しいでしょう。その点大腸癌取扱い規約のExの方が基準が明示されていてわかりやすいかもしれません。


また、tumor depositをリンパ節転移として数を数えることもありません


(現状)。ま、おそらくtumor deposit1ヶのpN1cより、8つのpN1cの方が予後は

はるかに悪いであろうし、tumor depositの存在はT1~4にかかわらず予後悪化因子らしい

ので、数を数えておけと進められています。

いずれにしても評価の定まらないtemporaryなカテゴリー

と考えられます。

Colorectal tumors: The histology report by Giovanni Lanzaa, Digestive and Liver Disease 43 (2011) によると

“There is no general agreement on the classification of pericolic tumor nodules and probably these new statements of the TNM classification will not be accepted by part of the pathologists. Tumor deposits are associated with unfavourable disease outcome and therefore their presence and number should be separately recorded.”





当然のことながら、cN1cは存在しません。