熊谷ラグビー場 | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。

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熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
開場1991年
収容可能人数24000人(メイングラウンド)
6700人(第2グラウンド)
アクセス(すべて国際十王交通バス)ラグビー場バス停(熊谷駅~くまがやドーム路線)より歩いてすぐ
熊谷スポーツ文化公園バス停(熊谷駅~熊谷スポーツ文化公園路
線)より徒歩約5分
赤城神社バス停(熊谷駅~葛和田路線)より徒歩約5分
陸上競技場入口バス停(熊谷駅~犬塚路線)より徒歩約10分
※試合の規模によっては国際十王バスが臨時便を出す

(写真は、*1となっていれば2014年4月1日に行われた全国高校ラグビー選抜大会から、*2となっていれば2019年9月24日のラグビーワールドカップ・ロシア対サモアの試合から)


外観(*2)

毎年夏場になるとしょっちゅう40度近い気温を記録してニュースになる埼玉県北部の熊谷(くまがや)市。埼玉の観光地・秩父への連絡駅ということもあって、関東圏の人には割と認知度の高い町だが、実は関東でも屈指のラグビーどころでもある。1970年代から市を挙げてラグビー文化の醸成に力を入れており、1990年には熊谷工業高校が全国高校ラグビー大会(通称花園ラグビー)で優勝もしている。その一環として1991年に作られたのが、この熊谷ラグビー場である。

行政が力を入れている甲斐あって、熊谷の施設はラグビー専門のものとしては全国でも屈指の充実ぶりとも言える。何しろ、ラグビー専用グラウンドが3面もあり、しかもメインスタジアムは約24000人ほどが収容可能。規模でいえば、東京のラグビーの聖地である秩父宮ラグビー場に劣らないし、同様の規模を持つラグビー専用施設は日本では他に大阪の花園ラグビー場くらいしかない。3つのグラウンドを朝からフル回転させれば1日に15試合近くできるので、2000年から毎年全国高校ラグビー選抜大会の会場として利用されている(2000年の第1回大会では決勝を秩父宮で行ったが、それ以後は大会の全試合を熊谷で行っている)。埼玉県の高校ラグビーの大会は決勝戦がここの第1グラウンドで行われるので、県内ラグビー界の聖地という扱いを受けている。




上:第2グラウンド(*1)
下:第3グラウンド(*1)

第2と第3グラウンドはサブグラウンド扱いとなり、埼玉県の高校ラグビー大会や全国高校ラグビー選抜大会の決勝が行われたり、トップリーグや大学ラグビーの試合も行われる第1グラウンドがメインスタジアムである。第2グラウンドは、6700人収容可能のスタンドが備え付けられていて、サブグラウンドにしてはそれなりの観戦環境であるが、第3グラウンドはただのフィールドと言った趣で、周辺に仕切りはない。最近になってようやく気持ちばかりの座席が作られたが、本当に簡易的なものでグラウンドが俯瞰で見えるようなものではなく、観戦環境は決して良くない。どれだけ収容できるかも公式には表記されていない(恐らく300人に満たない)。とは言え、タッチラインの本当に近くまで近づけるので、第1・第2グラウンド以上の臨場感が味わえることは長所と言えるかもしれない。








上:旧メインスタジアムのメインスタンド(*1)
中上:旧バックスタンド(*1)
中下:旧北側ゴール裏(*1)
下:旧南側ゴール裏(*1)

ラグビー専用スタジアムとしては日本屈指のものだったとはいえ、メインスタジアムは開場してから2017年まではフィールドをメインスタンドと土手に囲んだだけという簡易的な作りの競技場だった。バックスタンドの土手にはバックスタンドと辛うじて呼べるだけの簡易的なスタンドがあり、ゴール裏は芝生席。屋根も、メインスタンドに簡易的なものがあるだけだった。ちなみに、バックスタンドの土手の向こう側には第2グラウンドがあり、こちらに座ると第1と第2グラウンドの試合が同時に見えるという利点があった。

当時のキャパは約2万人。雨が降ると辛いという欠点はあるが、客席とピッチが近かったため試合は見易く、メインスタンドの方が高さがあり、バックスタンドよりグラウンドが俯瞰で見えたため観戦環境はこちらのほうがよかった。

このスタジアムは、2019年のラグビーワールドカップの会場になることが決定したため大幅な改装工事が2017年から2018年にかけて行われた。そのため2017-18シーズンはイベントでの使用ができず、このシーズンには代わりに隣にある陸上競技場でラグビーのイベントが開催された。










上:新メインスタジアムのメインスタンド(*2)
中上:同・バックスタンド(*2)
中:同・北側ゴール裏(*2)
中下:同・南側ゴール裏(*2)
下:同・試合の眺め(*2)

改装後は24000人収容で、全席座席で両ゴール裏にはオーロラビジョンのある、かなり立派なスタジアムに生まれ変わった。改装に伴い、かつてバックスタンドがあった位置にVIP席などのあるメインスタンドを作り、改装前にメインスタンドだった場所をバックスタンドにした。とはいえ、スタンドとピッチの距離の近さは相変わらずで、従来通り観戦環境のいいスタジアムである。むしろメインスタンドにはかなり大きな屋根も作られたので、観戦環境は以前より格段によくなった。ただ、観戦した試合では芝生の状態がよくなかったところが少し気になった。

なお、スタジアムの構造上サッカーができなくはないのだが、ラグビー場と称することもあってサッカーの試合では使用されない。サッカーと兼用の球技場の場合はピッチにペナルティーエリアが消された跡があったりするが、熊谷ラグビー場はそれがないので、22メートルラインなどが見易い。何回かラグビー観戦をすると、こういうところが結構うれしくなるものである。

設備の充実しているこの熊谷ラグビー場だが、秩父宮と違ってこの競技場が満員になることがほとんどないのは、熊谷市が都心からかなり離れた場所にあることが最大の理由である。熊谷は大宮からでも電車で約30分。上野・新宿からだと1時間はかかる。東京の西の方から来るのであれば、新幹線の乗車を検討したくなるくらい遠い。熊谷駅についてからも更にバスで15分ほどかかるなど、車がないと行くだけで疲れてしまうというのが正直なところ。周辺に食事のとれるところが何もないのも辛い(試合のある日には弁当の出売りがあり、これが割と安いので助かるが)。それだけに、2019年のワールドカップのときにこのスタジアムが満員になったときには、とても嬉しかった。2022年からラグビーのプロリーグ、リーグワンが開幕する際には、埼玉パナソニックワイルドナイツがここを本拠地に選択した。




上:くまがやドーム
下:熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

ちなみにラグビー場は埼玉県営熊谷スポーツ文化公園の一部なので、公園内には他の運動施設もある。多目的アリーナのくまがやドームに加え、陸上競技場の設備も埼玉県内屈指の充実っぷり。開場以来、大宮アルディージャが毎年1試合試合を組んでおり、近年では浦和レッズの天皇杯の試合を主催することも多い。インラインスケート場、ジョギングコース、多目的運動広場、ソフトボール場、ピクニック広場などもあり、屋外レクを行う設備が充実している。

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熊谷ラグビー場の紹介(熊谷スポーツ文化公園公式ホームページから)