井上浩二の「現在(いま)を考える。」
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工夫してAIと会話していますか?

コロナ以降、講演や企業研修の講師などは基本的には私はお受けしないようにしています。(社員は、もちろんやっていますが。)その大きな理由の一つが、毎度コンテンツを見直して準備する手間。経営戦略でもマーケティングでも、折角話をしてあげるのであれば時事ネタと言うか、最近の事例を元に話をしてあげたいというのが私の主義。で、調べたり、コンテンツ化するのが結構大変なんですよね。しかし、最近はGemini君が手伝ってくれるので、情報を調べる作業の生産性は格段に上がっています。本当に助かる。企業の業績みたいな簡単なものばかりでなく、過去の打ち手の評価なんかも相応の的確さで教えてくれる。ただ、ときどき「嘘」をあたかも真実のように言ってくることがあるから気を付けないとですよね。(時々なのが曲者かな。)調べたい業界と業種なんかを指定して最近の取り組みを聞いてみると、ある大企業がベンチャーに出資して協業しているなんて話が出て来る。「あれ、そんなことある?」と思って、「いつ、どれぐらい出資?」とか「情報ソースは?」なんて聞くと、誤った情報だったと謝ってくる。可愛げはあるけど、気を付けないとですよね。ただ、こういう情報を見た時、「あれ?」と思い、疑って見ないといけないわけですが、これがなかなかハードル高そうな気もしますけど。
 

上手く会話する能力が求められる
マクロ環境分析、政治・経済・社会・技術の観点から、分析したい業界やサービスの環境変化がどのようなマーケットフォースを生み出しているかを分析する手法ですね。これを議論する事例として、コロナ禍での勝ち組だったフードデリバリー業界を扱ったコンテンツを作っています。その議論の中に、こういう分析をAIにやってもらったらどうなるか、その注意点なんかも伝えようと思い、Copilot君に「日本のフードデリバリー業界のマクロ環境分析をして下さい」とお願いしました。すると、「ふむ、ふむむ?」と首を傾げたくなるような内容が。例えば、政治に関して、

 

Uber Eats、出前館、Woltなどは配達員を業務委託(個人事業主)として活用していますが、近年は労働者保護の議論が強まっています。厚生労働省でもギグワーカーやフリーランスの保護制度整備が進められており、報酬や契約の透明化が求められています。

業界への影響

  • 配達員保護コスト増加
  • 保険加入や安全対策費用の上昇
  • プラットフォーム企業の収益圧迫
と分析していました。リスクと言うか、ネガティブインパクトと言うか。しかし、ネガティブな事ばかりでしょうかね?ポジティブなインパクトもあるのではと思い、「一方では働き手は安心して働けるようになるので、離職が減るとか、応募も増えたりするのでは?」と聞いてみると、

 

はい、その視点は非常に重要です。実際に戦略コンサルティングの観点では、この論点は単純な「脅威(Threat)」ではなく、短期的には脅威だが、中長期的には機会にもなり得る要因として捉えるのが適切です。
 
とのお答え。わ~い!Copilot君に褒められちゃった。と喜ぶべきなのかどうか。最初の分析が、ちょっと分析が短絡的と言うか、近視眼的と言うか・・・こういうものを軽々に鵜呑みにしてはいけないですよね。そして、読み進めると気になることが多々。そして、総合評価では、

 

日本のフードデリバリー業界は、

短期的には「成長鈍化と価格競争」 中長期的には「高齢化と生活インフラ化」

が最大のテーマです。

特に今後は単なる「飲食の宅配」ではなく、

フードデリバリー → クイックコマース → 地域生活インフラ

へ進化できる企業(Uber Eats、Wolt等)が優位になる可能性が高いと考えられます。

 
なんて分析が。私にとっては、「???」です。(そもそもWoltは日本から撤退するし。)他の要素の分析でも色々と「?」があったわけが、これを読んでよく分かりました。Copilot君は、結局フードデリバリー業界の「デリバリー」に力点を置いて分析しちゃってるわけですよね。(それでも、「地域生活インフラ」への進化を目指すというのは、かなり「?」ですが。)しかし、この業界の”餡子”は「フード」ですよね。宅配業界を分析してるわけではないですから。デリバリーを行っている飲食店やゴーストレストランがどうなるか?今後増えるのか?そこでの勝ち組はどうなる?競争にインパクトを与えるマクロ環境要素は?そこをどう解釈すべきか?その分析が必要。で、「料理の宅配市場のマクロ環境を教えて」と聞き直してみました。すると、ちょっとはましに。そして、その結果にも「?」が浮かんだら聞き直し、そもそもの質問を変えたり。やっぱり、まだまだそういう作業が、その作業をするための考える力が必要なのだと思います。
AIが返してくるものを鵜呑みにしない、特に分析部部などは「何故、そういう分析を返してきたのか?かけている視点はないか?ファクトはないか?」なんてことを考えないといけない。そして、工夫して質問する、AIと会話することが必要。この工夫ができれば、結構良い観点、分析が出て来る。それをまとめ上げて、納得性が相応にある分析にするのは・・・やっぱり人なんでしょうね。AI君達の現状の力は、まだそんなレベルなんでだと思います。(5年後は、どうなっているか分かりませんが。)でも、ググって自分で考えて色々と調査するよりはずっと生産性は高い。それだけでも素敵!上手く工夫して、AI君たちと会話しないとですね。

 

先週の金曜日、お客様の今期の経営塾が始まりました。スキルアップを図ろうと、通常業務で忙しい中に参加して下さった20代後半から40代半ばの方々が集まってくれました。皆さんの期待に満ちた素敵な目。そこに応えられるように、私も精一杯やらないとです。老体に鞭打って頑張ります。
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