映画時評 2009-2011/蓮實重彥
蓮實重彥さんの映画評論・対談集「映画時評 2009-2011」を読了。
「映画時評 2012-2014」が面白かったので、本書も購入してみました。
蓮實さんの評論を読んでいると「そこまで考えて撮っている映画監督って、この世に何人いるのかな?」と思ったりもしますし、「そこまで考えて撮っている」としても、その作品自体が面白くなければそもそも駄目ではないかと言う気もします。
余談ですが、最近の映画は長尺な作品が多いので、休日に2本観ると、もう夕方じゃんって感じになるコトが多いです。
蓮實さんは仕事もお忙しいでしょうし、多くの映画を観ていらっしゃると思いますが、どうやって時間の遣り繰りをされているのでしょうか?不思議です。
採点/80点
ゲーム・オブ・スローンズ 第一章 七王国戦記
DVDにて、アメリカの連続テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ 第一章 七王国戦記」(全10話)を最終回まで観終えました。
このドラマはシーズン8まで続くと聞き、そこまで長いといつもは観る気が失せるのですが、周りの評価があまりにも高かったので、試しに鑑賞してみました。
これは全話観ちゃうな。長くてしんどいと言うより、楽しみが増えた気がします。
重要なキャラクターが突然死んじゃったり、現実的な物語だと思っていたのに、いきなりファンタジー色が強くなったり・・・・・・各話の終わり方も良く考えられています。ただ、セックスシーンが多く、かなり露骨な描き方をしているので、そこだけはあまり好きになれませんでした。
演者としては、小鬼と呼ばれる男を演じたピーター・ディンクレイジの存在感に圧倒されました。彼がこのドラマに出演していたお陰で、作品全体の評価がかなり上がったと思います。
続けてシーズン2「王国の激突」を鑑賞したいと思います。
採点/85点
キリエのうた
DVDにて、映画「キリエのうた」を鑑賞。
岩井俊二監督は、主演の女優さんを魅力的に撮るのが本当に上手い監督ですね。本作を観た後、アイナ・ジ・エンドさんのコト、皆好きになっちゃいますよ。
内容としては、ストーリー、音楽、ロケ地、キャスティングから見て、今までの岩井作品の集大成のような映画だと感じました。長尺(上映時間178分)なのが少し気になりましたが・・・・・・。
岩井監督が撮ると、そこが何処にも存在しない空間みたいになってしまうので、いつも感嘆させられます。例えば、新宿駅南口など僕は週一位で訪れているのに、そこで撮られたシーンがとても素敵なロケ地での撮影に見えてしまうんですよねー。岩井さんも「映像の魔術師」と言って良い監督の一人だと思います。
採点/80点
先生を流産させる会
DVDにて、映画「先生を流産させる会」を鑑賞。
実際に起きた事件を基に描かれた作品です。
内藤瑛亮監督の映画「許された子どもたち」が面白かったので、同じく内藤さんが監督した本作を観てみました。
まず上映時間が62分なのが良いです。短いのが良いと言う訳ではなく、この内容は1時間で描くのがベストと判断し、上手く編集した監督の表現者としての潔さは評価出来ると思います。
おどろおどろしいタイトルですが、観客を惹きつける為に考えられたのではなく、実際に事件を起こした生徒がネーミングしたと知って驚きました。
僕自身は悪魔的な行動をする子供達が、ダメな大人になるとは全く思いません。思春期特有の自分ではコントロール出来ない感情もありますし、大人になる過程で様々なコトを学んで行き、他人のコトを思いやれる人間になって行くモノだと思っているからです。
本作の印象的なラストのセリフは監督の一番言いたかったコトであり、僕は「子供達に伝えたい言葉」としては、素晴らしいセリフだったと思います。(事件の首謀者であるミヅキを演じた小林香織さんの表情が秀逸でした)
採点/80点