Journal of Cell Science | 疲れたおじさんのブログ

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もう少し頑張って数年後は海外ノマドを始めます

とりあえず実験も終わり、細かい点を確認して月曜に英文校正に出せそう。並行して論文と同じくらいの分量になったレスポンスレターの確認も始める。レフリーに言われた実験をしたら別の方向のデータが出て、でもそれが理由でレフリーが期待していたような結果を出せずその説明を延々とする、という内容になる。ダラダラ書いてもスルーされそうなのでレターに対応したフギュア(図)の作成をして分かりやすくして、という感じで別の論文を書くような手間になった。内容は面白いと思うのでアクセプトされてもおかしくないけれど、「なんだかあっちこっち話がとんで良くわからん」となる可能性もある。

 

投稿先はJournal of Cell Science(JCS)で、伝統ある細胞生物学の雑誌でかつては中堅どころだったのだが、いまは落ちていく一方である。(ブラックペアンでよく登場するインパクトファクターこと)IFが激減しており、まあこれは中心国が同じような学術誌を大量に発行してしかも自前同士で引用することでIFを高めるという非常にクレバーでスマートで賢い戦略で世界ナンバーワンの科学技術大国になったことが原因であるのだけれど、いずれにしろ落ちぶれた感が半端ない。

 

2023年の最終号ではチーフエディターであるMichel Wayが巻頭で「なぜJCSが素晴らしい雑誌か!」みたいな記事を自ら書いており、さらに表紙は2023年にJCSで発表された論文の著者の写真のコラージュというJCSラブが溢れた内容であった。JCSは若手研究者のサポートを積極的に行っており、筆頭著者のインタビュー記事が顔写真入りで掲載される。私も2018年に発表した論文でインタビューを受けた。まあつまり、遊び心がある雑誌であり、これこそがCell Bologyの業界でよく見られる文化だ。

 

細胞生物学ではJournal of Cell Biology(JCB)が筆頭で、その次がJCS、次がアメリカの細胞生物学会誌であるMolecular Biology of the Cell(MBoC)の流れだったのだが、これらいずれもIFが激減している。つまり、細胞生物学の分野そのものが衰退している、あるいは、純粋な細胞生物学だけではもう「受け」ないのである。最高峰のJCBに出しても(業界内では褒められるけれど)グラント獲得につながるような高い評価にはならない。つまりコスパが悪い。

 

JCBには2015年に出しており、この時は「俺も一流の細胞生物学者として認められた!」と喜んだ。この論文はいまだに引用されており自信作の1つなのだが、まあでもIFは下がる一方なので、この論文を示してもジョブにはつながらないだろう。

 

「成功するにはまず自分の居場所を探せ」「やりたいことではなくて得意なことで勝負しろ」「努力が認められる場所で努力をしろ、それ以外は無意味だ」等のアドバイスを所謂成功者からは良く聞く。成功者とは億り人とか有名企業の役員とかマスコミに登場する有名人である。私も成功したいし金持ちになりたいし有名人になって女にモテたいが、やりたいことに挑戦するような時間を過ごしたいと思うので有益なアドバイスだと思いながらも俺には出来そうにないなとなってしまう。

 

ということでIFが激減しているJCSなのだが、やはり好きな雑誌であり、ここにラストオーサーで論文を掲載するのが研究者としての私の夢の1つである。そして次はラストオーサーとしてJCBを狙いたい。で、JCBに掲載されたら細胞生物学者としては満足だ。さらにScienceに掲載されたら研究者として満足であり、それで終わりでも構わない。