日産スタジアム/横浜国際総合競技場 | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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日産スタジアム/横浜国際総合競技場
開場年1998年
集客可能人数72327人
名称の変遷横浜国際総合競技場(1998-2004年)
横浜国際総合競技場/日産スタジアム(2005年-現在)
アクセス小机駅(JR横浜線)より徒歩約10分
新横浜駅(JR横浜線、横浜市営地下鉄ブルーライン、東海道新幹線)より徒歩
約10分
日産スタジアム前バス停(東急バス綱72系統、横浜市営バス300系統、
溝の口駅~新横浜駅直行バス)から歩いてすぐ

(写真は、別記ない限り2022年9月18日のJ1リーグ横浜Fマリノス北海道コンサドーレ札幌の試合より)


         


上:スタジアム東側の外観
中:同西側の外観(2016年4月10日のJ1リーグ横浜Fマリノス浦和レッドダイヤモンズの試合より)
下:内装

日本最大の屋外スタジアムとして、スポーツの国際大会が開催されるときには常に重用される競技場。Jリーグ・横浜Fマリノスの本拠地としても知られる。

正式名称は横浜国際総合競技場だが、2005年以降マリノスのメインスポンサーである日産がネーミングライツ契約を更新し続けていることから、日産スタジアムと言う名前が広く認知されている。ただ、このスタジアムはサッカーや陸上競技の国際大会の会場となることも多く、国際サッカー連盟や国際陸連は大会スポンサー以外の企業の宣伝は行わないという方針を貫いているので、国際試合が行われるときには正式名称で呼ばれる。

このスタジアムの建設計画は1990年に始まり、当初は8年後神奈川で行われる国体のメインスタジアムを作ることが目的だった。だが、1993年に日韓共催ワールドカップが行われることが決まり、それを誘致するために国際基準の大規模スタジアムを作る計画に変更。念願かなって横浜は大会の会場に選ばれた。1994年に建設がスタートし、1997年10月に完成、1998年に開場した(管理運営は横浜市)。前述の通り、72327人が収容できるである。

もともとFIFAワールドカップという大規模な国際大会の会場となるために作られたのだが、不定期イベントのためだけに使用されるというのではもったいないということで、横浜を本拠地としている横浜Fマリノスが本拠地として使用するようになった。マリノスは元々、三ツ沢公園球技場を本拠地としていたが、この競技場はキャパが15000人ほどしかなく、1試合平均25000人ほどを集めるマリノスのホームスタジアムとしては手狭だったことから、1998年にホームゲームの半分を横浜国際総合競技場で開催した。そして、1999年以降は三ツ沢は年間数試合しか使われなくなり、基本的には横浜国際総合競技場が本拠地として扱われるようになった。

キャパの大きさに加え、交通アクセスがいいので(詳しくは後述)、マリノス以外のサッカーの試合でもよく使用される。サッカー日本代表が関東圏で試合を行うときにはよく会場になるし、国立競技場が閉鎖されてからはそこで行われていた国内大会の一部を行うようになった。日本のサッカーシーズンの最初の試合となるスーパーカップ(前年度のリーグ王者と天皇杯王者による試合)は2014年から2017年まで、そして2022年に毎年ここで開催され、2014-15シーズンは天皇杯の決勝も行った。

国際大会の会場としては、2002年の日韓共催ワールドカップ、2019年のラグビーワールドカップと2020年東京オリンピック(コロナ禍の影響で、実際に開催されたのは2021年)のサッカー競技という、国際的な知名度の高い3つの大会で決勝の舞台になっている。また、FIFAクラブワールドカップの試合が日本で開催されたときにも試合を主催している。

Jリーグのホームグラウンドは天然芝であることが原則だが、天然芝のグラウンドは傷みやすく、短い間隔で集中して試合を行うとグラウンドがすぐにボコボコになってしまうので、2018年6月にそれを防ぐ効果があると言われる天然芝と人工芝のハイブリッド芝が導入された。

陸上競技場としても、日本陸連第一種公認であり、国際陸連の大会が開催できるほどインフラは整っているのだが、国立競技場が近くにあり、大阪の長居陸上競技場も国際大会の実績が多いので、本来は陸上競技場であるにもかかわらず陸上競技の大会であまり使用されないという不遇をかこっている。主要な大会実績は2004年の日本陸上競技選手権くらいである。横浜国際総合競技場はキャパが大きい分、使用料が高く、お客さんが入らないと大赤字になってしまうので、その辺りも各主催者に二の足を踏ませているのだろう。キャパは小さいがその分使用料も安い川崎の等々力競技場の方が、陸上競技での実績ははるかに優れている。

隣接する新横浜公園には、補助陸上競技場(日産フィールド小机)、球技場、テニスコート、野球場、運動場2面があり、市民に一般開放されている。日産フィールド小机では、高円宮杯などの試合が組まれることも多い。






上・中:メインスタンド下層(アウェーサポーター席寄り)からの眺め(2016年4月10日のJ1リーグ横浜Fマリノス浦和レッドダイヤモンズの試合より)
下:バックスタンド上層からの眺め

さて、国内外の大きなイベントで使用され、知名度が抜群でありながら、このスタジアムの観戦環境に対するサポーターの評価は否定的なものが多い。にもかかわらず、このスタジアムに対するサポーターの評価はいまひとつ。トラックがある分客席とピッチが遠く、試合が見づらいというのが最大の理由である。三ツ沢は球技場と言うこともあってトラックがない上に、キャパが小さいことから、逆に歓声がこもって雰囲気がいいとサポーターから評価されていて、そのためマリノスは毎年数試合は必ずホームゲームを組んでいる。日本代表の試合も、最近は関東圏では陸上トラックのない埼玉スタジアムが使われる頻度が高くなっている。

以上の点を踏まえて試合を見に行った印象としては、下層からの眺めは確かに悪いと言わざるを得ない。陸上競技の国際大会が主催できる充実したトラックなので、とにかくトラックが広く、スタンドとピッチの距離が非常に遠いのである。さらには、スタンドの嵩があまり高くとられていないので、ピッチが俯瞰で見えず、座った場所から反対側のアクションはとても遠く感じられた。

ただ、上層に座ればピッチが俯瞰で見えるので、大型スタジアムにしては観戦環境は悪くない。このスタジアムで観戦されるならば、私はメイン・バックスタンドの上層のチケットを取ることをお勧めする(ただ、マリノスの試合ではこのセクションはアウェーのグッズ着用が禁止されているので注意されたい)。このスタジアムは、メイン・バックスタンドの上にしっかりと屋根がかかっており、上層に座ればよほど横殴りでない限り雨に濡れることもないし、椅子もレッグスペースが広くとられていて座りやすい。あまり天気の心配をせずに前売り券が買えるのは、ありがたいことである。

最寄駅は、小机駅と新横浜駅になり、いずれからも歩いて10分ほど。メインスタンド側の席であれば小机駅、バックスタンド側だと新横浜駅の方が近い。いずれにせよ、JR横浜線、横浜市営地下鉄ブルーラインが乗り入れるので、首都圏からもアクセスがしやすい。新横浜は東海道新幹線が乗り入れ、羽田空港からも約1時間なので、遠いところからの来場も比較的しやすいのではないだろうか。溝の口駅、仲町台駅、綱島駅、新羽駅からバスも出ている。新横浜に近いこともあって試合前後の食事処にも困らない。

自家用車を利用したい場合は、スタジアム周辺に3つ有料駐車場があり、合計で約700台ほどが止められる。ただ、非常にキャパが大きいスタジアムなので、700台ではイベントの際にはすぐに埋まってしまう可能性が高いことは留意されたい。




上:ホームサポーター側ゴール裏
下:アウェーサポーター側ゴール裏

横浜Fマリノスは、1999年に経営不振のために消滅が決定した横浜フリューゲルスが、横浜マリノスに吸収合併されることによって誕生した。マリノスの前身は、1980年代に全盛期を迎えた日産自動車サッカー部である。名将加茂周の下、金田喜稔、木村和志、水沼貴史らを日本代表に輩出し、日本リーグ優勝2回、天皇杯優勝5回、リーグカップ優勝3回を誇る。1980年代の日本リーグでは、細かいパス回しとテクニックを活かした攻撃で知られた読売クラブとのライバル関係で知られ、彼等とは対照的な堅守速攻のプレースタイルで猛威を振るった。

1993年にJリーグが開幕すると当然加盟を許され、横浜マリノスとしてプロ化。松永茂立、井原正巳、小村徳男、川口能活、松田直樹ら、ゴールキーパーやディフェンダーを中心に選手を日本代表に輩出した。1992年にリーグカップを、1995年にはリーグ優勝を果たしているが、マリノスになってからの黄金期は名将岡田武史が監督に就任し、中村俊輔や中澤佑二らを擁した2000年代前半で、この時期にはリーグ戦を2回とリーグカップを1回獲得している。Jリーグが開幕してから調子のいい時期も悪い時期もあったが、1993年にJリーグに参戦した10チームの中で1度も降格を経験していない2チームのうちの1つである(もう1つは鹿島アントラーズ)。また、下部組織から多くの選手を輩出しているチームとしても評価が高い。

黄金期の後は長らくタイトルから遠ざかっていたが、2013年に天皇杯を獲得。2018年以降は、長年の堅守速攻スタイルからポゼッションサッカーに転向し、2019年には15年ぶりのJ1リーグ優勝を果たし、再度強豪の座に返り咲いている。サポーターの数も多い日本屈指の大クラブで、どこか都会的でスタイリッシュな雰囲気をスタジアムに作り出す。マリノスサポーターが考案した「世界の果てまで」と言うチャントのメロディーは大学・高校サッカーの応援の定番になりつつある(ただし、マリノスサポーターはこれをアウェーの時にしか歌わない)。

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