昔に使っていた念珠をまた使いたいと思い、自坊の「淨照寺香房」を探索。
まぁ、香房っていうと相当に格好良い言い方ですが、お袈裟、衣、経本などの坊さん的な物を置いてある日の差さない座敷牢なような六畳間です。僕の私物もかなり混じっていますし……。
さてさて、タンスでお衣などを動かしている時にポロッと出てきたのが、10センチ四方の白い布。
なんとも懐かしいアイテムが出てまいりました。
僕が承仕時代に使っていた「白布(はくふ)」です。
僕が承仕の時はまだ「築地本願寺」は愛称で、正式には「本願寺築地別院」でした。
職員は上から「輪番」、「副輪番」、「参勤」、「承仕」という形で職階がわかれておりました。
輪場はお一人。副輪番2~3名。で、ズラッと参勤。
この参勤が法要などではメインになるのです。
で、法要の準備、掃除等々の事柄を承仕がやるという感じなのです。
高校などの部活でいえば参勤は上級生、承仕は一年生といった感じでしょうか(←かなり適当)
僕の時代は承仕を4年したのちに、上の方々の判断で参勤へとさせて頂いたことです。
ちなみに、承仕になる前に「承仕見習い」という、ブラック企業も真っ青の時代が3ケ月ほどありましたので、正確には奉職して4年と3ケ月で参勤とクラスチェンジしたことであります(`・ω・´)
ま、年数などは時代によって違うようですが。
参勤になると承仕の時と袈裟や袴などがまったく違う色になります。その参勤のお袈裟を初めてつけたのは、恩師の葬儀での達書伝達のお手伝いであったことは大変に感慨深いことです。
その承仕時代にお世話になったのが、この白布なのです。
いつも袂に数枚常備をしておいて、内陣などでのわずかな埃を払ったり、油(築地本願寺の輪灯などは灯芯を油に浸して火を点じています)などに触れたときに指を拭ったり、仏具の傾きを調整するので詰めたり、熱いものなどや、指紋を残したくないものに触れたりするときに使ったりなど、
これと安全ピンは日々の承仕仕事には欠かせないアイテムでした。
ちなみに安全ピンは法要中や直前での袈裟や衣などがほつれたりした時の応急処置に使いました。
ポロッと白布があらわれたのは参勤になり、大分な月日が経ってそういった心構えというものを忘れかけていた僕に対して、承仕の僕からメッセージなのかなと思ったことであります。
ま、今からもう一回承仕をやれといわれても体力的に無理ですが(笑)