等々力陸上競技場 | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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等々力陸上競技場
開場年1966年
集客可能人数27495人
アクセスとどろきアリーナ前バス停(川崎市バス杉40・溝05系統、東急バス川33系統・
市民ミュージアム行き・小杉駅前行き)より歩いてすぐ
市営等々力グラウンド入口バス停(東急バス溝02・川31系統・溝口駅前行き)より
徒歩約5分
武蔵中原駅(JR南武線)より徒歩約15分
新丸子駅(東急東横線・目黒線)より徒歩約15分
武蔵小杉駅(JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、東急目黒線・東横線)より徒歩
約20分


(写真は、*1となっているものは2017年8月24日のアジア・チャンピオンズリーグ準々決勝第1戦、川崎フロンターレ浦和レッズの試合から。*2となっているものは2023年1月7日リーグワン、東芝ブレイブルーパス東京静岡ブルーレヴズの試合から)





上:外観(*1)
中:メインスタンド(*1)
下:バックスタンドと北側スタンドを臨む(*2)

川崎市の等々力(とどろき)緑地内にある陸上競技場。現在は、Jリーグ川崎フロンターレのホームスタジアムとしての認知度が高い。

1966年に作られ、戦後昭和期から陸上競技だけでなく球技などで幅広く使用される多目的競技場だった。だが、このスタジアムが脚光を浴び始めたのは何と言っても1993年のJリーグ創設に伴い読売クラブがここを本拠地に指定した時の事である。読売クラブは、ブラジル的な細かいパス回しを得意とするブラジル的なサッカーで1980年代から日本リーグに台頭し、リーグ優勝5回、天皇杯優勝3回、リーグカップ優勝3回を誇った名門である。現在では当然となった、下部組織を用いて選手を育成するというスタイルは日本では読売クラブが最初に行い、日本代表にも多くの選手を輩出。Jリーグ創設当時も、当然のように新しいリーグへの加盟を認められた。

当時、東京都内でプロ化する方向で動いていたが、ナショナルスタジアムである国立競技場を一個のクラブの専属スタジアムにすることには許可が下りず、他に適当なスタジアムが都内になかったこともあって、等々力に白羽の矢が立ったのである。1993年、読売クラブはヴェルディ川崎となった。

当時はバブル経済の名残が感じられる時代であり、刺激を求める若者達はこぞって新しく生まれたプロサッカーリーグに足を運んだ。当時数多くのスター選手を抱えていたヴェルディはその旗手のような扱いであり、「汚くてガラの悪い工業都市」というイメージが強かった川崎市のイメージの改善にも一役買った。開幕当初は1万人入らなかったスタジアムは、所有する川崎市の努力もあって漸次増築され、1994年には1万6千人、翌年には2万5千人収容になった。




上:南側スタンドとバックスタンド(*1)。
下:北側スタンド(*2)

もっとも、ヴェルディは川崎に本拠を構えてからも年に相当数のホームゲームを収容可能人数の多い国立競技場で行い、また本拠地の東京移転を諦めておらず、実際に2001年に味の素スタジアムができるとそっちに移転してしまった。川崎に居を構えながらも東京重視の態度を取り続けたヴェルディと川崎市は現在も犬猿の仲らしいが、ヴェルディが川崎市のイメージ改善にある程度の貢献をしたこともまた事実だろう。昭和期にプロ野球のロッテオリオンズが居を構えていた時には、川崎球場があまりにも老朽化していたにもかかわらず改善に全く動かず、スポーツファンから無気力と批判された川崎市だった(結局ロッテは千葉に移転してしまった)が、等々力競技場に関してはフットワークが軽く、ヴェルディが川崎にいた頃から行政が変わり始めた印象を受ける。

1997年には富士通サッカー部がプロ化して川崎フロンターレになり、このチームも等々力競技場を本拠地に指定。2000年にはフロンターレが1年だけJ1リーグに昇格したため、その年にだけ川崎ダービーが開催された。いずれにせよ、フロンターレはヴェルディよりも地域密着方針を前面に押し出したので、徐々に地元のサポーターも増え、2005年に再度J1に昇格して以来1度も降格していない。2003年から2020年までチームの象徴として活躍した中村憲剛選手を中心に攻撃的で見ていて楽しいサッカーを標榜しており、徐々に強豪としての地位を確立。そこから実際にタイトルを獲得するまでが長かったが、小林悠、大島僚太ら生え抜きの選手を日本代表にまで育て上げ、効果的な選手補強をしたことがようやく実って2017年に悲願のJ1優勝を達成。翌年には連覇も果たし、2019年にはリーグカップも獲得した。2020年にはリーグ戦と天皇杯の連覇を達成し、2021年にはリーグ連覇を達成するなど、まさに現在が黄金期と言えるチームである。攻撃的で見ていて楽しいスタイルを標榜するだけでなく、試合終盤の劇的なゴールで試合が決まることが多いことから、フロンターレの試合は「等々力劇場」と呼ばれることも多い。また、富士通スタジアム川崎の共同管理運営者としての役割も受け持っており、川崎市内のスポーツ文化に対する貢献も強く意識している。

フロンターレの実力の向上を受けて、川崎市は2012年から再度このスタジアムの拡張計画を実行。現在は27495人収容可能のスタジアムになっている。だが、フロンターレの人気が上がっていることもあって、特に人気クラブとの対戦の時ではチケットがすぐに売り切れてしまうという状況である。供給に対して需要が高いこともあって、チケットも少し値段が高い。いずれにせよ、フロンターレ戦の観戦を検討されているのであれば、チケットの確保はお早めに。川崎市は今後もこのスタジアムの拡張を企画しているとのことで、個人的には3万人強に拡張しても十分元が取れそうな気がする。2019年のシーズン開幕前に、トラックの色をフロンターレのチームカラーである水色に一新した。

ちなみに、ヴェルディフロンターレの他に全国高校サッカー選手権の試合の開催するなどサッカーのイメージが強い等々力競技場だが、日本陸連第一種競技場認定を受けており、陸上競技では2010年以降毎年国際陸連主催の大会も主催しているほど、陸上競技場としても国内最高級の施設である。2023年には、ラグビーのリーグワンの試合も行われている。




上:バックスタンド北寄りの席からのピッチの眺め(*1)
下:メインスタンド南寄りの席からのピッチの眺め(*2)

やはり陸上競技場である以上は、ピッチと客席の間にトラックがある分、サッカーやラグビーを見る環境としては、球技専用のスタジアムと比べると少しハンデがあることは否めない。特に一方のゴールに近い位置に座ると、逆のゴール側はかなり遠く感じられる。

ただ、後ろの方の席に座ればメインスタンドもバックスタンドも嵩があるので、ピッチが俯瞰で見える。その分、イベントによっては前の方の席ではなく後ろの方の席の方がチケットの値段が高かったりするのだが、観戦環境にこだわるのであれば、スタンド上層のピッチ中央周辺のチケットを狙うべきであろう。このスタジアムは、メインスタンドもバックスタンドも屋根がしっかりとおおわれており、真夏の日差しからも守ってくれるし、小雨であればそれほど濡れることもないだろう。少し強めの雨でも、スタンド上層に座れば問題はないと思われる。そういった事情からも、スタンド上層での観戦をお勧めする。まあ、ピッチ中央付近は試合が見やすい分、これまたチケットの料金が高くなりがちではあるが。とはいえ、よほどの大雨でない限り天候に影響されず観戦できるということもあって、前売券が買いやすいところはありがたいところだ。観戦環境は、おおむね良好といえる。

等々力緑地は、陸上競技場だけでなく体育館、野球場、屋外プール、テニスコート、広場に加えて釣り堀や博物館まである、大規模な運動公園である。体育館のとどろきアリーナはプロバスケの川崎ブレイブサンダース(旧東芝バスケ部)のホームアリーナに指定されている。公園とその施設は全て川崎市が管理している。




上:とどろきアリーナ
下:等々力球場

最寄駅は、JR南武線の武蔵中原駅で、ここから歩いて15分くらい。東急目黒・東横線が止まる新丸子駅からも同じくらいである。JR線3路線、東急線2路線が止まる武蔵小杉駅の方が便利だが、ここからは歩いて20分くらいかかる。最寄駅が多く、使える路線が多いところは助かるが、最寄駅からの距離が結構ある。バスの利用も検討したいところだが、道路が狭く混雑して時間が読めないので、交通の便は微妙なところ。また、周辺に意外と食事処が少なく、ファミレスが数件あるくらいである。観客から入場料を取る類のイベントであれば屋台が出るが、最寄駅で調達することも検討されたい。

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川崎フロンターレ公式ホームページ(等々力競技場へのアクセスについても案内あり)