カリヨ・ライド(Kaljo Raid)エストニアの作曲家と、夏休みクラシック音楽特集!! | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Raid, Kaljo | Estonian Music Information Centre

 

1921年3月4日、男女の双子の1人としてタリンに生まれた、

作曲家、チェロ奏者、牧師。

その上に兄が1人いる3人兄妹。

 

タリン音楽院(Tallinna Konservatorium)

(後のエストニア音楽アカデミー)で、

ヘイノ・エッレル(Heino Eller)に作曲を師事。

 

彼の交響曲第1番ハ短調は、

彼の卒業の年(1944年)に初演された。

(演奏:エストニア放送協会管弦楽団)

 

同年、ソビエトのエストニア侵攻のため、

スウェーデンへ亡命。

 

1945~1946年、ストックホルムで、

1946~1949年まで、アメリカの

アンドーヴァー・ニュートン神学校

(Andover Newton Theological School)で、

神学を学ぶ。

 

アメリカでは、ジャック・イベール、ダリユス・ミヨーに師事し、

ベテル大学(Bethel University)で音楽を教えた。

 

1954年、カナダに渡り、1989年まで、

トロントのエストニア・バプテスト教会の牧師を務めた。

 

「エストニアバプテスト連合」の議長を務め、

世界中のエストニア人のための定期的なラジオ放送に関係する。

 

オーストラリア、南米、イスラエルなどへ大旅行を行う。

 

1989年に引退後、音楽活動を再開する。

 

1993年、殉教者聖ポリュカルポス(Πολύκαρπος)の生涯を描いた、

オペラ「炎の戦車」(燃えるような戦車)(Tulised vankrid)

を完成。

 

交響曲は全4曲。

 

指揮者ネーメ・ヤルヴィ(Neeme Järvi)の依頼により、

エドゥアルド・トゥビン(Eduard Tubin)の

未完の交響曲第11番の第一楽章を補筆完成させた。

 

2005 年1月21日、

カナダのリッチモンドヒル(オンタリオ州)で死去。

Kaljo Raid – Wikipedia

 

いやあ、クラシック音楽記事、

しばらくずっと書いていませんでした。

 

前回いつ書いたのか調べてみると、

なんと2月!!

半年間も書いていませんでした。

 

クラシック音楽 女性作曲家列伝!! - その4

2022年2月20日

 

弊ブログの3本柱として、

◎自作品の発表

◎海外の知られざるアニメーションの紹介

◎無名のクラシック音楽の紹介

を設けておりますが、その三本目を蔑ろにしていました。

もっとクラシック音楽の紹介に力を入れたい所です。

 

というわけで、今回は、エストニアの作曲家、

カリヨ・ライドなわけですが、

彼は専ら、トゥビンの未完の交響曲第11番の第一楽章を

補筆完成させたとして知られていますけど、私は彼自身の

交響曲第1番 ハ短調(1944年)

(Sümfoonia nr. 1 c-moll)

が殊の外好きで。

 

エストニア初の交響曲、

アルトゥル・レンバ(Artur Lemba)

交響曲第1番 嬰ハ短調(1908年)

(Sümfoonia nr. 1 cis-moll)

も大好きなんですけど。

 

エストニア近代のロマンティックな要素のあるクラシック音楽は、

往々にして、物語性というか、冒険ものの要素、RPG的要素、

そういったものを感じさせます。

 

聴いていて高揚感を感じるのですね。

 

過去に、エストニアのクラシック音楽を紹介した時、

そういうノリの記事を書いています。

剣と魔法の冒険RPGの様なマイナークラシック音楽(3)エストニア

2008年7月30日

 

 

ライドの交響曲第1番、第一楽章が、何とも、

ややドロドロした神秘的な響きと力強さが、

宇宙戦争映画みたいで?

宇宙皇帝のお出ましのBGMの様な描写も。

ホルストの組曲「惑星」の「火星」が好きな人に薦めたい。

「スターウォーズ」ファンにもお薦めできるだろうか?

 

第二楽章が特にお薦めで、

冒険映画やRPG辺りで空を雄大に飛んでいる場面のBGMのよう。

とても明るい雰囲気で、聴いていて元気になります。

 

第三楽章は、それまでの冒険の数々を回想しながら、

ラスボスの城内を、ラスボスのいる居室へ向かいつつある場面、

という感じで、最後は、ラスボスとの戦闘場面風となりますが、

最後の辺りは、悲劇的な結末という感じ?

(ラスボスに倒されてしまった感じ?)

(全3楽章です)

 

この作品は、ソ連によるエストニア侵攻の年に書かれたもので、

そういった時代状況の反映である事は否めないと思います。

 

収録アルバム

エストニアの管弦楽作品集第1集

Music From Estonia vol.1

指揮:ネーメ・ヤルヴィ

Neeme Järvi

演奏:ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団

Royal Scottish National Orchestra

【CHAN 8525】

 

---

 

以前ライドをご紹介した時、

交響曲第2番のCDがあると知りまして。

 

Kaljo Raid: Stockholm Symphony, No. 2/Eduard Tubin: Unfinished Symphony, No. 11 - Amazon.com Music

交響曲第2番「ストックホルム交響曲」

Sümfoonia nr. 2 "Stockholm Symphony"

だそうで、表題が付いているのですね。

全5楽章。

 

ところが、既に廃盤になっていた上に、

マーケットプレイスによる入手もできませんでした。

現在あまり出回ってもいない様です。

 

なので、聴けていません。

(このブログによくコメントをくださる北坂戸市民さんは

所有しているだろうか?)

 

更に、今回Wikiを調べてみたところ、

交響曲は第4番まで書かれていると知りました。

 

「ええっ!?」と思いました。

でも聴けないんだろうな…。

 

ネーメ・ヤルヴィさん、

ライドの交響曲全集なんて出さないだろうな…。

(もう高齢だし)

 

ライドのCDは現在、

他にも幾つかリリースされている様ですが、

確認した限りでは、室内楽系ばかり。

 

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それから、2021年は生誕100年で、

演奏会など、記念的な催しものが行われた様ですね。

 

 

Kaljo Raid - Central time Decatur Orchestra Sul Ponticello is presenting a Chambe rConcert Kaljo Raid 100 | Facebook

 

ああ、2021年にこの記事を書けばよかった…。

 

※エストニア語には「有声音」が無いとされているので、

カリヨ・ライド → カリヨ・ライト

エドゥアルド・トゥビン → エトゥアルト・トゥピン

表記が適切なのかな?と思いました。

(『エドゥアルド・トゥビン』は発音サイトFORVOで

『エトゥアルト・トゥピン』と聴こえました。

『カリヨ・ライド』はFORVOに未登録)

 

でも、エストニア語を聴いていて

所謂‟濁音”がよく出てくるのですね。

「有声音」と「無声音」の区別が無く、

無意識的に濁音を発しているのでしょうか?

(〝有声音”と〝濁音”は、厳密には意味が違うのですが、

便宜上敢えて混同した書き方をしました)

 

---

 

お次は、

 

夏休みクラシック音楽特集!!

 

ノルウェー狂詩曲第1番(1919年)

Norsk rapsodi nr. 1

ヨハン・ハルヴォシェン

Johan Halvorsen (1864-1935)

三部形式となっており、第一部は、

「森の動物たちの愉快な行進曲」

とでも形容できそうなウキウキした行進曲。

 

第二部は、1970年代の哀愁の歌謡曲の様な雰囲気。

ノルウェー民謡「寝過ごしてしまった」

(Jeg lagde meg så silde)の引用。

 

第三部は、再びウキウキした雰囲気が戻ってきて、

最後に大団円を迎える。

 

ハルヴォシェンはノルウェーの作曲家で、

エドヴァル・グリーグの姪と結婚。

 

他には、

ロシア貴族の入場行進曲

Bojarenes inntogsmarsj

ノードローキアーナ

Nordraakiana

など、RPG風味の作品がお薦め!!

(ややドラクエ臭を感じる?)

 

フランドル狂詩曲(1931年)

Vlaamse rapsodie

ミシェル・ブリュッセルマンス

Michel Brusselmans (1886-1660)

如何にも「狂詩曲」の名に相応しい、

どんちゃん騒ぎな感じが聴いていて楽しい!!

昔のスラップスティックアニメーションみたいな?

スピード感に溢れ、目まぐるしい展開を見せられている感じ。

 

ブリュッセルマンスは、ベルギーの作曲家。

 

マウリス・スフマケル(Maurice Schoemaker, 1931年)

マリニュス・ドゥ・ヨング(Marinus De Jong, 1935年)

もほぼ同時期に同名の作品を書いており、

昔のディズニーアニメで使われてそうな雰囲気でお薦め。

 

ジャン・アプシル(Jean Absil, 1928年)

アルベール・ルーセル(Albert Roussel, 1936年)

のは比較的有名ですが、

メロディがあまり綺麗じゃないので好きじゃない。

 

それにしても、これらの同名の作品群が、

ほぼ同時期に立て続けに書かれたというのは、

凄いですね。シンクロニシティ?

 

グレ組曲(1901年)

より、序曲

Ouverture - Gurre suite

クリスチアン・フレゼリク・エミール・ホーネマン

Christian Frederik Emil Horneman (1840-1906)

出だしが風雲急を告げるヒーローものみたいでカッコいい!!

 

「19世紀デンマーク音楽界の反逆児」として知られるが、

そのため煙たがられ、失望に見舞われる事が多々あり、

充分に才能を発揮する事が出来なかったとされる。

劇音楽「グレ」は、彼の数少ない成功作の一つ。

 

それを後に、4曲からなる管弦楽組曲に改編。

「序曲」はその第1曲。

 

オペラ「タラス・ブーリバ」(1880-1890年)

より、序曲

Увертюра - Тарас Бульба (опера)

ミコラ・ヴィタリヨヴィチ・リセンコ

Микола Віталійович Лисенко (1842-1912)

冒頭序奏が「グレンダイザー」OPにちょっと似ている?

内容がヒーローものなので、メロディもそれなりにヒーロー風。

 

リセンコの名が、ロシア・ウクライナ戦争が切っ掛けで

日本でも知られるようになったのは皮肉。

(私はずっと以前からブログで何度か紹介しています)

 

日本ではずっと、モラヴィアの作曲家、

レオシュ・ヤナーチェク(Leoš Janáček)の

狂詩曲「タラス・ブーリバ」ばかりが有名で、

地元の作曲家の作品に目を向けないでどうするよ!?

と、ずーっと歯痒い思いをしていました。

(無名で影響力の無い者の辛さ)

 

作品としても、リセンコの方が、

ヤナーチェクのよりも明解。

 

よく明解な作品って、底が浅いみたいにバカにされますが、

でも、明解な曲って、作るの難しいですよ。

1980年代のゲームミュージックって、だから凄いのです。

明解だけど奥深い作品もあるし。

 

ちなみに、リセンコはバリバリのウクライナ民族主義者です。

 

弦楽のための5つの小品(1953年)

5 pala keelpilliorkestrile

ヘイノ・エッレル

Heino Eller (1887-1970)

最後はこちら。

エストニア近代音楽の父と言われ、

数多くの教え子を輩出し、

カリヨ・ライドの師でもあったエッレル。

 

後期に書かれたこの作品は、民族的な響きに溢れ、

郷土愛をひしひしと感じさせますが、

私の様なヒネクレ者は、

「RPGのBGMに使えそう」等と思ったりします。

 

第2曲は市場での買い物の場面のBGMっぽいし、

特に第5曲は、どこか懐かしさを感じさせる様な、

優しさに包まれる感じで、癒されるというか…。

 

初期作品

交響的絵画「黄昏」(1917年)

Videvik, sümfooniline pilt

は童話の世界風、

交響詩「暁」(1920年)

Koit, sümfooniline poeem

はRPG風ですが、

いずれもRPG音楽が好きな人にお薦めです。

 

というわけで、皆様、夏休みを存分に堪能しましょう!!

(私は仕事がありますけど)

 

【追記:2022/8/6】

カリヨ・ライド生誕100年記念の映像に、

彼の幼少時の写真が出ていて興味深いです。

当記事冒頭の経歴で、

男女の双子として出生とご紹介しましたが、

その相方はイルセ(Ilse)ちゃんだそうで。

 

それと、特に印象的なのは、誠に失礼ながら、

カリヨ少年が妙に可愛らしくて別人に見える事。

 

カリヨは細目に見えるのですが、

笑顔を見せるとその様になってしまうのかな?

厳密には奥二重っぽい様ですが。

 

Record_Geijutsu_2002-8.jpg

音楽之友社 レコード芸術 2022年8月号(新品/送料無料)【楽器検索デジマート】

『レコード芸術』2022年8月号「ウクライナの音楽」

を読んでみました。

 

私は、無名のクラシック音楽好きという事もあって、

この手の雑誌は基本全く読まないのですが、

(有名な作曲家ばかり取り上げるから)

ウクライナの音楽という事で、

読んでみる事にしました。

 

ウクライナのクラシック音楽の歴史を語る上では

絶対に外せないミコラ・リセンコは、

基本を押さえる様な形で取り上げられていましたが、

ウクライナ初の民族主義オペラを書いた、

セメン・アルテモウシキー(Семен Артемовський)

も取り上げられておりました。

(『アルテモフスキー』表記ですが)

 

ウクライナ人で初めてオペラを書いた人は、

マクスィム・ベレゾウシキー(マクシム・ベレゾフスキー)

(Максим Созонтович Березовський, 1745?-1777)

ですが、こちらも取り上げられていました。

マクシム・ベレゾフスキー - Wikipedia

1773年に作曲された

「デモフォンテ」(Demofonte)

がそれです(現在は一部が残るのみ)。

Демофонт (опера Березовського) — Вікіпедія

セメン・アルテモウシクィイ(Семен Артемовський)ウクライナの作曲家

2012年2月20日

 

しかし、1876年に「ウクライナ交響曲」を書いた、

ミハイロ・カラチェウシキー(Михайло Калачевський)

の名は見当たりませんでした。

ミハイロ・カラチェウスキー(Михайло Калачевський)ウクライナの作曲家

2012年8月10日

 

でも、私の知らない作曲家が他にも色々いたので、

大変興味深い内容でした。

 

もしウクライナ戦争が勃発しなければ

こういう特集は組まれなかったのだろうな…

という思いはあったにせよ。

 

 

 

あと、普段から全くどうでも良い事と思っていたんですけど、

折角なので…。

 

エストニアの公式ハッシュタグ記事で1位となりました。

記事を上げた初日です。

ちなみに、2日目は2位でした。

 

普段からマイナー志向なので、

アクセス数とか人気者になるとか、

望むべくもないと思っていたのですけど、

1位を取ってみると、やっぱり素直にうれしいですね。

 

もっとも、

「自分も人も楽しいと思える事をしたい」とは、

常に考えてはいますのでね。

 

【追記:2022/8/22】

無名だけど魅力溢れるクラシック音楽作品を演奏する、

オーケストラ《エクセルシス》

さんが、やっと演奏会をすると、つい最近知りました。

 

オーケストラ《エクセルシス》第11回演奏会.jpg

オーケストラ《エクセルシス》 第11回演奏会 | i-Amabile

 

新型コロナの影響で中止になったりして大変でしたけど。

 

最近書いたクラシック音楽記事を書いている時に知っていたら、

そこで追記していたのですけど、それよりも後の話なので。

【イラスト】犭夜太郎(ぬえたろう)単車に乗る(ヘッダー用イラスト)

2022年8月20日

 

最初、仕事の日と被っている上に、割と直前過ぎたので、

鑑賞は無理かなあと諦めていたのですが、

何とか上手く調整できたので、観賞可能となりました。

 

今から楽しみですわ!!

 

上掲のクラシック音楽記事の方には、

その詳細を追記いたします。

(記事の数をあまり増やしたくないので、

新たに記事を立てません)

 

オーケストラ《エクセルシス》 第11回演奏会 - 

2人の作曲家の生誕150年〜ステーンハンマルとアルヴェーン~

 

日時: 2022年9月3日(土)

開演: 14時 (開場: 13時30分)

会場: 八王子芸術文化会館いちょうホール 大ホール

入場料:無料(全席自由席)

※事前要予約→teket.jp

 

◎ヒューゴ・アルヴェーン

Hugo Alfvén (1872-1960)

♪ 祝典序曲 Op. 52

Fest-ouverture, op 52

 

◎ヴィルヘルム・ステーンハンマル

Wilhelm Stenhammar (1871-1927)

♪ 2つのセンチメンタル・ロマンス Op. 28

2 Sentimentala romanser, op 28

ヴァイオリン独奏:小山啓久

Violin Solo: Hirohisa Koyama

 

◎ヴィルヘルム・ステーンハンマル

Wilhelm Stenhammar (1871-1927)

♪ 交響曲第1番 ヘ長調

Symfoni nr 1 i F-dur

 

指揮:大浦智弘

Tomohiro Oura

 

主催:オーケストラ《エクセルシス》

 

【追記:2024/4/6】

ノールローキアーナ → ノードローキアーナ