フランスのYouTuberたちが起こした“新しい革命”。
ル・マンは光と連帯に包まれました──。
テレビの画面いっぱいに、まぶしい光が揺れていました。
夜のル・マン。表彰台の上では、選手たちが肩を並べて笑っていました。
優勝したのはスペインのレーサー。
けれど、誰が勝ったかよりも──
「みんながここまでたどり着いた」という空気が、
会場全体を包んでいました。
8万人の観客が携帯を掲げ、携帯をペンライトにして光を振る。
その光の海をテレビ越しに見ながら、私は思わず鳥肌が立ちました。
このイベントを企画したのは、
フランスで最も有名なYouTuber、Squeezie(スクイーズィー)。
たった一人のクリエイターの発想から始まった夢が、
国を動かすほどの“文化の祭典”になっていたのです。
🎬 映像で見るGPエクスプローラー3(公式発信)
🚗 公式動画
🔗 GP Explorer 3 : Reveal Livrées — Rediffusion (Squeezie公式)
このレースに参加したレーサーたちは、4か月前までアマチュアでした。
それが、F4マシンに乗って世界中の視聴者を魅了したのです。
勝者も敗者も関係なく、全員が表彰台に上り、笑顔で手を振ったあの瞬間──
あれはまるで、現代のフランス革命でした。
自由、平等、そして“情熱の共有”。
その3つが、昨夜のル・マンに生きていました。
GPエクスプローラーとは?
GP Explorer(グランプリ・エクスプローラー)は、
フランスのトップYouTuber Squeezie が立ち上げた、
まったく新しいモータースポーツイベントです。
プロのレーサーではないYouTuberやアーティストたちが、
本物のF4マシンに乗ってレースを行う──そんな夢のような企画。
参加者たちは、約5週間のトレーニングを経てサーキットに立ちます。
最初はアマチュア。けれど、本気で努力し、恐怖を乗り越え、
プロ並みの走りを見せるまでに成長する。
レースは「速さの競争」ではなく、
**「成長と情熱の記録」**なのです。
GPエクスプローラー3──“最後のレース”
2025年10月、フランス・ル・マンのブガッティ・サーキット。
この大会は「The Last Race(最後のレース)」と題され、
3日間にわたって開催されました。
フォーミュラ1さながらのスケジュールで、
フリー走行・予選・スプリント戦・15周の決勝が実施。
その会場には、なんと3日間で約20万人が集まりました。
出場者は24名。国籍も職業もバラバラ。
ゲーム配信者のGotaga、コメディアンのMister V、
ストリーマーのMaghla、ラッパーのSCHやPLKなど、
全員がフランスを代表するインターネットのスターたちです。
さらに今年は初めて、スペインとアメリカのチームも参戦。
国境を越えた挑戦者たちが、F4マシンを駆りながら、
世界中の視聴者とつながる瞬間をつくり出していました。
Twitchが生んだ“リアルタイムの熱狂”
このレースをリアルタイムで見守った人たちは、会場だけではありません。
Squeezieの公式Twitchチャンネルでは、
なんと同時視聴者140万人以上を記録。
さらに、スペインの配信者Ibai、アメリカのHasanAbiも同時配信を行い、
その視聴者は合わせて2000万人規模に達しました。
コメント欄はまるでスタジアムの歓声のように流れ、
画面の向こうとル・マンの会場がひとつになっていく。
それは、**「ネットが現実を超える瞬間」**でした。
この時、YouTubeとTwitchは、
単なる配信プラットフォームではなく、
**世界をつなぐ“文化の架け橋”**になっていたのです。
音楽とレースが融合する祝祭
金曜日の夜、19時30分のドライバー紹介のあと、
ラッパーのValdがライブを開始。
その後、Tiakola、Gazo、SDM、SCH、Théodoraなど、
30組以上のアーティストが出演しました。
土曜夜には8万人が集まり、
サーキット全体がまるで巨大なフェス会場のよう。
特別アルバム『The Last Race』もリリースされ、
テーマ曲「Un monde à l’autre(もうひとつの世界へ)」が
イベントを象徴する一曲として大ヒットしています。
表彰式──“共に立つ”という勝利
優勝はスペインの男性ドライバーKarchez(カルチェス)。
2位はフランスの女性ドライバーKaatsup(キャッツアップ)、
3位は同じくフランスの男性ドライバーMaxime Biaggi。
表彰式では、勝者も敗者も全員がステージに上りました。
光と歓声の中で、誰もが笑顔。
その瞬間、競争を超えた「共創」の精神がそこにありました。
私はテレビの前でその光景を見ながら、
このイベントが単なるレースではなく、
人間の可能性とつながりを祝う儀式なのだと感じました。
📖 関連報道(TF1 INFO)
GP エクスプローラー3の現地取材記事はこちら。
→ TF1 INFO「知っておきたい5つのこと」
この記事では、約20万人が動員され、音楽・配信・レースが融合した
“新しい時代の祝祭”として紹介されています。
終わりに
この夜、フランスはまたひとつ新しい革命を起こしました。
それは銃でも叫びでもなく、
カメラとスマホと笑顔で始まった革命。
YouTubeから始まり、サーキットで咲いた夢の光。
きっと、あのル・マンで見えたのは、
「好き」と人々が集まり、一緒に「努力」することで
国を動かす時代のはじまりだった。
私はそう思いました。
そして、もしかしたら今の世界の現実を変えるのは、
偏りすぎたナショナリズムでも、
お金や権力を優先するリーダーたちでも、
難しい理論でもないのかもしれません。
本当に世界を動かすのは、
平和を願う心と、
**自由・平等・友愛(Liberté, Égalité, Fraternité)**の精神、
そしてその純粋な思いでつながる
ソリダリテ(Solidarité)=連帯です。
あの光の海は、その象徴。
人と人が響き合う、その力こそ、
新しい時代にふさわしい“革命”なのだと思います。
🕊 あとがき
この文章を書きながら、映像を思い出し、
今もぞくぞくします。
あの光の波、笑顔、拍手
──どれもが本物の希望であり、勇気であり、愛でした。
私が見たのは、ただのレースではなく、
人と人が“信じ合う力”の証明でした。
誰かの情熱が、誰かの心に火を灯し、
その火が集まって、やがて大きな光になる。
それが、YouTubeから生まれた「新しいフランス革命」です。
この世界がどれだけ複雑になっても、
こうした“連帯”の光を見失わずにいたい…。
そして──
人々が笑顔でひとつになれる瞬間をただ願うだけでなく、
一人ひとりの小さな勇気が集まり、行動すれば、
私にも、あなたにも、世界を変えることができる時代が、
もう始まっているのです。