国立競技場 | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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国立競技場
開場2019年(前身の国立霞ヶ丘陸上競技場は1924年開場)
収容可能人数68000人
アクセス国立競技場前駅(都営地下鉄大江戸線)から歩いてすぐ
千駄ヶ谷駅(JR中央線・総武線)から徒歩5分
外苑前駅(東京メトロ銀座線)から徒歩15分


(写真は、*1が2023年5月20日のリーグワン優勝決定戦、埼玉パナソニックワイルドナイツクボタスピアーズ船橋・東京ベイの試合から。*2が2024年5月26日のリーグワン優勝決定戦、埼玉パナソニックワイルドナイツ東京東芝ブレイブルーパスの試合から)



上:外観(東側)(*1)
下:外観(北側)(*1)

2020年に東京でオリンピックを開催するにあたって、日本の屋外スポーツの中心地となるべく明治神宮外苑に新しく作られたスタジアム。

国立競技場の前身は、1924年に開場した国立霞ヶ丘陸上競技場である(詳しくはリンクを参照)。開場と同時に日本の屋外競技の聖地のように扱われ続けた競技場で、1968年の東京オリンピックでは大会のメインスタジアムとなった。

だが21世紀になると、この競技場も老朽化している印象が否めなくなってくる。トラックが8レーンしかないので、1990年代以降の国際陸連の基準を満たせず、陸上競技の国際大会は主催できなくなった。また、スタンドの上に屋根がほとんどないことから2002年のサッカーの日韓共催ワールドカップのときの会場として使用できず、21世紀に入ってからは国際大会でほとんど使用されていない。そのような事情もあって新しい競技場を作るという機運が生じ、2013年に7年後のオリンピック開催が決定したことも追い風となってこの計画が本格的にスタート。旧国立競技場は2014年に取り壊された。

取り壊しとほぼ同時に建設が始まる予定だったが、計画委員会が最初に選んだデザインで建築すると莫大な予算がかかるということから、計画の再検討を余儀なくされ、起工が2016年まで遅れた。当初の予定では、2019年に日本で行われたラグビーワールドカップのメインスタジアムとして使用する予定だったが、これも撤回を余儀なくされている。国の予算を大々的に投入し、オリンピックを通じて日本が東日本大震災から力強く復興するイメージを国内外に示したいという政府・政権の思惑も実現させたいということもあって、当初よりも起工が遅れたにもかかわらずオリンピックまでには絶対に間に合わせるよう工事の現場には相当なプレッシャーがかかっていたらしく、かなり劣悪な環境での作業を強いられたことが報道されている。

ちなみに、多くのお客さんが入り、都心のど真ん中にあるというアクセスの良さから、旧国立競技場はサッカーやラグビーのビッグイベントの会場として重宝された。旧国立競技場が解体されてからは当然これらのイベントは他の会場で行われることになったが、都心のど真ん中に5万人人集められるこのスタジアムが使えなかったことで、主催各団体はその間のきなみ入場者数の悪化に苦しんだ。「オリンピックで日本を元気に」するために国立競技場の新設を決定しながら、そのせいで毎年行われている人気イベントができなくなり、しかも一度計画を練り直したことで使用できない期間が延び、政府・政権が大々的に喧伝した割には、完成に至るまでのプロセスで様々な粗が目立った。








上:バックスタンドからメインスタンド方向を臨む(*1)
中上:同じくメインスタンドを臨む(やや中央寄り・上の方の席から)(*2)
中下:南側スタンド(*1)
下:北側スタンドと電光掲示板(*2)

基本的に陸上競技の国際大会を主催するためには、競技場に補助トラックがなければならないとされているが、都心のど真ん中にあるということもあってこれを設ける土地がない。1964年の東京オリンピックと1991年の世界陸上を主催した際には、旧国立競技場に隣接されている東京体育館と代々木公園のトラック、そして神宮外苑の軟式野球場に仮設のトラックを敷いて対応しており、2020年のオリンピックでも同様の措置が取られた。ただ、恒久的に補助トラックが設けることが難しそうなので、大会後はトラックを外して球技専用スタジアムにすることも検討されている。陸上競技場に関しては、近隣に横浜国際総合競技場があり、味の素スタジアムも整備すれば陸上競技場になるので、これらでいいではないかという意見もあり、今後の方針が定まっていないところも多い。

開場後は、サッカーの天皇杯やJリーグカップ(ルヴァンカップ)の決勝戦、ラグビーでは日本代表戦や全国大学ラグビー選手権の決勝戦が行われた。2022年にはJリーグの公式戦が何試合か組まれ、ラグビーの早明戦もここで行われるなど、旧国立競技場で行われていたビッグイベントが戻ってきている。また、この年に開幕したラグビーのリーグワンの決勝戦も行われた。

国立競技場は、2023年現在では最大集客人数68000人、3層形式の客席のある陸上競技場である。観戦した上での感想としては、「意外と座り心地が狭い」という印象を受けた。椅子は決して広くはなく、足元のスペースも案外窮屈である。椅子もクッションは付いておらず、2010年代に作られた割に気が利かないところはある。

だが、スタンドの勾配が急な分、上層に座ってもピッチが遠くはならず、しっかりと俯瞰で見えるので、ピッチのアクションは見やすい。むしろトラックがある分、下層に座るとピッチと少し距離ができ、しかも試合が俯瞰で見えなくなるので、ある程度上の方に座った方がいいかもしれない。このスタジアムは屋根もしっかりかかっているので、上層に座れば余程の激しい雨でない限りは濡れることもないだろう。電光掲示板も極めて見やすく、全体的に見れば観戦環境は優秀である。木を使ったデザインや、カラフルな座席の配色など、独特なビジュアルが目を引くスタジアムでもある。




試合の眺め(上が*1、下が*2)

最寄駅は都営大江戸線の国立競技場駅で、A2出口から歩いてすぐ。JR中央・総武線の千駄ヶ谷駅からだと5分ほど、東京メトロ銀座線の外苑前駅や半蔵門線の青山一丁目駅からでも15分ほどである。外苑前から向かう場合は、3番出口から出て坂を上がり、しばらくすると見えてくる。近くには神宮球場秩父宮ラグビー場、東京体育館があり、首都圏でも有名なスポーツベニューが多く集中している地域でもある。

食事処は外苑前駅や青山一丁目駅方面に行くと結構見つかるが、千駄ヶ谷駅や国立競技場駅周辺では意外と見つけづらいという落とし穴がある。国立競技場でイベントが行われる際には売店が出る可能性が極めて高いが、試合前後に近くの大きな駅周辺で済ませるというのもありだろう。あるいは、自宅周辺で買っていくというのも手だ。

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国立競技場紹介ページ(日本スポーツ振興センター公式ホームページより)