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山本祥一朗の酒情報

山本祥一朗の酒情報

9月26日に靖国神社で「一都三県・蔵元との交流会」が午後2時から6時まで開かれた。

主催者によると午後6時までにしたのは会場の都合で、そのためにこれまでは業者と一般とは別々にしていたが、今回は合同で一緒に催すことにした、とのこと。
この日は晴天で神社の境内にはオープンショップこと露天商が千人ほども来ていて、とても「神社」の雰囲気には程遠かった。

2時に行ったら入場待ちの人たちで行列である。これまでとは勝手が違って、一般参加の人が多くて、押すな押すなの会場だった。

顔見知りの蔵元に最近の売行きを聞いてみたら、「ぼちぼちです」と誰しも同じご返事。どこも水準の高い酒質で、メモを取るのも忙しい。

受付では780mlのミネラルウォーターを全員に渡してくれるのと、酒類総合研究所が出している「お酒のはなし」という小冊子を自由に持ち帰るようになっていた。それも英語版も一緒で、これからの時代にはもってこいである。

カットは酒質を表示した日本語版と英語版。

写真は『驟雨』で芥川賞を受けた後の吉行淳之介氏を市ヶ谷の自宅でインタビューした時のもので、昭和40年代はじめのことである。この時は岡山出身の作家訪問を依頼されて、童話作家の土師清治氏、都庁の嘱託でもあった評論家の木村毅氏なども訪ねた。

吉行氏や土師氏の話などは拙著『もの書きになる方法』(三一書房)に収めてある。

吉行氏はのちに女性タレントと同棲するなどしたが、この時は丸顔でスマートな文枝夫人と一緒で、その夫人がお茶を運んでこられた。その夫人はこんなことを書いている。

「主人はよく飲むというイメージがついているかも知れませんが、決してお酒は強いほうではありませんでした。でもバーの雰囲気とか、そこにいる人たちの反応に興味があったようで、どんな時でも店に集まってくる人たちを冷静に観察していました。私もよくいろんな店に連れていかれました」(淳之介の背中)

過日、妹の女優・吉行和子さんを酒の会にお誘いしましたが、「私は酒に弱くて……」とご遠慮なさったのは残念。

「二日酔いによく利くリキュールがあるのを知っているか?」と酒友に言われたが、薬ではなくリキュールだというのがわからない。すると『酒の上の話』(世界文化社)に村松友視が書いているというので調べてみた。

「酒は百薬の長」という項目に、アンゴスチュラ・ビターズというリキュールだと書いてあるが、まだ試していない。

この本は酒にまつわる筆者の体験談で、なかなかよくまとまっている。幼少のころからの酒の体験の数々だが、筆者は慶應大学を出た後、中央公論の文芸雑誌「海」の編集者として多くの作家との付合い酒を体験するが、中でも「吉行淳之介さんの気づかいの奥深さは唸るばかり……」と述べている。

その吉行淳之介による「好色一代男」の現代語訳を「海」に書いてもらうことができたのも、酒からの交流も見逃せなかった、と振り返る。

その吉行淳之介宅に伺って、私がインタビューしたのは、さらにその前だった。