井上浩二の「現在(いま)を考える。」 -5ページ目

若者の価値観ってそんなに昔と違うと思います?

部活ヘアサロン』ってご存じです?昭和のおっさんには、とても思いつかない発想かな。マンダムさんがやっているそうですが、学校に出張ヘアサロンを出して、大事な試合前とかに所謂『勝負ヘア』ですかね、自分が気に入っている、自分らしい髪形にして下さるとか。そう言えば、自分にも昔は『勝負服』みたいなものがありました。大事な提案をしに行く時には、このスーツ、このネクタイとか。それが今では、高校生の部活にヘアサロンが出張して来るなんて事もあるとは。今回も、「えっ、今ってそうなってるの?」ですね。
 
何が変わったのか?
この情報ソースは、いつもながら日経新聞。部活ヘアサロン自体が面白いと思ったのですが、この記事はもう一歩踏み込んで今の若い世代の価値観にも触れているので、電車の中で考えちゃいました。Z 世代、その次はα世代なんて呼ばれて、価値観の多様化が進むなんて言われていますね。そりゃそうですよね。世の中が豊かになり、便利になり、より多くの情報に接することが簡単に出来る時代になってきたわけですし、それがさらに進むのだから多様化しないわけがない。そんな流れで生まれてきたことの一つが、『部活ヘアサロン』。この活動は、激戦区の福岡県でサッカー部を強豪チームに育てた飯塚高校の中辻喜敬監督が始めたそうです。で、その盛り上がりを聞きつけたマンダムさんが、それに乗っかったと。この監督の言葉が記事に出ていたんですが、それが妙に引っ掛かっちゃったんですよね。

 

「今の10代にとって大切なものは一つじゃない。かつては全国大会に行きたいなどという目標のためにがんばったが、今はそうじゃない。自分らしく生きることが最も大事な価値観になった」

 

熱血スポコンドラマ、アニメを見て育った私の様な昭和のおっさんは、辛い練習に耐えて試合に勝つ、それが是として育ったのは事実。皆がテレビや漫画など世に出回る限られた情報、マスメディアを見て、そこに引き付けられていったから大多数がそれを良しと思った。そうするのが、格好良いと思う若者が多かった。しかし、それは自分らしく生きていないことなんでしょうかね?それはそれで、自分らしく生きることなんじゃないかな。一方では、「俺はスポコンなんて似合わない。楽しきゃいいんだよね。」と言っていた友達も結構いた。皆、自分の中に好きな事や拘りがあり、それを大事にして自分らしく生きようとしていたんじゃないのかなぁ。勿論、今の若者ほどお金も持っていなかったし、情報も画一的だったから、多様性は今ほどではないと思いますが。若者の本質って、そんなに変わっていないんじゃないかと個人的には思います。じゃ、何が一番変わったのかと言うと、所謂『上』の権威?権力?パワー?なんじゃないかな。年齢や職位、立場に応じて暗黙の了解の元で認められていたもの、それに基づく言動が今は『非常識にもほどがある』になっちゃったわけですよね。で、以前よりも若者が言いたい事が言えるようになった。権利として主張できる事も増えた。(おっさんとしては、時にそれが行き過ぎていることもある気がしますが。)大きく変わったのは、若者を正しく導くべき年長者なんじゃないかなぁ。それを、あんまりにも「今の若者の価値観は以前とは違う」と『強調しすぎる』と、何か社会が変に歪んでいくような気がすのですけどね。

 

ところで、17歳になる我が息子も、ネックレスにイヤリングをし、髪型や服も勿論とても気にしています。若者らしくて良いですよね。私の時代とは違いますが、私たちの世代は私たちの世代で、どう格好良くするか気にしていたものです。ま、これも確かに『自分らしく』なのかな。しかし、親としては、是非外面以上に内面を磨いて『自分らしさ』を創り上げて欲しいと願うわけです。