井上浩二の「現在(いま)を考える。」 -761ページ目

シリーズ「巻き込み力」第6回:「お客様を巻き込む」の解説

皆さん、前回のケース に対する様々なコメント 、ありがとうございます!今回は、あまり細かい状況説明なしで、皆さんに自由に「自分だったらどうするか」を考えて頂いたのですが、色々な切り口からコメントを頂いた上に、他の方のコメントを補足するような考えを書いて下さった方もいらっしゃったので、もう私の解説など必要ないかもしれませんね。
しかしながら、多少なりとも私のコメントに期待して下さっている方もいらっしゃるようなので、私なりの私見を書きますね。(勿論、解答と言うわけではありません。)


実行した結果のイメージを持つ

これは、どんな活動を行う時でもとても大切なことだと思うのですが、皆さんは今回どのようなイメージを持たれましたか?自分が星君だったら。
最高の結果はどんな感じでしょう?

1. 対外的には
・おもちゃ館での販促を通じて、最終ユーザーであるお客様が新星堂の販売促進企画、商品に好意を持って頂き、次の企画に積極的に参加してくれるお客様層が出来ている。
・販促を通じて、おもちゃ館、最終的には新星堂の売上/利益が上がる。
・おもちゃ館との関係が改善され、今後の企画・販売活動でより良い協業ができる環境になる。⇒提案営業が可能となる。

2. 社内的には
・マーケティング部に有効なフィードバックができ、最終ユーザーであるお客様を巻き込むコミュニティの内容が具体化される。
・このような活動を通し、マーケティング部と営業部のより良い協力関係が構築される。

3. 個人的には
・上記内容が自分自身の評価に結びつく。
・この活動を通じて、新たなスキルが身に着く。

こんな感じでしょうか。他にもポイントがあるかもしれませんが、こう言う最終イメージは持たないといけませんね。そうすると、当然上手くいかなかった場合のイメージも考えますよね。そのイメージを持つと、色々とリスクが見える。そこで、そのリスクを回避するための活動を考える。例えば、今回のケースではどんなイメージでしょうか?

1. 対外的には
・おもちゃ館との関係が悪化する。
・当然、お客様は新星堂の企画を評価しない。

2. 社内的には
・マーケティング部が営業を相談相手、プロジェクトメンバーとして評価しない、あるいはその評価が下がる。
・Webでのコミュニティ作り活動に、営業の意見が反映されなくなる。

3. 個人的には
・上司からの評価が下がる、藤堂部長からの評価も下がる。
・自信をなくす。

こんなところでしょうか。いずれにせよ、このような事になってしまっては、元も子もないですね。誰でも、出来るだけ最高のイメージに近づけたいはず。そのためには、どんなことを考え、どのような活動を行えば良いのでしょうか?


目的とアウトプットを明確にする

上記のゴールイメージを持つためには、まずは目的を明確にしておく必要があります。今回の活動の目的は、一体何のでしょうか?
コメントでは、「G3KS」さんがとても良いポイントを指摘してくれていますね。「ミーティングの前半と後半で目的が変化している。」ここは、押さえておかなければいけませんね。
どうなのでしょう?変化しているのか、具体化しているのか、あるいは付け加わっているのか?
藤堂部長としては、関係者の現在の考えを聞いた上で、「コミュニティ」構築のために必要な具体的アクションを提示しているのでしょうね。そこで、近藤課長が例として出してきた「おもちゃ館」が曲者っぽくありませんか?近藤課長は、現在関係が上手くいっていないのを知っていながら、具体的な協業・ヒアリング先としてここを引き合いに出していますね。もしかしたら、純粋にヒアリング先として最適なところを例として出してきただけかもしれませんが・・・更には、藤堂部長も本当に上手くいっていないことを知らなかったのでしょうか?ま、「下衆の勘ぐり」をしていてもしょうがないですが、どうも近藤課長には何か意図がありそうな気がしますよね。「おもちゃ館」での活動を行うことが前提になると、「おもちゃ館」との関係修復が目的として追加されたように思われます。今回の活動で、上記2つを目的とするか、あるいは前者だけにするか。前者だけだと、「羅夢翁」さんがコメントしているように、他のおもちゃ専門店を巻き込むオプションもありますね。これを検討することも、一つの手です。それを言っても、やはり「おもちゃ館」で今回の活動を行うのであれば、その理由は明確にしておく必要あり。更に、その場合は2つの目的を考えて活動しなければなりません。これは、結構ハードルが高そうですね。
この2つを目的とするのであれば、近藤課長と藤堂部長とは出来うる限りのサポート・バックアップをしてもらえるように握っておく必要があるでしょう。途中で梯子を外されたら、最悪の結果になるかも知れませんからね。更に、その責任を自分だけで取るのは・・・やってられませんよね。

次に、アウトプットも握っておく必要がありますね。特に、藤堂部長とは。藤堂部長からは、「現場担当の方と意見交換してレポートしてくれないか?」と言われていますが、どのような内容のレポートを、どれぐらいの詳細さを持って出せば良いのでしょう?これを自分の今の能力でできないのであれば、「G3KS」がコメントしてくれているように、マーケティング部のメンバーに手伝ってもらって、内容を詳細に作る必要がある。更には、ヒアリングポイントや手法も教えてもらった方が良いかもしれませんね。また近藤課長とのアウトプットも握っておく必要がある。それは、当然「おもちゃ館」との関係とビジネスがどう変わるかと言う事。今回の活動を、「営業部門」としてどう位置づけるか、その結果をどう評価するかなど、議論しておいた方が良いでしょう。


誰を巻き込まなければならないかを明確にする

さて、次に考えなければいけないのは、「おもちゃ館」の誰を巻き込まなければいけないかですね。「おもちゃ館」から、お客様を巻き込むコミュニティ作りに有用な情報をヒアリングするのであれば、当然それを実行している担当者になりますね。星君がお付き合いしているのは、恐らく先方の購買の方と思います。そうすると、この担当者との関係だけでは不十分。恐らく、先方の店頭販促の担当者を巻き込むことは必須となります。この方を巻き込むためには、どうしたら良いでしょう?先方の
・マーケティング、販促担当者
・店長
・フロア担当者
と言った方々が、何らかの形で影響力を持っていそうですね。その中で、今回のような事を最終的に意思決定できる方は誰なのか?
上記の中にもいるかもしれませんが、小さい会社だと社長が意思決定する場合もありますね。そうすると、結構厄介です。皆さんが指摘して下さっているように、会社対会社の関係が良くないので、まずその修復から行う必要がありますよね。前回の経緯を踏まえ、まず謝罪する。そう言う活動も必要かもしれません。しかし、もう3年も経っているし・・・
もう一方で、現在の関係を見てみると、3年前のトラブルがあったにせよ、今でも新星堂から商品の購入はしてくれていますね。と、言う事は「出入り禁止」になるまでは悪化していない。あるいは、先方としても、そんな事は出来ないのかもしれません。そうなると、どこからどう糸をほぐしたらいいのか、ちょっと考えてみるとより効果的なアクションが見えてくるかもしれませんね。「ブッシュミルズ」さんがコメントしているように、相手の状況を出来る限り把握し、誰から、どのような形で関係修復を図るのかを探る必要がありそうですね。状況によっては、思ったよりも簡単に目先の関係改善は出来るかもしれません。
しかし、逆になかなな上手くいかない場合もあります。引っ掛かりそうなのは、先方の
・社長
・販促担当(3年前に痛い目に逢っている可能性あり)
・顧客担当窓口(同上)
ですね。この方々に納得してもらうためには、勿論「誰が」、「どのタイミングに」、「誰経由で」、話をするかも大事です。現場の方には、現在関係が良好な購買担当者を通じて話をするのが有効かもしれませんね。先方の社長に対しては、新星堂のトップの巻き込みも必要かもしれません。
ただし、最終的には今何をやろうとしているのか、それが今後のビジネスにどう繋がるのか、と言った話の内容が重要となります。(言うまでもなく)そこをどう考えるか、どう作るかも活動の肝になりますね。


提案内容を考える

提案内容としては、「チョコ」さんがコメントしてくれている通り、「相手のメリット」を考える事が重要です。今回の取り組みを通じて、「おもちゃ館」には具体的に、どのようなメリットがあるのか。
・新星堂の出している商品の売上が上がる。
・新星堂商品との連携で、他の商品の売上も上がる。
・来店しているお客様の「おもちゃ館」に対するイメージが上がる。
・来店客数/購入客数が増える。
・「おもちゃ館」とお客様の関係が良くなる、深まる。
など、など。こう言うポイントで、具体的なメリットが提示できるようにしたいですね。しかし、今回は今後の仕組み作りのためのプロトタイプにすぎません。上記のような内容を、具体的に提示するのはなかなか難しい所。そうなると、上記のような状況を作るための仕組み作りに、新星堂がどれだけ「おもちゃ館」の意見を取り入れるか、更にはコスト面での負担をどれだけ新星堂で見ていくか、などが訴求ポイントになるでしょうか。(当然、今回の販促では少なからず上記ポイントに繋がる部分がないといけませんが。)
更には、前回の失敗を今後繰り返さない、と言う事は明確にしなければなりませんね。つまり、「おもちゃ館」側にデメリットはないという事。そこを、前回の失敗に鑑み、新星堂としてどのような仕組みで「おもちゃ館」に迷惑をかけないやり方をするかを明示する必要がありますね。
上記を明確に提示するためには、星君としては社内のマーケティング、営業、ITなどの各部門としっかりと打ち合わせて、適切な提案を作る必要があります。社内の巻き込みも、かなり大変そうですね。

以上、星君が今回のミーティングで話した事に取り組むために考えなければならないこと、行うべき活動に関して、私なりの考えを書かせて頂きました。皆さんは、どう思われましたか?
このような活動に、所謂「正解」はありません。是非、皆さんのお考えを聞かせて下さい。(補足・修正、大歓迎です!)また、皆さんが実際のビジネスで同じような事をやって、上手く言った事、上手くいかなかった事、なども共有できると、尚良いですね。実際の事例で、皆さんと議論できたら、この場もとても素敵な場になると思います。どしどし、皆さんの意見をアップして下さい。

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