ニコラ・アタナソフ・キタノフ(Никола Атанасов Китанов)ブルガリアの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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Никола Атанасов Китанов


ブルガリアの作曲家、音楽教師。

1886年、キュステンディル(Кюстендил)生まれ。


地元の学校で、チェコの作曲家で音楽教師の、

カレル・マハーニュ(Karel Macháň)に学ぶ。


1906年に、ザグレブ音楽院(Zagrebacki konzervatorij)

(ザグレブ音楽アカデミー《Muzička akademija u Zagrebu》の事か?)に入学し、

フラーニョ・ドゥガン(Franjo Dugan)、

ヴィエコスラヴ・ローセンベルグ=ルジッチ(Vjekoslav Rosenberg-Ružić)、

チリル・ユネク(Ćiril Junek)、

ヴァーツラヴ・フムル(Vaclav Huml)、

らに学ぶ。


1911年に書かれた『ピアノソナタ』は、

ブルガリア初のピアノソナタと見られている。


1912年に書かれた『交響曲第1番ト短調』は、

ブルガリア初の交響曲と見られている。


卒業後、スタラ・ザゴラ(Стара Загора)、プレヴェン(Плевен)、

ソフィヤ(ソフィア)(София)等で教鞭を執る。


1923年、

ブルガリア国立音楽アカデミー(Националната музикална академия)

の教授となる。


1929年、同アカデミーの音楽理論の教授となる。


1934~1937年、同アカデミーの楽長を務める。


1954年、芸術家名誉賞(Заслужил артист)を授与される。


1963年、キュステンディル名誉市民(Почетни граждани на Кюстендил)

の称号を受ける。


1969年、ソフィヤにて死去。


【主な管弦楽作品】

・交響曲第1番ト短調(1912)

 Симфония №1 в сол минор

・序曲『フリスト・ボテフ』(1927)

 Увертюра “Христо Ботев”

・交響曲第2番(1928)

 Симфония №2

・交響曲第3番(1931)

 Симфония №3

・序曲『森のうなり声』(1931)

 Увертюра “Стонът на гората”


【主な室内楽・歌曲作品】

・ピアノソナタ第1番(1911)

 Сонати за пиано №1

 (1911~1919年の間に3曲ピアノソナタを作曲したらしい)

・ヴァイオリンとチェロとピアノのための三重奏曲(1929)

 Трио за цигулка, виолончело и пиано

・10の歌曲(ピアノ伴奏付き)

 10 песни за глас и пиано


【資料】

Никола Атанасов (композитор)(Wikipedia, Български)


交響曲第1番ト短調

演奏:ブルガリア国立放送交響楽団

Симфоничният оркестър на Българското национално радио в София

指揮:ヴラディ・スィメオノフ(シメオノフ)

Влади Симеонов

第1楽章

http://www.youtube.com/watch?v=lwXM5SDpHbo

第2楽章

http://www.youtube.com/watch?v=Iqu7cfpSdFg

第3楽章

http://www.youtube.com/watch?v=ktuQLBYgXY4

第4楽章

http://www.youtube.com/watch?v=oUN10HQD7dE


ブルガリアと言えば、「ヨーグルト」や「バラの香油」、力士の「琴欧洲」、

「ブルガリアン・ヴォイス」等で、日本にとっても存在感が大きい。


しかし、「ブルガリアのクラシック音楽は?」と問われた時、

答えられる人はどれくらいいるのでしょうか?


最も知られている、というか、ブルガリアの代表的な作曲家は、

パンチョ・ハララノフ・ヴラディゲロフ

Панчо Хараланов Владигеров

ですけれど、ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト等といった、

有名所しか知らないクラシック音楽ファンは、まず知らない思います。


最も有名と思われる作曲家ですらこうです。


今回は、ブルガリア初の交響曲をご紹介します。


この作曲家の存在は、もにりくちなしさんより教えていただきました。

有難うございます!!


実はそれを受けて、2012年5月10日に書いた、

未CD化交響曲の色々(ロマン派・国民楽派・無名作曲家限定!!)

という記事の中で、アタナソフを軽く紹介させていただきました。


で、今回は、きちんと紹介しようと思ったわけです。


交響曲第1番を聴いた感想ですが、

スラヴ的な響きの分かりやすく且つ魅力的な旋律で、

中々聴き応えありました。

一番最初のブルガリアの交響曲に相応しいのではないかと思います。


早いテンポのうねる様な音形の緊張感溢れる第1楽章。


最初は優しさに溢れた瞑想的旋律だが、

徐々に盛り上がって行き壮大に締めくくる第2楽章。


力強く荒々しい舞曲風旋律が前後にあり、

牧歌的な旋律が中間部にある第3楽章。


情熱的な民族舞曲風旋律で、終止旋律が印象的な第4楽章。


交響曲は他にも2曲あるそうなので、

そちらの方も聴けたら良いなと思います。

というか、交響曲以外の曲も聴きたいところです。




◎CD化について

ブルガリア放送がレーベルを出している様で、

ネストロフやスタイノフらと共にオムニバス収録されています。

しかも、リリースされたのは2006年とかなり前でした。

BNR  Atanasov  Nestorov Staynov

ニコラ・アタナソフ

 交響曲第1番ト短調

 1:第1楽章(Allegro energico)

 2:第2楽章(Andante)

 3:第3楽章(Scherzo. Allegro)

 4:第4楽章(Finale. Moderato)

ヘラクリット・ネストロフ(Хераклит Несторов, 1896-1940)

 5:夜想詩(Поема-ноктюрно, опус 6)

ペトコ・スタイノフ(Петко Стайнов, 1896-1977)

 6:交響的スケルツォ(Симфонично скерцо, 1938)

 7:交響詩『トラキア』(Симфонична поема „Тракия”, 1937)

演奏:パザルジク交響楽団(Симфоничен Оркестър Пазарджик)

http://silvernoise.net/bg/album/show/id/291

http://www.staynov.org/phonoteka.php?cd=04


尚、ペトコ・スタイノフは、

『辺境・周縁のクラシック音楽2』(青弓社)

で紹介されております。




◎フリスト・ボテフ(Христо Ботев)とは

【主な管弦楽作品】の項にある「フリスト・ボテフ」(1848-1876)というのは、

詩人にして、ブルガリア解放運動の英雄の事です。

Христо Ботев(Wikipedia, Български)


1876年、オスマン帝国に対する戦いの中で、ヴラツァ(Враца)にて死去。


カロフェル市(Калофер)には、彼を記念した、

フリスト・ボテフ国立博物館

Национален музей „Христо Ботев”

http://bulgariatravel.org/ja/object/395/muzej_hristo_botev

があるそうです。


オコルチツァ岳(Околчица)は、

フリスト・ボテフ国立公園

Национален парк “Христо Ботев”

となっており、革命家ボテフと、彼の率いたボテフ隊を鎮魂する記念碑が

建てられているそうです。

http://bulgariatravel.org/ja/object/216/Okolchica_nacionalen_park_na_Hristo_Botev




◎カレル・マハーニュ(Karel Macháň)とは

アタナソフが学んだこのチェコの作曲家(1867-1935)は、

日本では殆ど全く知られていない様で、

日本語でネット上で触れられているのかどうか検索してみたのですけど、

どうやら全く語られていない様です。

Karel Macháň(Wikipedia, Български)


音楽教師としてブルガリアに赴任したそうで、

最後はロシアで亡くなっています。


『ピアノと管弦楽のためのブルガリア奇想曲』

Bulharské capriccio pro klavír a orchestr

という曲がとても気になります。

ブルガリア国民楽派の早い作例の一つと思われます。


この作曲家については、日を改めて紹介しようかと思います。


その他、ドゥガン、ルジッチ、ユネク等の、

クロアチアの作曲家もとても気になります。

(フムルは、ヴァイオリニストで音楽教師だけど、作曲家ではないらしい)


いずれ、調査の上紹介したいと思います。




ブルガリアの作曲家をまともに取り上げたのは、今回が最初だと思います。

(以前は、オムニバスでアタナソフを軽く取り上げた程度)

今後は、ブルガリアにもよく目を向けようと思います。

「これは!!」と思うブルガリアの作曲家を他にも見つけて紹介できたら、

と思います!!




【関連エントリー】

ヨゼフ・リハルト・ロスコシュニー(Josef Richard Rozkošný)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11651647725.html

マイナークラシック音楽紹介記事アドレス保管庫(10)

http://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11726746706.html